創元社note部

1892年創業。大阪は御堂筋の近く、本町と淀屋橋の間にある出版社です。東京支店は神保町…

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1892年創業。大阪は御堂筋の近く、本町と淀屋橋の間にある出版社です。東京支店は神保町。新刊情報や、著者インタビューなどをアップします。公式HP→https://www.sogensha.co.jp/ アカウントヘッダー画像©nakaban

マガジン

  • 大河ドラマに推しが出たので。|実咲

    テレビでは一生取り上げられることはないだろうと思っていた「推し」が、NHK大河ドラマに出る。その衝撃を、平安時代オタクの著者がリアルタイムでつづります。

  • 特攻文学としての《ゴジラ-1.0》

    太平洋戦争末期、小笠原諸島に位置する大戸島の守備隊基地に不時着した特攻隊員・敷島浩一(演:神木隆之介)が偶然、ゴジラに遭遇したところから始まる映画《ゴジラ-1.0》。『特攻文学論』の著者である教育社会学者・井上義和と、ライター・坂元希美が対話しながら、《ゴジラ-1.0》を創作特攻文学として読み解きます。

  • 『タロットの美術史』シリーズ、「巻末特別寄稿」を一部公開!

    大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」(2巻~12巻に収載)の一部を特別公開! 超豪華ゲスト陣による本書でしか読めないタロットにまつわるエッセイです。

  • お茶にしましょう

    文人会の若宗匠・如翺(ジョコウ)先生とその弟子・寿(ジュ)との往復書簡。 茶とは? 花とは? 日本的教養とは? 江戸時代以来の「文人茶」を継承しつつ、令和時代の「新しい茶会」を実践されている如翺先生へ、還暦すぎて弟子入りした寿姥が、「日本」の日常にひそむちょっとした違和感や不思議について、素朴な問いを散漫に投げかけてはお教えをいただく連載です。 イラスト:久保沙絵子

  • 山本粧子の Hola!ジャガイモ人間

    縁もゆかりもなかった国・南米ペルーに青年海外協力隊として派遣されることになった山本粧子が、3000種以上も存在するというジャガイモ原産国で、ジャガイモを育て、食し、愛するジャガイモ人間たちと出会うソウルフル・エッセー。月2回を目指して更新中。

記事一覧

推し、現る。✿第19回|実咲

胃がねじ切れそうにつらいです。 すべての平安オタクは、この展開をもちろん知っていました。 それでも、なおつらいのです。 「光る君へ」第20話では一条朝の大事件、長徳…

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第14回|井上義和・坂元希美

【番外編 1】安倍元首相の国葬を「語られた言葉」から考える国家として弔うべきなのは総理経験者だけではないはずだ (取材/構成:坂元希美)  2022年9月27日、国民の賛…

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大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|6巻

■6巻 運命の輪・力寄稿者:伊藤博明(宗教象徴学/専修大学文学部教授) ◆T・S・エリオットとウェイト゠スミス版タロット◆  1922年の12月、「4月はもっとも残酷な月…

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推し、奉職す。(確定)✿第18回|実咲

祝・藤原行成、蔵人頭就任!!!!!!!! 長い実質的な無職期間を経て、無事に行成が蔵人頭へ任官されました。 ここから本格的に、行成の実務派官僚としての道のりがス…

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6|新茶を交わす煎茶会と、絵入りで残す煎茶図録

如翺から寿さんへ ◇ 新茶はお好きでしょうか?  今年も「新茶」の時期になりました。  新茶を摘むのは、立春から数えて88日目、いわゆる「八十八夜」を基準にします…

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第13回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美) ⑬まだまだある特攻文学映画 《ラスト・フル・メジャー》と《ハクソー・リッジ》 ピッツとドスの違いはなんだ 公の死者と命のタスキ中継者坂元 ジ…

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大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|5巻

■5巻 正義・隠者寄稿者:蒼井翔太(声優/歌手/俳優) ◆タロットが紡ぐ、僕の物語(ストーリー)◆  僕がタロットを知るようになったのは、子どもの頃に夢中だったア…

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山本粧子の Hola! ジャガイモ人間~ペルーからコンニチワ~┃ 第13回

