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D-classアンプ 今

過去記事はベースアンプに絡んだ話が多いですが、リスニング・オーディオ系の話題です。実は前回の投稿後にTwitterからフォロワーさんに情報を頂きました。その方もベーシストでしたので、ベースアンプの、まだ私の知らなかった話でしたのでたいへん貴重でした。ありがとうございます。今後、そういったことを踏まえて機材を更新していくかもしれません。

中でも一番興味深かったのは、Hypexのncoreを使った、楽器再生(=ベースアンプ)を念頭に置いたパワーアンプを製作され、実使用なされているところでした。パルスワイズ変調型の古典的名器であるウォルターウッズを周回遅れにすると述べておられ、さもありなんと納得したところです。

そうそう、私も近年まで明確なイメージが持てていませんでしたが、D-classのDはデジタルではないので自戒も込めて勘違いを正しましょう。いまだにデジタルアンプというジャンルがあるかのように語られる業界人が多く、混乱を招いております。プリメインアンプに直接のデジタル入力を可能としている場合(DAC搭載)に、デジタルアンプを名乗るのは認めますけれど、スピーカーのコーンを動かすのにデジタルで動作する、というのは、今の所あり得ない話と思います。回路原理について、名称がAから順番に来てDとなっているだけだそうです。以上余談でした。

自身の記録として書き残すべきは、我が家のリビングオーディオにおけるHypex搭載のmaranz HD-AMP1(DAC内蔵だからデジタルアンプ?)の出音に不満があり、Abletec搭載の、ディスコンになったTeacのプリメインに買い替えようか迷っていた話からの進展があったことです。

家にある様々な機材をとっかえひっかえして、素晴らしいと諸手を挙げられずとも、少なくとも半歩は気に入る方向へ改善できたのは、結局数世代前のシステムでした。デジタル入力部をmarantz HD-DAC1という機種へ戻し、プリメインアンプにはCrews Maniac SoundのUsagi no mimiを使います。

このアンプは、NUTUBE活用、それで何ができるのか、を念頭に置いたプロジェクトの一つと思います。発売は2019年で、当時愛用していたTim de Paravicini作のEAR859が壊れてしまい、代替品を求めて途方に暮れていた時のことです。それまでも真空管アンプはいくつも試していましたが、EARは本当に心の底から好きな音でした。もちろん859の音が出るなどということはないけれど、こういう気軽な存在もいいかもなぁと、考え方を改めたのです。

Usagi no mimiは24VのACアダプターを社外品に変えるだけでも音質が向上し面白かったので、オーディオに詳しい友人宅に持ち込んで彼のスピーカーコレクションで鳴らしてみたのです。数機種を経たところで思いついたようにTDLのRTL2に繫いで頂きました。そのインパクトは忘れられません。帰宅するやebayを探しまくり、時間を置いて、ついにTDLばかり4機種も入手するに至ります。ですから、今リビングにRTL2が置かれているので、そもそもの好相性を試さない訳にはいきません。実はそれまで、やっていなかったのです…。

その過程で、例えばHD-AMP1のアナログ入力にHD-DAC1を繫いでみて、DAC部分での比較も行いました。後出のAMP1のDAC回路の方が優秀なはずですが、DAC1でアナログ変換し、アナログ伝送した方が音が良かったです。AMP1は定価154000円、DAC1が118800円、総額272800円の方が音が良い計算でしょうか(笑)。ていうか、DAC1のバッファーアンプがAMP1を凌いでいる、その差なのでしょう。アナログ部は、むしろ単体DACの方が手篤いだろうことも、製品がヘッドフォンアンプカテゴリーだから納得でき、実際ヘッドフォン試聴でもDAC1の勝ちでした。

その後、Hypex UcD搭載のAMP1と、社長曰く中華製のD-classパワーアンプ回路を搭載するUsagi no mimiで比較し、後者の方がディテールまでよく聞こえていることを確認しました。AMP1も、もちろん非常に音が良いモデルであって、ゆとりや厚みを感じます。Usagi〜には意図的とも思える歪み成分を感じ、私にはギターアンプでお馴染みの「サチュレーション」というワードが頭をよぎります。ハイファイではないことを逆手に取っている気がします。

「音楽的」という売り文句は、時に欠点の裏返しであったり、言い訳であったりします。真空管アンプの良さを「温もりがある」などと形容しますが、歪んでしまう、あるいはノイズが乗っている状態が、古い時代を思い起こさせているだけなのかもしれません。

とはいえ、"I.G.Y."からカーペンターズまで、USB接続のiPadからいつものオーディオ試聴用のソースを聴き較べて、どうしても楽器をやっている自分にとって、「知っている」音がする方を選ぶとしたらUsagi no mimi、ということは明白です。EARの時もそうでしたが、例えば自分でエレキギターを弾いている、その音がちゃんと得られます。

数日かかりましたが、こんな風にリビングオーディオを入れ替え、当面満足できるであろう状態に変わりました。JLPGAのツアー中継をDAZNで見る時、居間が森の中に変わるほどのリアリティは得られていませんが、ドラマの俳優の台詞は非常に聞き取りやすくなりました。

背の高いUsagi no mimiは寝かせて収納
スパイクで立たせることで見違えるように音の見通しが良くなります


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