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自民候補者陣営に空砲投げ込まれる 断ち切れぬ暴力の連鎖 | 沖縄知事選

今こそ暴力行為に対して政治的立場を超えてNoを示すべきではないか。 今回は自民党候補者に暴力被害が及んだわけだが、対立候補の陣営にも波及するおそれがある。 最大の対立候補現職の玉城デニー知事は、これまでのところ本事件について言及がない。 自身が知事を務める県内で発生した民主主義を脅かす蛮行に対し一切の声明を出さない点に、玉城氏の危機管理意識の低さが垣間見える。 さらに言えば、首相経験者が凶弾に倒れるという戦後かつてない事案が発生してから間もないにもかかわらずだ。 一方

#18 マイノリティが多数派に迎合する地獄

東京ディズニーランド・シーが性別を特定するような園内アナウンスを変更すると発表した。 実はこの流れは、近年国内外の企業で進んでおり、多様性の受け入れはもはやグローバル企業共通のスローガンとなっている。 しかし、日本では女性やLGBTQなどに限らずそもそもマイノリティに属する人たちへの不寛容さが目立つ。 例えば、冒頭のディズニーランドの記事にも「このアナウンス聞くとディズニーに来たな!ってワクワクしてたのにな。」や「少数派の声を気にしすぎる

#17「辺野古完成難しい」それでも工事が続くのは

コロナ禍により問題自体が忘れ去られようとしている。 辺野古移設問題は多くの問題を孕んでいるが、朝日新聞の報道によると、 米首都ワシントンに本部を置く有力シンクタンクが昨年11月のレポートで 辺野古新基地の完成は難しいと評価していた。 下記のCSIS(米戦略国際問題研究所)レポートに言及があった。 言及箇所を以下抜粋する。 ”The re-stationing effort also involves building a new a

作られた分断:第十六部 地殻変動の10年 月1回以上のペースで5弱以上の地震

2007年10月1日より導入された緊急地震速報ですが、最近では新型コロナウイルス感染拡大防止のため、自粛を促す発信に使われたことで話題になりました。 この発信方法の是非はさておき、そもそも緊急地震速報というのは「震度5弱以上の揺れが予想される地域および震度4の揺れが予想される地域」を対象に発表されます。 意外にも「震度4の揺れが予想される地域」が発表対象になっているのは、あまり知られていません。 2013年からは、ゲリラ豪雨災害での避難の遅れにより甚大な被害が出たことを

「作られた分断」について(米軍基地編)

2017年12月よりスタートした連載企画「作られた分断」では、みんながイヤだと思っていることを誰に押しつけるのかがテーマとなっている問題、おもに米軍基地問題、原発再稼働の問題を取り上げています。 本連載を途中から読まれる方にも理解していただけるよう、米軍基地問題、原発再稼働問題に関する基礎情報を2回に分けて掲載致します。1回目の今回は在日米軍基地をめぐる問題です。 ◇沖縄県への基地集中は1956年ごろから2019年現在、日本に存在する米軍基地の数は51。そのうちの約7割が

「お金をもらっているので反対できない」地元住民の苦悩|作られた分断#15

沖縄は四方を海に囲まれており、陸路で向かうことはできない。その地理的特性が影響しているのだろうか、デマが流布され、固定化しやすい。 「辺野古の座り込みは県外あるいは国外の人間がほとんどで、彼らは(日本の再軍備化を警戒する)中国や韓国から資金提供を受けている」、「(辺野古移設に反対する)玉城デニー氏が知事になれば、中国が沖縄を占領する」など誰でもデマだとわかるようなことがらが拡散し、固定化される。 辺野古移設に反対する座り込み抗議活動に県外や国外の人たちが多いのは事実だ。座

作られた分断:第十四部 国策の犠牲になり続けた沖縄 基地問題への無関心はこうして作られた

24日投開票を迎えた辺野古新基地建設の是非を問う県民投票は、移設反対票が賛成票を大きく上回り、あらためて「辺野古ノー」が示された。 沖縄県民投票の結果 投票率52.48% 開票率:100% ・賛成:114,933票(18.99%) ・反対:434,273票(71.74%) ・どちらでもない:52,682票(8.7%) 県知事の玉城デニー氏は移設反対票が県内有権者の4分の1を超えたとして投票結果を日本・米国両政府に通知した。結果通知を受けた日本政府は結果にかかわらず移設工事

