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父と冷蔵庫と昭和のもったいない精神

父から電話があり、冷蔵庫を小さいものに買い替えたいという。

お?いいね!一人暮らしに400リットルの冷蔵庫は大き過ぎるもの。今も実家の冷蔵庫はいつ買ったかわからん賞味期限切れだらけだもんね。管理しやすくなるのは良いことだ。

父は100リットルくらいでいいんじゃないか?というが、たぶんそんな小さい冷蔵庫は無いのではないかな。

家電量販店に行って一人暮らし用を案内してもらうといいよ、と言っておいた。
翌日電話があり、エディオンで一人暮らし用の日本製の冷蔵庫を見つけたのでそれにすると連絡してきた。
私は冷蔵庫代を父の銀行口座から下ろして持って行くと伝えた。実家の父はATMを使ったことが無いし、覚える気も無いので母が特養に入る時に私が管理するようになったのだ。毎月の生活費は私が下ろして渡している。

よしよし、小さい冷蔵庫になったらあとの始末が少しでもラクになる。
私は冷蔵庫の買い替えはとても良いことだと思い、長年溜まっている冷蔵庫の裏のホコリも綺麗にしよう、とホクホクしていた。

ところが…だ。

今日になって父から電話があり、やっぱりまだ今の冷蔵庫が壊れてるわけでは無いから小さい冷蔵庫に買い替えるのを止めると言ってきた。

私はポカーン…として電話口で無言になった。

は?なんで?昨日までノリノリで買い替えると言っていたではないか。

理由を聞くと「冷蔵庫のリサイクル代が高い」「ワシはもう10年も生きられない」かららしい。いやいや、ちょっと待て。

実家の冷蔵庫は14年ものである。
あと6年も保たないだろう。
壊れて買い替えるときには父はもう80代後半になっている。それこそ、あと2,3年のために買い替えるほうがもったいないのではないのか?
いや、絶対そうなるに決まってる。

新しい冷蔵庫は5万円くらいだ。
電気代は年間7000円くらいに下がる。
だが父の言い分は10年で電気代の元を取れないからもったいない…らしい。

違う。そうじゃないんだ。
潰れるまで使うのは昭和の美徳だ。
一度買ったが最後、壊れるまで使う。
確かにそれは素晴らしい考えではある。

だがそれは良し悪しなのだ。
我が家は3年前にエアコンを買い替えたが電気代は格段に下がった上にプラズマクラスターまで付いていた。家電は常に進化しているのだ。

この猛署にエアコンがもったいないといって扇風機で凌ぐ世代だ。あげくにたくさんの方が熱中症で亡くなっている。そういう世代なのだ。無理と根性と我慢の世代。

父の脳みそは残念ながらデカい冷蔵庫を最終的に処分することになる私のことまでは頭が回らないらしい。年を取った可愛い愛娘が苦労するのだぞ?

まぁ、もういいや。どうせ私が実家の最後の片付けしなければならんのだ。
冷蔵庫の1つや2つ、小さくなったところで手間は変わらない。

父よ…私には今、脱力感しかない。良い決断をしたのになぜ引き返す?

同じ昭和生まれでも父の世代とは埋まることのない大きなクレバスが立ちはだかっているのだね。


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