ブエノスディアス!山本粧子です。 私が今働いているパラカスミュージアムは、ペルー人はもちろんですが、海外からの来館者がとても多く、ウユニ塩湖で有名なボリビアから…

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星の味 ☆9 “永遠に幼きもの”|徳井いつこ

  やみにきらめくおまえの光、   どこからくるのか、わたしは知らない。   ちかいとも見え、とおいとも見える、   おまえの名をわたしは知らない。   たとえおま…

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第14回|原因は羊でした

 従兄弟のタナカがうちに来てくれたおかげで、はるのお腹の調子が悪そうなときでも心配することなく大学に出勤できるようになった。深夜に起こされることはまだあったが、…

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第12回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美) ⑫まだまだある特攻文学映画 《ラスト・フル・メジャー》 兵士に贈る「最高の名誉」とは ★ネタバレ注意★ 映画《ゴジラ-1.0》《ラスト・フル・メジ…

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推し、奉職す。(予定)✿第17回|実咲

大河名物(らしい)、ナレーションだけで人の死が伝えられる、通称「ナレ死」。戦でもないのにここまで大量に一気に死んだことはこれまであるのでしょうか。 公卿一掃セー…

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2週間前
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生活か歌か|働く日々の歌 2|澤村斉美

 歌人は「兼業」であることが多い。短歌の仕事だけで生活しています、という人は、いるけれどとても少ない。多くの人が、どこかに勤めるなど短歌以外の方法で生活を成り立…

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2週間前
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大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|4巻

■4巻 恋人・戦車寄稿者:石井ゆかり(ライター) ◆対称にならぶ、ふたつの「自己」◆  侍の娘が男を見染めて恋煩いをするなどとは不孝ものめ、たとえ一人の娘でも手打…

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2週間前
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推し、評する。✿第16回|実咲

関白道隆がこの世を去った、「光る君へ」第17話。 穏やかな旅立ちとはとても言えない、なかなか壮絶な最期でした。 妹である詮子に「お若い頃はお優しい兄上だったのに」と…

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3週間前
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5|だんごセットと「ひま」とアマ

寿から如翺先生へ ◇ あみじま茶屋にて 「お茶にしましょう」  と思って、せっかく訪ねて行ったのに会えなかった!という十時梅厓のお話、楽しく拝読しました。  桜の…

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3週間前
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推し、現る。✿第19回|実咲

胃がねじ切れそうにつらいです。 すべての平安オタクは、この展開をもちろん知っていました。 それでも、なおつらいのです。 「光る君へ」第20話では一条朝の大事件、長徳の変がついに幕を開けました。 いったい何が起こったのか、改めてお話をしてみたいと思います。 伊周が通っていた斉信の妹(作中では光子)は、伊周にとって関白になれなかった腹立ちを癒してくれていた存在でした。 ある夜も会いに行ったのですが、そこには一台の牛車が。 光子には自分以外にも通ってくる男がいたのだと、伊周は意

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第14回|井上義和・坂元希美

【番外編 1】安倍元首相の国葬を「語られた言葉」から考える国家として弔うべきなのは総理経験者だけではないはずだ (取材/構成:坂元希美)  2022年9月27日、国民の賛否が激しく割れる中で安倍晋三元首相の国葬が営まれた。第二次世界大戦後では1967年の吉田茂元首相以来、2回目の国葬である。会場の日本武道館周辺では、献花に訪れる人たちの長蛇の列と「国葬反対」「弔意の強要をやめて下さい」等のサインボードを掲げた抗議デモが交錯した。  著書『未来の戦死に向き合うためのノート

大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|6巻

■6巻 運命の輪・力寄稿者:伊藤博明(宗教象徴学/専修大学文学部教授) ◆T・S・エリオットとウェイト゠スミス版タロット◆  1922年の12月、「4月はもっとも残酷な月……」で始まる、20世紀モダニズム詩の金字塔、T・S・エリオットの『荒地』がロンドンで刊行された。「I 死者の埋葬」の43行目以下では次のように歌われている。 ソソストリス夫人は有名な占い師でひどい風邪をひいていたが、 それでもやはり ヨーロッパ随一の賢い女と 知られていて 突飛な一組のカードを手にして