作られた分断:【速報】「辺野古移設」反対多数確実 ふたたび示された民意は重い

たった今、辺野古移設の是非を問う県民投票の反対多数が確実となりました。移設反対派の玉城デニー氏が昨秋の県知事選で史上最多得票で勝利したのに続き、ふたたび「辺野古No」の民意が示されたといえます。 辺野古新基地建設に使われるセメントを造る場所=名護市 (株)琉球セメント前 世界一危険な軍事基地、米軍普天間基地の移設先としている辺野古を「唯一の選択肢」として13年もかかる工事を強行する政府与党の姿勢に厳しい批判が集まることは言うまでもありません。 しかし、基地周辺以外に住む

作られた分断:第十三部 大阪生まれ大阪育ちがなぜ、沖縄の県民投票に関心を持つのか

米軍普天間基地の辺野古移設の是非を問う県民投票がこんや投開票されます。 今回、沖縄に足を踏み入れたのはこの県民投票を取材するためです。なぜか。関心があるからです。 米軍基地問題は対岸の火事ではないじゃあ沖縄県で生まれ育ったわけでもない人間が、なぜ他県の問題に頭をツッコむのか。単にそういう趣味を持ったおじさんだからなのか。 当たり前ですが違います。米軍基地を日本のどこに置くべきか。ひいては、日本の安全保障を他国の軍隊に委ねていいのか。要するに、「よそのことだから関係ない」とは

作られた分断:第十二部 県民投票告示日に「投票結果に関わらず移設進める」宣言 移設反対派の諦めねらったか

今月24日に投開票される辺野古移設の是非を問う県民投票がきょう、告示を迎えた。 政府与党は、投票結果にかかわらず移設を進める構えで、この民意を無視する宣言に多くの批判が集まりそうだ。 また、投票結果の効力がないことをあえて告示日にほのめかすことで、県内に広がる移設反対のムードをかき消すねらいがあったとみられる。 これまでにも、移設反対の県民世論の高まりを政府はあの手この手を使って封じ込めようとしてきた。 なかでも露骨だったのが、県民投票の選択肢を「賛成」、「反対」の二択では

作られた分断:第十一部 「民主主義を守るため」ハンストした若者 県民投票不参加の5市、反対派の切り崩しねらう

来月24日に、辺野古新基地建設の是非を問う県民投票が行われる。各種報道でも示されているとおり沖縄県民の大半は、辺野古への移設に反対だ。ただ、県民投票に向けた県内の自治体の動きは非常に鈍い。県民投票に不参加を表明する自治体が出てきたのだ。これまでに県民投票不参加を表明した自治体は沖縄市、うるま市、宜野湾市、石垣市、宮古島市の5市。 この5市が県民投票を実施しなければ、県内の有権者の実に3割が投票できないことになる。有権者から投票する権利を奪うのは、民主主義と参政権の否定である。

削られる年金 膨らむ防衛費 | 作られた分断#10

なぜ、辺野古の新基地建設が沖縄県に住む人たち以外にも関わってくる問題だといわれるのでしょうか。 辺野古の埋め立てに反対する理由は実にさまざまです。 ローラさんの「美しいサンゴ礁を埋め立てないでほしい」という純粋なものから、「反対する人たちの意見に耳を傾けようとしない政権のやり方に反発している」という手続き、手法について批判する人もいます。 じゃあ、あなたはどうなの?ってことなんですが、辺野古の話題を出すとよくこんなことを言われます。 「辺野古のことは政治に関わるよく分か

作られた分断:第八部 デニー氏勝利は基地反対の民意なのか?

翁長雄志沖縄県知事の急死にともなう県知事選は辺野古新基地建設に反対する玉城デニー候補が当選。 この選挙は、日本政府が米国との【辺野古の海にコンクリを流して基地にする】約束を認めるかどうかが問われた選挙であり、日本の安全保障のあり方も左右するものだった。 しかし、議論の矛先は 「デニーさんが知事になれば沖縄県が中国に乗っ取られる!」 という非常にレベルの低い方へと向けられた。 特に頭が柔らかく、想像力をフルに使ってしまった10代、20代の若い世代の多くが「デニーさんが

作られた分断:第九部 ローラはエコ意識が高いから辺野古の埋め立てに反対した

タレントのローラさんが、Instagramで辺野古の埋め立てを中止しようと呼びかけたのは衝撃的でした。(それに、Instagramは基本的にコーギーしかフォローしていなかったので見逃しました。) しかし、すぐに納得することができました。 ローラさんの場合、ただ純粋に辺野古の海を守りたいと思っているからです。 そこに政治的な思惑などいっさいないので、ストレートに人の心に届きます(届かない場合は心の通信環境を整え直すべきだと思います) 実際、ローラさんが呼びかけたホワイトハウス