『解離性障害』の疾病利得。

『解離』自体は誰でも起こる身近なものです。

 例えば、何かに集中し過ぎて周りの声が聞こえなくなったり、ペダルを意識しなくても自転車に乗る事が出来たり、つまらない会議や授業中にぼーっとしていたらいつの間にか終わっていたり。心の中の天使と悪魔も『解離』と呼べるし、運転している時だけオラオラ系になったり、好きな男の腕の中でも違う男の夢をみたりするのも『解離』です。
 こうしてみると『解離』なく生活する方が珍しいかもしれません。


 良くショックのあまり気絶、骨を折る重傷なのに本人はキョトンとしている。なんてシーンありませんか?あれも『解離』です。普段行われている『解離』よりは重いですが、まだ正常な範囲です。

 強いストレスである時期の記憶が無い。痛みや苦痛が感情と共に抜け落ちている、など。ここから分類的には『解離性障害』になっていきます。『解離性健忘』です。

 横文字が入りますが『カタレプシー』と言うのもあります。身体が動かなくなる状態です。
 殴られたり蹴られたりした時、反撃できる状況でも身体を丸めるしか出来なかったりします。

 次に自分の身体が自分の物として感じられなかったり、別の場所から自分自身を見つめていたり。実際行っている事なのにまるで現実感がない、などは『離人症』と言います。これは私は良く陥ります。
 小学生の時ほど遠くから自分をはっきりと見る事はもう流石にありませんが、身体が思い通りに動く事に違和感があったり、何故私はここに居るのか……と自分の部屋で感じたりします。

『解離性運動障害』では、身体が麻痺して感覚が無くなったり、逆に勝手に動いたりします。震えが止まらなかったり……でしょうか?
 私の似た症状としては、顔によく出ます。「頬が落ちる」というと美味しさの表現みたいですが、触っても自分の頬という実感がなく、もしかしたら腐り落ちるかも?なんて心配を本気で1ヶ月前にもしてました。

 あと、幻聴幻視もあります。
 他の病気、例えば『統合失調症』などの幻聴は曖昧で、ボソボソ声や電波や不快な音として聞こえるのに対し、『解離性』でははっきりとした声で聞こえるのが特徴らしいです。
 私はこれに関しては自覚はなかったのですが、幻聴は聞いてるかもしれません。うとうとしていると名前を呼ばれたりするので。

 『解離性遁走』と言うのもあります。記憶をなくして数年別の場所で過ごし、ある日思い出して元の生活に戻るという現象です。この期間の間は普通に生活しているにも関わらず、ほぼ記憶がありません。しかも、幼少期のトラウマがなくてもなりえます。誰しも突然なる可能性があります。

 そして解離の中で一番症状が重いのが『解離性同一性障害』いわゆる『多重人格』です。
 漫画とかでは別人格になってもその記憶を有している事がありますが、実際はありえません。寝ている間に他人が自分の身体を勝手に使っているという感覚です。


 さて。私には『解離性障害』のうち、『健忘』『離人』『運動障害』『幻聴』『カタレプシー』という症状があったわけですが、正直に言わせて貰えばそれ自体は物凄く便利です。

 例えば『健忘』。良い言い方をすれば、というか、使いこなせば無心状態にすぐなれます。無我の境地とか、ゾーンとか。
 中学生の時に、した記憶の無い英語の夏休みの宿題が埋まっていた時は小躍りしました。

 『離人症』は、私は車の運転に使います。感覚を切り離して、車を外周させます。すると車幅が完璧になります。
 この方法を取る前は擦ったりしてましたが、今では5cmづつしか隙間が無くても駐車できます。

 『運動障害』は痛い時によく使います。頭痛なんかで休んでられるか!という時に痛みを伝える神経を遮断したりします。あまりに強い痛みだと倦怠感が半端ありません。やっぱり痛みの元は解決してないので。




 ただ、これらは私が常に恐怖心を健忘させていたから出来ていた事だと思います。

 腕の一本折られた所で「まあいいか」で済ませられるように訓練されて来た脳は些細な事で恐怖をいだきません。

 『解離性障害』だけじゃないですが、本人や周囲が不自由を感じていなければ『病気』ではないのかもしれません。


 今は、忘れる事も、自分の身体が自分の物でない感覚も怖いです。
 これが解離性障害が治る前兆なのか、酷くなる前兆なのかわかりません。





 できるなら、常時解離状態は私の書く文章の「持ち味」や「武器」になる、と思うので使いこなしたいのです。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?