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璃月モチーフと中国の山岳信仰[原神]

璃月の設計…仙境の始まり

璃月の珉林エリア(奥蔵山、華光の林、慶雲頂、絶雲の間、琥牢山、翠決坡、天穹の谷、南天門)は、主に仙人たちの世界の入口として位置づけられています。

それと同時に、道教(仙人たちの世界)と縁が深い、五岳信仰を下地として璃月地域がデザインされています。

五岳とは、陰陽五行説に基づいて道教において聖山とされる5つの山のこと。東岳泰山・南岳衡山・中岳嵩山・西岳華山・北岳恒山の5つ。
それぞれに道教の神様の伝説があります。

いかにも仙人が住んでいそうな張家界

天衡山=天門山+南岳「衡山」

仙人が住んでいそうな湖南省の張家界を、璃月の仙人世界への入口のモチーフとして利用しました。

璃月の天衡山は、人が住まう土地と仙人が住まう土地のある種の境目になっています。

原神の公式の発言で、天衡山のモチーフは張家界の天門山であることが分かっています。
おそらく天門山に、道教(孫悟空関連)の要素を足したのが璃月の「南天門」だと思われます。

また、モチーフの天門山が璃月において天衡山という名前になったのは、中国の道教の聖地「五岳」の内の一つ、南岳「衡山」を意識したから…という可能性が高いです。

西遊記から連れてきた「南天門」

日本でも有名な西遊記は道教の影響が強い物語で、仙人の世界を知ることが出来る作品です。

西遊記には天界の出入口として南天門が登場します。恐らく原神の「南天門」もそれをモチーフとして名付けられているように思います。

名前の通り、南にある天界(仙界)への入口です。
原神は時折、西遊記のような孫悟空に関連するモチーフを取り入れています。(※例えば魈は南遊記の影響を受けてデザインされたと公式から言及されたことがあります。)

天衡山から絶雲の間、華光の林に至るまで、仙人の住むエリアは全体的に張家界の景色をモチーフとしてデザインされています。

太山府(又の名を泰山府)

中国の山東省に道教の聖地「五岳」の内の一つ・東岳「泰山」があります。

泰山の神として、道教の神に泰山府君(太山府君)、別名東岳大帝という神がいて、冥界の神として有名です。恐らくそこから連れてきた名前だと思われます。

絶雲の間~慶雲頂までは華山への道?

石碑の文「終南に抜け道、華山の一本道。雲間の秘密は、高低で浮沈を見る」

璃月のマップに華山というものはありませんが、実は石碑文にヒントが隠されています。

慶雲頂へは一本道で行けることから、恐らく慶雲頂は華山なのでしょう。

この華山は言うまでもなく、道教の五岳信仰の内の一つ、西岳華山です。

ヒントはもう1つあって、一本道の途中で出会う判官が仙人と斧にまつわる話をしてくれます。

これは華山(主に華陰)の中国版浦島太郎みたいな伝説として、斧を持って迷い込んだ木こりの話があるので、それに基づいたものだと思います。

南、東、西があるなら北は⋯?

今までの例を見た感じ、北に北岳恒山があるのかなーと思って色々考えていましたが、見つけられませんでした。むしろ望舒旅館のモチーフになっていました。なんでやねん。

北岳恒山の断崖絶壁にある懸空寺は、望舒旅館のモチーフのうちの一つだと公式の開発者共研計画の記事で触れられていました。

もしかしたら他にも奥蔵山あたりが恒山モチーフなのかもしれませんが、ちょっと証拠が見つけられなかったので保留中。

道教の縁の地 黄山

中国において、仙人が住んでいそうな山として有名なのが安徽省の黄山です。
予告番組で言及されていましたが、沈玉の谷エリアは黄山周辺地域をモチーフとしてデザインされました。

建築デザインは安徽省黄山市にかつてあった徽州の建築をモチーフとしています。

徽州(徽派)建築

徽派建築を取り入れた荻花州

沈玉の谷地域が徽州(徽派)建築を参考にしていることは予告番組でも触れられていましたが、元々は荻花州も徽派(徽州)建築の影響を受けています。

荻花州のモチーフは桂林という中国の土地であり、中でも桂北は徽派の文化に影響を受けていました。この話は原神の公式動画「コラボドキュメンタリー 桂林」で触れられています。

徽州(徽派)建築といえば沈玉の谷

沈玉の谷はお茶の名産地ですが、安徽省もお茶の名産地です。
沈玉の谷エリアの建物は白の壁に黒っぽい瓦屋根が特徴としてあげられます。

白壁に黒い瓦屋根こそ徽州(徽派)建築の特徴です。また、徽州(徽派)建築は三合院や四合院のような少し囲まれるような建て方をすることが多いという特徴もあります。

仙人が住まう崑崙山モチーフ

璃月はキャラもマップも道教の影響が強いです。
特に沈玉の谷エリア(少し外れていますが)には道教の世界ではかかせない山岳モチーフの山が出てきます。

璃月の赤望台は山海経に出てくる赤望の丘から名前をとっています。
山海経は中国の山岳信仰を知る上でかなり重要な地理書です。

中国の神話は山岳信仰と結びついているので、神話の要素も強い書物となります。

また、来歆山は崑崙山モチーフです。
なぜそれがわかるかというと、浮錦に言われて来歆山で「陸吾」と「開明」を倒すんですけど、
名前が思いっきり中国の神仙系の物語に出てくる神獣「陸吾」「開明獣」だからです。

ということは、旅人が登った仙山は、中国の伝説でこの二匹が守ると言われていて、仙人が住むことで有名な「崑崙山(こんろんさん/ざん)」だとわかります。

西方にあり、玉を産む、仙人たちが住む山だと言われています。

璃月の来歆山もどちらかといえば西にあり、玉と関わりがあり、仙人とも縁が深い地です。

道教の世界(神仙思想)では霊山とされる有名な山なんですね。

まとめ

ここまで中国の山岳信仰と璃月の関係性を語ってきましたが、少しでもみなさんが中国の神話と山岳の結びつきに興味を抱いてくださったら嬉しいです。

また、専門家ではないので、誤りなどあるかもしれませんが、優しく受け止めていただけると幸いです。

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