推し、奉職す。(確定)✿第18回|実咲

祝・藤原行成、蔵人頭就任!!!!!!!! 長い実質的な無職期間を経て、無事に行成が蔵人頭へ任官されました。 ここから本格的に、行成の実務派官僚としての道のりがスタートします。 つまり社畜ならぬ宮畜、まさに馬車馬のように休みなく走り続けることになります。 死なないで行成! たまには休んで! 休めないか! ごめん!! さて、この行成の蔵人頭への任官は、前回でもお話ししたように道長の義兄である源俊賢の後任としてでした。 若手貴族のエリートコースの登竜門というべきポジション。 祖

6|新茶を交わす煎茶会と、絵入りで残す煎茶図録

如翺から寿さんへ ◇ 新茶はお好きでしょうか?  今年も「新茶」の時期になりました。  新茶を摘むのは、立春から数えて88日目、いわゆる「八十八夜」を基準にします。年によってズレはありますが、だいたい5月2日ごろ、今年は5月1日だったそうです。新茶が、私たちの手に届くのは毎年GWが明けた頃で、年によって異なる味覚を楽しんでいます。  新茶の魅力は何ですか、というご質問をよくいただきます。私は、みずみずしく爽やかで、かつ、茶の「葉」そのものの青々しさが素直に感じられるところ

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第13回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美) ⑬まだまだある特攻文学映画 《ラスト・フル・メジャー》と《ハクソー・リッジ》 ピッツとドスの違いはなんだ 公の死者と命のタスキ中継者坂元 ジミー・バー(ピーター・フォンダ)という頭に銃弾を受けた帰還兵は、深いPTSDから小さな一歩を踏み出して、ピッツェンバーガーの名誉勲章授章式に当時の軍服を着て出席することができました。さらにピーターズ空軍長官の演説によって命のタスキの中継者と認められたことで、これから生きていく自信に繋がった。だから、そのタスキを届け

大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|5巻

■5巻 正義・隠者寄稿者:蒼井翔太(声優/歌手/俳優) ◆タロットが紡ぐ、僕の物語(ストーリー)◆  僕がタロットを知るようになったのは、子どもの頃に夢中だったアニメがきっかけである。そこではタロットをモチーフにしたカードが使われていて、“タロットって可愛くて綺麗なものなんだ”、という憧れに近い感覚を覚えた。けれども実際に本物のタロットカードを見たとき、“すごく怖い”、という印象に変わってしまった。もしこれに触れたら、指先から消えてしまうのじゃないか――。そうした印象から

山本粧子の Hola! ジャガイモ人間~ペルーからコンニチワ~┃ 第13回

ブエノスディアス!山本粧子です。 私が今働いているパラカスミュージアムは、ペルー人はもちろんですが、海外からの来館者がとても多く、ウユニ塩湖で有名なボリビアから来たファミリー、フランス人カップル、韓国の団体旅行客など、今日も様々な国からお越しになられていました。 日本では、ナスカの地上絵に隠れてパラカスの知名度は無いに等しい(?)かもしれませんが、世界を見渡すとちょっと違うのかもしれません。 アジアの中ではダントツで韓国からの来館者が多いです。 2016年から韓国ドラマ鑑

星の味 ☆9 “永遠に幼きもの”|徳井いつこ

  やみにきらめくおまえの光、   どこからくるのか、わたしは知らない。   ちかいとも見え、とおいとも見える、   おまえの名をわたしは知らない。   たとえおまえがなんであれ、   ひかれ、ひかれ、小さな星よ!  ミヒャエル・エンデの物語『モモ』の冒頭にそっと添えられている詩には、「アイルランドの子どもの歌より」と書かれている。  世界じゅうで、日本でも長く歌い継がれている「きらきら星」に似ているような……?  時間泥棒に盗まれた時間を、人間に取り返してくれるモモ。あの

