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統一教会と政治 | 宗教と政治#1

憲政史上最長政権を築いた元首相がテロの犠牲となる。
そんな衝撃的な事件をきっかけに再びその反社会性・異常性が注目されている旧統一教会(世界平和統一家庭連合)。

旧統一教会が一般の人に広く知られるようになったのは1980年代後半から90年代半ばのことだ。
特に当時人気を誇っていた女優やスポーツ選手が次々と入信を発表したことに世間は衝撃を受けた。

さらにこの時教会による霊感商法なども世間の耳目を集めた。95年に地下鉄サリン事件を起こすオウム真理教の勢力拡大もちょうどこの時期と重なる。

さて、旧統一教会はどのようにして日本に入り込んできたのか。

自民党との蜜月は半世紀前から

日本と旧統一教会をめぐる歴史は以下の通り。

出典:読売新聞2022年8月9日付

韓国ソウルで発祥した旧統一教会は64年の東京五輪開催年に日本で宗教法人化された。

そして、全国の大学にサークルのような組織を設置し、日本での布教活動を本格化。
現在も旧統一教会であることを告げないで、サークルを入口とした勧誘活動が続いているという。

84年に創立されたオウム真理教も同様にサークル団体を装った勧誘活動を行っていたというのだから、旧統一教会の勧誘方法を模倣していた可能性がある。

68年、旧統一教会は渋谷区に本部を移転した。
驚くことにその場所は当時首相を務める岸信介氏の自宅至近である。
これが単なる偶然であったとは考えにくく、自民党とのかかわりが始まったのはこの場所であることを踏まえると、どちらかが接近するために意図されたものであろうことは想像に難くない。

時を同じくして、国内含め東側諸国の共産主義勢力に打ち勝つ目的で教団の友好団体「国際勝共連合」が韓国、日本で創立。

保守色の強い岸氏とは相容れる存在であっただろう。
実際この頃から、岸氏は旧統一教会のイベントなどにたびたび出席あるいは関与するようになる。

受け継がれた人脈 選挙活動への利用へ

岸氏の死後、義理の息子である安倍晋太郎氏が教団の人脈を引き継いだ。

そしてこの頃から自民党の選挙活動にも、教団が関与することになったとされる。

ある元衆院議員によると、晋太郎氏は教団や関連団体を選挙を有利に運ぶために利用できると語ったという。

このことは、岸信介‐安倍晋太郎‐安倍晋三(元首相)親子三代に渡って領袖が受け継がれる清和会に所属する議員が最も教団との関係を持っている事実からも読み取れる。

選挙活動における教団と自民党との関係からは、日本の政治活動の特異点や違法性を見出すことができるが、そちらについては稿を改めたい。

いずれにせよ、宗教団体を支持母体とする公明党との選挙協力よりも前から関係は始まっていたと見ることができるだろう。

自民党議員が最多 野党にも広がる教団のネットワーク

程度に差はあれど、教団との関係を持っていた国会議員は101名にのぼるとされているが、これは日本の国会議員の約14%を占める。

旧統一教会の信者数が6万人ほどと、新興宗教で最も公称信者数が多い創価学会の0.6%しか及ばないのにも関わらず日本の政界にこれだけ影響力を持つことは、いかに自民党が築いてきた権力が大きいかを物語る。

さらに自民党の関係する議員の中でも突出して多いのが先述の清和会所属議員だ。すべての関係する議員の3割以上を清和会所属議員が占める。

関与のあった議員は自民党に留まらず、最大野党の立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の議員も含まれる(参政党も1名)。

関与の仕方もさまざまで、教団やその友好団体のイベントへの出席、祝電、選挙スタッフの派遣、なかには献金を受けていた議員まで。

反社会的団体の増長に広告塔として利用される国会議員

報道にもある通り、教団は日本の信者から法外な金額を献金させ、それを毎年韓国の本部へ“上納”している。

教団は“アダム国家”である韓国へ“エバ国家”の日本が資金を上納するという構図を作り上げ、その正当性を担保するため、日本の国会議員をいわば広告塔として利用しているのだ。

これはれっきとした反社会的行為にほかならず、早急に教団の活動を規制することが強く求められる。

関与した国会議員全員が教団との関係を絶つと宣言し、以後教団がその政治家を利用した事実が判明すれば、即刻法的手段をとる。
そうでもなければ、教団の反社会的行為に公的なお墨付きを与えることになる。少なくとも信者にはそう映る。

個人的な疑問

旧統一教会の教義はきわめて女性差別的で伝統的な家族観を持つ。

ところが、教団と最も深いかかわりがあったとされる安倍元首相は慰安婦問題について寛容的であった。

隣国への外交的配慮であるととれるが、約10億円の賠償金を拠出している。

慰安婦問題そのものが女性差別問題であることを考えれば、疑問を持たざるを得ない。

ただ、見方を変えれば、教団側では広告塔として利用できるなら問題ないとしたか、安倍氏自身は教義に心酔していたのではなく、祖父からの付き合いを利用していただけと見ることができるが…。

ここに答えを見出すのは不可能かもしれない。

追伸

本稿は8月15日に出稿する予定でしたが、シンプルに投稿を忘れていました。


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