DAPとMNPの話 その2

評価の高い現代型のDAPはスマートフォンから通話機能とカメラを取り去ったものだと申しましたが、2点、音質を高めるための強化が行われます。DACとアンプです。DAC=デジタル・アナログ・コンバータはデータファイルを可聴音へ変換する専用のプロセッサーであり、その性能をデバイスメーカー各社が競い合う分野です。アンプは、有線のイヤホン/ヘッドフォンを駆動するためのもの。

汎用のスマートフォンではチップセットが、おそらくDA変換を行っているでしょうから、アプリが優れていても限界があるということでしょう。だいたい並列処理されていますからね。DAPならば単体オーディオに搭載されるDACが贅沢にも奢られ、緻密な演算で原音再生が図られます。その処理の過程でリスナーの好む音質へ改変させることも可能でしょう。DAPには後述するバランス駆動のために、ステレオLR用に各1基用意されるに止まらず、4基搭載というものまで現れています。

アンプは、得てして高級機種に見られる低能率、あるいは高負荷のヘッドフォンを十分に鳴らし切るのに力を入れなくてはいけない部分です。スマートフォンのイヤホンジャックからの出力はおまけ程度に非力であり、スマホからいい音を取り出そうとしてポタアン(ポータブル・アンプでしょうか)を接続する拘り人が古くからいました。

現代DAPは、スマートフォンでありながら、削ぎ落としたものの代わりにそれまで外部機器を足して得ていた高品位なサウンドを、それらデバイスを内蔵することによってリスニング機器として完結した存在になりました。

当然、私自身もONKYO DP-S1Aの後継に、同ジャンルの中から品を選ぶ流れとなるのですが、初めからワイヤレスに割り切ってしまうとそこまでのものは要らない、という話になってきます。現代DAPは、ある意味アナログ的に高級路線を追求しています。まずアンプ部の強化は全く不要。DAC部分についてもチップセット(SOCと言うらしい…)がやればいい。Bluetoothの通信品質を引き上げられれば、きっと納得できるだろうと思うのでした。

SONYのNW-A306という、今年発売になったDAPはOSにAndroid12を使用し、バランス接続のイヤホン駆動を排除して小型化と低価格を実現しました。ワイヤレス限定ならば良い選択肢であろうと調べていくと、BluetoothのコーデックにaptX adaptiveはありません。これはSOCによるものかもしれません。調べてもDAPにadaptive対応機種は、今のところないようです。

aptX adaptiveにこだわる理由は昨日書いたとおり、愛用のFinal ZE3000を最大限に活かすことのできるコーデックだと思うからです。規格としては96kHz/24bitへ対応するものの、ZEの方が48kまでの仕様となっています。でも別にそれで結構です。

私の調べの限りですがDAPではadaptive対応製品がなく、スマートフォンには幅広く存在するようです。代表的なところで、例えばdocomoに限定するなら(強い意味は無く一例として)XperiaとAquosのみですが、他にはXiaomiやAsus、Leicaなども対応しています。

ここまで来て、漸くタイトルの(DAPとMNP)意味がおわかり頂けたでしょうか。結局私はDAPを諦め、Androidスマートフォンを買う方向へシフトしたのでした。iPhone 11proは、実を言うとそれまでdocomoのガラケーを使っていて、故あって急遽購入したものでした。iPadの使用歴は長く、スマホは不要と考えていた口でした。ガラケーはdocomoで機種変によってiPhoneになったのですが、docomoからの薦めでOCN mobileへMNPしました。いま、OCNユーザーへは、docomo irumoへの乗り換えが推奨されています。irumoは駄目なのですが、eximoに乗り換えるとXperiaの特定機種がかなりの低価格で使えることになります。eximoからirumoへはすぐに変更可能とのことで確認がとれています。

現在の価格施策は法改正により12/26をもって終了し、もっぱらそれ以後は格安スマホを入手しづらくなることが予測されています。このキャンペーンに乗ることで、かなりの安価で私にとってのオーディオデバイスを入手できるチャンスが、いきなり面前に現れたという次第です。話が大転換してしまい要領を得なくなってきました。

ワイヤレスで一番良い音をリーズナブルに獲得し、かつiTunesのファイルを全て持ち歩きたい、この需要にMNPキャンペーンを利用してスマートフォンを新調しようというアイディアが支配的になってきました。iPhoneはwifiで使えばいいし、なんならSIMを買ってセカンドにしてもいい。

懸念は一点。Android端末への不安のみです。Googleは多用していますが、まだその世界は未知なのです。このような一時の「ブーム」に乗って非可逆的な行動をとってしまって良いものか、それがいまこの瞬間の迷いの正体です。

あ、仕様のことを言うと、A306などではAIFFの再生を保障していますが、たとえばXperiaで扱うファイルフォーマットに、それは記載がありません。買ったはいいけど聴けなかった、AACへ変換して転送したとか、結局サブスクで聴いているなどの未来は、ちょっと受け入れられないなぁと不安が募ります。

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