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ファイターズの前半振り返りとこれからの話

1.はじめに

 7月に入り、先日オールスターの選手間投票が発表されましたね。早いもので、プロ野球は前半戦を終えようとしております。今回は、最下位で折り返すことが濃厚なファイターズの、少し早めの前半戦振り返りと後半戦の戦い方についてお話しします。

2.前半戦振り返り

 7月2日時点でのファイターズの成績ですが、

73試合 26勝39敗8分 勝率.400  5位とのゲーム差6.0

 混戦のパリーグにおいて断トツ最下位を走っております。開幕前から決して下馬票は高くなかったので、予定調和な面もありますが、開幕前は「コア5(西川、大田、近藤、中田、渡邉)への依存度が高く、投打において脇を固める戦力不足」というイメージでしたが、蓋を開けてみれば「若手や意外な戦力が台頭し、昨年に比べ戦力増強しつつあるも、コア5を筆頭に主力や外国人の大不調による低迷」という状態でした。弱い事に変わりはないのですが、弱体化した理由が想定外でした。
 コア5(渡邉はコアと呼ぶにはまだ早いかもしれませんが)の低迷については、下記のツイートがわかりやすいです。

 各々キャリア最低クラスの不調に陥っており、西川や大田などスタートダッシュに失敗しただけで戻してくるだろうと思っていた選手も戻せておりません。なぜ揃いも揃って不調なのかはわかりませんが、吉村GMも栗山監督も想定外だったでしょう。
 コアに依存した舵取りが悪いと言われればそれまでですが、コア以外が育ってなかっただけであり、どこのチームもある程度コアに依存しているのではないでしょうか。外国人補強不足感はありますが、コロナ禍の影響と予算の制約があったのかなとは思います(予算については内部のことなので不透明ではありますが)。主力が軒並み減俸となる今シーズンのオフは豪華な補強に期待したいです。
 ネガティブな話題だけではありません。良い意味で期待を裏切った選手も数名います。

加藤貴之(29歳)12試合 3.73 3勝5敗 72.1回 53奪三振 QS率58.3
伊藤大海(23歳)12試合 2.65 6勝4敗 74.2回 80奪三振 QS率83.3
河野竜生(23歳)26試合 1.54 1勝1敗 35.0回 34奪三振
堀瑞輝 (23歳)32試合 2.08 2勝1敗 26.0回 26奪三振
池田隆英(26歳)11試合 2.98 3勝7敗 63.1回 39奪三振 QS率45.5
王柏融  (27歳)42試合 .242  5本 24点 OPS.775
野村佑希 (21歳)30試合 .321  1本 8点 OPS.759
淺間大基 (25歳)61試合 .286  3本 13点 OPS.741
五十幡亮太(22歳)19試合 .286  1本   4点 OPS.720 8盗塁
万波中正 (21歳)30試合 .200  2本 5点 OPS.617
高濱裕仁 (24歳)37試合 .282  3本 14点 OPS.776

 投手ではローテーションの顔ぶれが大きく変わりました。今シーズン移籍してきた池田を筆頭に、ルーキー伊藤も大活躍しており、オリックス、ソフトバンクに次ぐリーグ3位の先発防御率を支えております。加藤については防御率は悪化しておりますが、21先発して120回を消化した2017年より平均投球回が伸びており、優秀なイニングイーターのいないファイターズに大きなバリューを生み出しております。
 リリーフ陣がウィークポイントとなっていますが、河野のドラ1コンビが成長しており、火消しから勝ちパターンまで随所で活躍しました。堀、河野ともに出力が上がっており、勝ちパターンを任せられるピッチングを披露しております。河野はカットの質とコマンドも良化しており、先発を任せたいですが、配置転換を繰り返すのも良くないので、来季から先発再転向で問題ないと思います。

 野手ではまさに若手の夜明けとも呼べるシーズンで、伸び悩んでいたプロスペクト(淺間、高濱、王)将来を嘱望されるプロスペクト(野村、五十幡、万波)が一斉に台頭しました(昨年のレギュラーが悲惨だったため台頭せざるを得なかった)。野村以外の若手は、主力が例年並みであれば出場機会が怪しかったポジション(外野手、一塁手)のため、怪我の功名でしょうか。
 個人的に嬉しかったのは、高濱&淺間の横浜高校同級生コンビです。高卒1年目に46試合で.285を記録した天才淺間と、イースタンで首位打者に輝くも怪我もあり育成から這い上がった高濱。一時的な好調かと思っておりましたが、淺間に関しては成績が持ち直しており、ともにこのまま1軍に定着するでしょう。各所で言われておりますが、高濱はポジションが問題で、中田が復調した後(すると信じている)どう共存するかですね。二塁手というオプションがあればユーティリティ的に使えますが、渡邉が不調でも試していないので、首脳陣の頭にはなさそうです。

3.後半戦に挑むヤングファイターズ

 主力の不調と根本的な戦力不足により、最下位のまま折り返すファイターズですが、現在の戦い方はそれほど悪くないと思います。一部では再建を希望する声もありますが、MLBと違ってNPBでは再建は得策ではありません。
① MLBより戦力格差が少なく、優勝までのハードルが低い
② 主力とプロスペクトをトレードするカルチャーがない

 など、様々な理由がありますが、正直現在のファイターズは再建にシフトするほど戦力不足だと思いません。主力のバウンスバックと若手の覚醒が噛み合えば戦力はある程度整うでしょうし、来季は石川直也の復帰もありリリーフ陣も着実に整備されます。ドラフトも近年は順調に指名を重ねていますし、外国人補強もあわせて来季はAクラスを狙うことも可能だと思います。もちろん多くのifに左右されますが、近年ソフトバンク以外の球団は似たようなものではないでしょうか。
 勝利を最優先とするのか、若手の出場機会を増やすのか、毎年最下位の球団が直面する命題ですが、今シーズンを含めた3〜5年の時間の意味を最大化できれば良いと思います。正直若手偏重になり過ぎて負け癖がつくのは避けたいので、最下位独走であってもある程度勝ちにこだわるべきではないでしょうか(すでに負け癖がついているという意見は無視します)。しかし、無理をする必要もないので、
① 来シーズンのコンディションに影響のあるようなリリーフの酷使
② 若手(野村、清宮等)に球団の未来を背負わせ、パフォーマンスが落ちてもレギュラー固定

さえなければこのままで良いと思います。特に万波のように2軍で消化する課題がない選手は積極的に起用するべきです。ただ、以前は「期待の若手をベンチに置いておくくらいならイースタンで打席を与えろ」論者でしたが、考える時間を与える意味でも隔日出場でも問題ないと思います。特に体感のためデータはないのですが、今シーズンの若手は休養日明けの方が成績が良く、連日出場するとパフォーマンスが落ちている気がします(体力的な問題も大きいと思いますが)。

 コア5が大きく成績を落としてる現状、ある程度はバウンスバックすると思いますが、世代交代の始まりなのかなとも思います。しかし、ファイターズには未来の主力候補が揃っているので、悲観的になり過ぎる必要はありません。もちろん全員が順調に活躍するとは思いませんが、間違いなく近年で最もプロスペクトが揃っているシーズンです。夜明け前のファイターズに期待し、特大の太陽が昇るのを待ちましょう。

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