読書ノート⑩『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(山田真哉著)

【感想】一言で言うと、この本を読んだ今、ものすごく会計を身近に感じ、面白いものだと思うようになっている。取り上げられている事例の分かりやすさはさることながら、文体も簡潔で、説明も「なんでそうなるの?」とどんどん先を読みたくなる構成になっていて引き込まれた。

★各章のまとめ

①さおだけ屋はなぜ潰れない?
●A. 費用のあまりかからない副業だから
└金物屋が、店頭で購入されたさおだけの配達をする際に宣伝しながら「たーけやー」と言っている
☞売上が莫大ではないものの、販売するためのコストが低い

★利益の考え方
 ・利益=売上ー費用 (利益を上げたいなら、売上増か費用減しかない)
 ・節約は、割合ではなく、絶対額で考えよ!

②ベッドタウンの高級フレンチはなぜ潰れない?
●A. 食事の売上ではなく、ソムリエ・お料理教室で儲けていた
└「ベッドタウンだから料理の値段を安めに…」としてしまうと、お料理教室のブランドイメージ(高級フレンチのシェフから学んでいる、というイメージ)が下がってしまう

★連結決算の考え方
 ・本業と副業を連結して、全体として売り上げを伸ばす
☞企業は常に連結できる投資先や営業先を探し、シナジーを求めている
 (e.g. SONYがソニーピクチャーズを作ったのは、映画が盛り上がれば本業も盛り上がるから)

③在庫が山積みの自然食品屋はなぜ潰れない?
●A. ネット通販の在庫を、店にしたものだから

★在庫が悪の理由(会計用語で「棚卸減耗損」という)
 ・在庫は、手間と破損を生む
☞在庫は、売上を生み出さないくせに、保管する手間(コスト)と、破損してロスにつながる可能性を生み出す
 ・「資金繰りがショートする」とはどういうことか
☞売上が入ってくる前に支払いがきてしまい、デフォルトに陥ること

④新商品、完売しきったらなぜ怒られた?
●A. 完売~閉店までの時間で、「チャンスロス」しているから
└チャンスゲイン…需要をすかさず供給し売ること(⇔チャンスロス)
└新商品に完売するくらいの販売力があるのであれば、もっと仕入れていれば、もっと売れたかもしれない!☜機会費用の観点から考えると、損失を生んでいるのと同じ!

⑤大勝ちを狙わない雀荘店員
●A. 回転率を重視し、1ゲームを長引かせないようにしたから
└雀荘は、1ゲームやらせることで手数料をとっている。1ゲームで大きく利益を得るよりも、何回もゲームをやらせた方が売り上げが多くなる

★回転率はなぜ大事なのか
・利益を出すなら、売上増か、コスト減。売上増をするためには、単価を上げるのが手っ取り早い。
 ☞しかし単価を上げると、買い手は減る。売れれば大きく儲けるが、売れなければ在庫を抱えるだけ。売上の予測もしづらい。
  ☞単価を低くして回転率を上げれば、売り上げの予測がしやすくなる!

*著者からのメッセージ
・会計には、「数字への強さ(=計算力の高さ)」よりも「数字のセンス」が必要
 ★「数字のセンス」とは?
 数ある数字の中から、自分にとって大切で影響力の強い数字を見抜き、分析する力。数字の見せ方に騙されることなく、数字が「何を意味しているのか」を考えることができる。

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