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10社にアカウントロック!1年かけて大型受注に繋げるエンタープライズセールス成功の秘訣はKPI

今回のnoteでは、B2B営業の最高峰とも言えるエンタープライズセールスについて解説したいと思います。

近年、多くのB2B SaaS企業でエンタープライズセールスの争奪戦が繰り広げられています。

背景としては、これまで中小企業への営業を軸に売上を伸ばしてきた企業が、更なる成長を目指す上で大手企業の開拓は欠かせないからです。

どれ位の売上インパクトがあるかというと、
例えば私の支援先ではエンタープライズセールスチーム(3名)の売上がSMBセールスチーム(13名)の売上の2.8倍になっているケースもあります。

SaaSのようなライセンスビジネスは、ライセンスを発行するユーザー数で一社当たりの売上の天井が決まります。
だから従業員数が多い大手企業からの受注は、売上を急激に伸ばすことができるのです。

因みに、エンタープライズセールスではSales Level3以上のスキルが欠かせません。
そして、このスキルを有している営業はごく僅かです。
私の感覚だと、100人営業がいたら存在率は7人以下です。

エンタープライズセールスが難しい3つの理由

難しい理由を挙げたらキリがないのですが、今回は3つに絞ってお話しします。

<エンタープライズセールスが難しい3つの理由>
1. マーケティングでリードが取りづらい
2. 商談プロセスが複雑
3. 狙ったターゲットのみに営業をする強い精神力が必要

1. マーケティングでリードが取りづらい

The Modelの営業プロセス

The Modelをベースとした営業プロセスを採用している企業はかなり多くなってきました。

ここでの営業活動の起点は、マーケティングによるリード獲得です。

デジタルマーケティングやイベント出展などを通して、リードを獲得することから始めるわけですが、獲得したリードのうち大企業の有効リードが占める割合は一桁パーセントに止まります

多くの場合、従業員数が1,000名以下の企業のリードとなります。
仮に大企業のリードが獲得出来たとしても、対象部署でなかったり対象職種・役職でないことが頻発するのです。

2. 商談プロセスが複雑

仮にリードが取れて初回商談まで進んだとしても、大抵すぐには受注できません。

大企業ならではの意思決定の遅さ、先方の人間関係の把握、導入することは企業にとってはメリットはあるけど商談中の担当者にとってはメリットがないことの解消など、針の穴に糸を通す様な繊細な営業活動が必要です。

仮に口頭合意を得たとしても、契約書の法務チェックや社内稟議申請などに数ヶ月かかることもしょっちゅうあります。

ですので、営業は先方の購買プロセスを把握した上での活動が必要となります。

3. 狙ったターゲットのみに営業をする強い精神力が必要

冒頭にお話しした通り、そもそも有効リードが取りずらい対象であるので、対象企業を定めて受注を取りに行く活動が必要となります。

ここが多くの企業でエンタープライズセールで躓くポイントです。

というのも、エンタープライズセールスを実施している企業でもマーケ活動を起点としたプロセスとなっていることが殆どです。
これがボトルネックとなり、後々スケールしないことが散見されます。

つまり、ターゲットが大企業なだけでやり方はSMBセールスと同じ状態。

「エンタープライズセールスやるぞ!」となるきっかけは、過去獲得した大手企業のリードが一定数ある状態であることが多いのですが、最初の半年で当たり尽くすと、活動が停滞してしまうのです。

エンタプライズセールスの攻略方法

マーケティングでリードが取りづらい課題は、狙った企業に対して営業をかけることで解決していきます。

しかし、狙った企業から受注することの難しさは一度でも営業をやったことのある方ならわかると思います。
この時点で、殆どの営業マンは対応できません。

複雑な商談プロセスは、後述するアカウントプランを活用して解消していきます。
見込み客の組織図や購買プロセスなど公開情報を元に整理し、営業活動を重ねる度にアップデートしていきます。

また、エンタープライズセールスとして担当する企業の目安は10社程度、多くても20社とします。

そして一度、ターゲット企業を決めたらその企業しか営業できない状態にします。これがアカウントロックです。

アカウントロックを決意した上での営業活動は、経営陣にとっても強い意志を求められます。勿論、現場の営業には強い精神力が必要です。

強い精神力をも含めた営業力が問われる。
これがエンタープライズセールスなのです。

ここからは具体的な手法について解説いたします。

アカウントプランについて

ターゲット企業が決まったら、アカウントプランを作成します。
アカウントプラン作成時には、その企業の決算資料などを読み込みます。

アカウントプランの例(一部抜粋)

ここでのポイントは、見込み客の方針や目標を理解し、その目標を実現する為に自社が貢献できることを整理していくことです。

それが出来たら、以下のように目標を達成する為のアクションプランを整理していきます。

①アクションプランの例

アクションプランは「これが出来たら確実に目標達成ができる」という位に、解像度の高いものを作成します。ここが生命線。

個社毎に目標を達成する為に「いつまで」に「どんなアクションをする」のかを明確にします。

KPIについて

エンタープライズセールスのKPIは上記のアクションプランに加えて、見込み客の組織の攻略状況や、Forecast(売上予測)の進捗などを先週比で進捗をレビューします。

②組織図のサンプル
③Forecastのサンプル

定量的なKPIに加え、定性的なKPIも先週比でどれくらい進捗したのかを毎週レビューしていきます。
量をこなすだけでは商談が進捗することはあり得ません
これがエンタープライズセールスが難しいと言われる所以です。

見込み客のビジネスパートナーとして選んでもらう為に、想像できる全てのことを実行していきます。

地味に効いた有効な取り組み

ここでは、私が経験した有効な取り組みを2つご紹介します

1.Sansanの活用

Sansanを活用した組織の人脈共有のイメージ

私がメルペイ(メルカリ)に在籍していた時に、抜群の成果を発揮していたのが同僚や上司の人脈を駆使した顧客開拓でした。

エンタープライズセールスとして担当企業が決まったら、その企業名をSansanで調べます。すると大抵の場合で社内の誰かしらが、その企業の担当者と接点を持っていたのです。

これはメルカリのようなメガベンチャーや、大企業のような社員数が大い企業に所属していたら、ネットワーク効果が増大します。

<ポイント>
・名刺はデータ化してSansanなどで一元管理する
・オンラインでの名刺交換も駆使する
・全社員がSansanなどを活用する

これは地味に効くので、全社で取り組むべき施策です。

2.接待
私がキーエンスの子会社に在籍していた頃は接待禁止でしたし、私は接待が好きではなかったので軽視していましたが、
結論、エンタープライズセールスにおいては接待は有効です。

相当な時間をかけて見込み客の面々と関係構築をしていくわけなので、接待を通して先方の決裁者と接触できるケースも多々ありました。

先方の役員クラスに参加してもらいたい時は、自社の役員クラスを引き合いに出してオファーします。

接待に持ち込むのにも多少の関係構築が出来ている必要がありますが、接待に持ち込めたら徹底的にGiveします

「乃が美」のふんわりやわらかな生食パン

その際、絶対に欠かしてはいけないのは「手土産」です。
「高級 × 貰ったら嬉しい」を意識した手土産がおすすめ。
乃が美の生食パンは、私も頂いた時テンションが上がりました。

このようにエンタープライズセールスは、真面目にがむしゃらに営業をすれば良いというものではないのです。

皆さんの周りにはこんなスキルを有した営業マンいますか?

いたとしたら超レアです。

きっと一人で十人分の売上を叩き出している筈ですし、このスキルを有した営業は、もはや会社に所属しなくても営業力だけで食っていけます。

営業をやるからには最高峰を目指して頑張りたいものです。


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