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論文マラソン2 弘中智子「1940年以後、戦時下の前衛絵画の展開」

こんばんは。仕事終わりの某美術館学芸員です。
本日の論文は、弘中智子氏の「1940年以後、戦時下の前衛絵画の展開」(『さまよえる絵筆ー東京・京都 戦時下の前衛画家たち』弘中智子・清水智世編著、みすず書房、2021年、8〜15ページ)です。
三重県美さんで現在開催されている「シュルレアリスムと日本」展に行く計画を立てておりまして、行く前に読むとより理解が深まるかも?と思い選びました。

本論文が収録されている展覧会図録『さまよえる絵筆ー東京・京都 戦時下の前衛画家たち』ですが、論考も図版も資料も大変充実しており、大大満足です。図書館に返却したら自分用に買おうと思います。
いつか私もこんな仕事できるようになりたいよ〜えんえ〜ん😭

論文構成

1930年代の前衛絵画
戦時下における「古典」の紹介
前衛絵画の先駆者たちと「古典」
1940年代の前衛絵画
福沢に学んだ画家たち
新人画会と「古典」
西洋の「古典」から日本のモチーフへ
おわりに

簡易メモ

・キーワード:前衛画家の「古典」への接近
※ここでいう「古典」は広く近代以前を指す。
・本論にて筆者は、国威高揚が叫ばれ、「古典」が叫ばれる以前から、前衛画家たちは西洋・日本の「古典」のモチーフや技法に注目しており、それによって前衛絵画は新たな展開をみせたことを示している。
・結論:シュルレアリスムをはじめとする前衛絵画は、「古典」を取り入れることで監視の目を逃れていた側面がある。前衛画家たちは「古典」を参照しながら、当時の社会情勢や自身の抱える問題を見つめ、それらを作品に落とし込んでいた。

気になったこと・感想

・難波田龍起や、新人画会に所属していた画家たちが「古典」を取り込むことで推し進めた前衛性について確認でき、作品の見方が変わった。
・こんな仕事ができるようになりたいヨ(本日2回目)

所要時間:32分



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