第14回|原因は羊でした

 従兄弟のタナカがうちに来てくれたおかげで、はるのお腹の調子が悪そうなときでも心配することなく大学に出勤できるようになった。深夜に起こされることはまだあったが、それでも心身ともにボクはずっと楽になった。  気持ちに余裕ができたので、下痢の原因を本格的に調べ始めた。まずは山本央子先生に相談して、察子さんもお世話になっている獣医さんを紹介していただいた。ボクのうちから車で30分くらいのところにある人気の動物病院だ。院長先生が診察し、丁寧に説明してくださった。  まず、検査結果か

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第12回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美) ⑫まだまだある特攻文学映画 《ラスト・フル・メジャー》 兵士に贈る「最高の名誉」とは ★ネタバレ注意★ 映画《ゴジラ-1.0》《ラスト・フル・メジャー》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ作品鑑賞後にまた読みにいらしてください。 ベトナムで戦死した衛生兵に報いたい 坂元 今回は2019年公開のアメリカ映画《ラスト・フル・メジャー》です。日本では2021年3月に公開されました。  私はまったくこの

推し、奉職す。(予定)✿第17回|実咲

大河名物(らしい)、ナレーションだけで人の死が伝えられる、通称「ナレ死」。戦でもないのにここまで大量に一気に死んだことはこれまであるのでしょうか。 公卿一掃セール、内閣総辞職ビームといわんばかりに、「光る君へ」第18話では、公卿会議に居並ぶ面々があっという間に流行り病でこの世を去りました。 関白   藤原道隆(43) 4月10日 左大臣  源重信(74) 5月8日 右大臣  藤原道兼(35) 5月8日(道長の兄:関白になった後死去) 内大臣  藤原伊周(22) 大納言  藤

生活か歌か|働く日々の歌 2|澤村斉美

 歌人は「兼業」であることが多い。短歌の仕事だけで生活しています、という人は、いるけれどとても少ない。多くの人が、どこかに勤めるなど短歌以外の方法で生活を成り立たせたうえで、短歌のかなりヘビーなあれこれに好きこのんで取り組んでいる。前回、島田修二の「サラリーの語源を塩と知りしより幾程かすがしく過ぎし日日はや」という歌を読んだが、島田修二も50歳までは会社員との兼業歌人だった。「サラリー」の歌は退職を決めた後のもので、歌集においてはその歌より前に次のような歌が置かれている。

大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|4巻

■4巻 恋人・戦車寄稿者:石井ゆかり(ライター) ◆対称にならぶ、ふたつの「自己」◆  侍の娘が男を見染めて恋煩いをするなどとは不孝ものめ、たとえ一人の娘でも手打ちにするところだ」――三遊亭円朝作『牡丹燈籠』の一節である。  武士の相川新五兵衛は、恋煩いで寝込んだ一人娘のお徳を難じる。誰といちゃついていたとか、誰と出歩いていたとか、そういうことではない。お徳はただ、遠くから一人の若者・孝助を見て恋に落ち、その恋心のために病を得て寝込んでしまっただけなのだ。不品行なことは何

推し、評する。✿第16回|実咲

関白道隆がこの世を去った、「光る君へ」第17話。 穏やかな旅立ちとはとても言えない、なかなか壮絶な最期でした。 妹である詮子に「お若い頃はお優しい兄上だったのに」と過去形で語られるほど、物語序盤の鷹揚な姿がまるで嘘のよう。娘定子を無理に中宮へ押し上げたり、疱瘡(天然痘)の流行対策を進言する道長の言葉には耳を貸さず、息子の伊周に高い地位を与えることで家の権力を保持しようと固執するなど、ある意味権力者らしい晩年でした。 この道隆の死をきっかけに、中関白家と呼ばれるこの一家の朝廷

5|だんごセットと「ひま」とアマ

寿から如翺先生へ ◇ あみじま茶屋にて 「お茶にしましょう」  と思って、せっかく訪ねて行ったのに会えなかった!という十時梅厓のお話、楽しく拝読しました。  桜のあとの新緑の爽やかさも、また格別の大川河畔、 (訪問先の岡田米山人の文房はあのあたりだったのかしら…) と対岸を眺めつつ、今回、私は藤田美術館のあみじま茶屋でお茶することにしました。「お茶とだんご」セットは、抹茶・煎茶・番茶の三択ですが、もちろん煎茶でしょう。ここは、なんといっても「青湾」の地なのですから。  美