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出会わなければ

違う人生を歩んでいたんじゃないかって作品がある。
「進撃の巨人」だ。
私はこの作品に様々な気付きを与えられ、価値観まで変えられた.。
そんな経験なかなかできない。
よって私の中では最高に幸せな出来事だ。
そもそも後悔の多い、マイナス思考人間な自覚はある。
けれど「進撃の巨人」に出会えたことで毎月の楽しみができた。
完結を見届けるまで生きなきゃと思った。
終わってからも受け取り方でそれぞれの物語りになる作品についてずっとずっと考えている。


進撃の巨人との出会いと第一印象

TVで話題になっていたのを見た。
その後、オタク友達がハマったと勧めてきた。
私は単純に巨人が怖かったので一旦スルーした(笑)
そう、第一印象は「とにかく得体のしれない気持ち悪いもの」だったのだ。
その数年後、弟が購入していることを知って読み始めた。
そこからはもう坂道を転がり落ちるように私の生活の中心が「進撃の巨人」になった。

原作

何度も書いているのでそろそろしつこいかもしれないが私は「原作至上主義者」である。
アニメ化はもちろんその他の展開も「原作がなければ成り立たない」と考えている。
なのでアニメ放送中にもかかわらず(家に単行本があったのも大きいが)原作にまず目を通した。
衝撃だった。
特に美しい絵が好きという訳ではないのだが諌山先生の絵は今まで出会ったことのない個性的なものだった。
ちょっと遠近感とか気になるな…とか…生意気にも思ったりもした。
けれどそこが気になったのは最初だけでぐいぐい物語に引き込まれていった。
とにかくストーリーが面白い!
そしてキャラクターの背景がめちゃくちゃはっきりしている。
所謂「モブキャラ」と呼ばれるだろう人々にも圧倒的「生」を感じる。
こんな経験も初めてだった。

アニメ

コミック最新刊まで追いつき、本誌派に移行すると同時にアニメを見始めた。
今はサブスクでいくらでも見られるので本当にありがたい。
アニメには声がある。動きがある。
特に立体機動の動きは圧巻だった。
そして主題歌が物語の世界観にピッタリハマっているのもよかった。
そこそこ声優にも詳しかった私はお名前を拝見したことがある人がずらっと並ぶエンドロールを見るのも好きだった。
ここだけの話、ミカサと兵長は最初違和感があった。
でも進むにつれてそれも気にならなくなる。
当たり前だ。
私が進撃の巨人のことを、登場人物のことを考える何十倍、何百倍声優さんは物語とキャラクターに寄り添っているんだから。
話が話なのでどこかでアニメで観られるのかずっとハラハラしていた。
完結までアニメ化してくださった制作陣には感謝しかない。
本当に本当にありがとうございました!

推し

これも何度か触れているが私の推しはエルヴィン・スミスだ。
進撃の連載期間を考えると早くに退場した方に入ると思う。
進撃は「リアル」だ。
漫画のような(漫画なんだけど)綺麗な死に際を用意してもらえる登場人物ばかりではない。
だがエルヴィンはこれ以上ないほど素晴らしい人生の幕の閉じ方を見せてもらえたと思っている。
もちろん生きていてほしかった。
悲しみに暮れたしなんなら今でもまだ消化できずにいる。
でも進撃の巨人は物語の中で何度も「世代交代」のようなものがある。
私にとって人生の最推しエルヴィン・スミスもあの残酷な世界で生きていて、順番が回ってきたのだ、と漠然と思った。
私の中で「エルヴィン・スミス」はそれはもう言葉では言い表せないくらい偉大な存在である。
これはきっとこの先もずっと変わらない。

巨人は巨人じゃない

ちょっと意味不明なこと言ってるなというか、語彙力不足で申し訳ないが「進撃の巨人」が連載され、アニメ化され、完結を迎える間に世界では様々なことが起こった。
諌山先生がそれを予知していたわけではないとは思うが進撃の世界でいう「巨人」は現実世界にも存在するのだと思っている。
それは人によって形を変えて現れる災厄の象徴のようなもので……病気だったり、災害だったり、戦争だったり……そういうものだと解釈した。
もちろん私の個人的な考えなので「正解はこれだ!」と言いたい訳じゃない。
でもすごい遠い国の何処かで起きた架空の物語りで片付けてしまうのは惜しい、と個人的には強く感じる。
何でも外的要因のせいにしてしまうのは良くないが私達の生きる世界にはそういうものが存在するとも思う。

「この世界は残酷だ・・・ そして・・・とても美しい」

原作では2巻、アニメでは1期で共に7話に出てくるミカサのセリフだ。
今この記事を書いていても涙が溢れそうなほど心を揺さぶられた。
自分語りになるが私は「残酷だ」と感じることの方が多い人生だった。
でも「美しい」部分だってきっと確かにあったのだ。
だから今生きている。
どんなに絶望しても「生きる(生きたい)理由」があったから。
最後まで揺るがなかったミカサ。
私は彼女こそ「美しい」の象徴のような人だと思っている。

「進撃の巨人」に出会えたから今の私がいる

大げさじゃなく、そう思っている。
この作品を生み出してくれた諌山先生には感謝してもしきれない。
原作、そしてアニメまで完結を見届けられたことも本当に本当に幸運だった。
進撃の登場人物はみんな生きることに一生懸命だ。
私にはそれが眩しくてたまらない。
例えば主人公のエレン。
彼の生き方、選択は今でも賛否両論渦巻いている。
私はエレンじゃないので彼が本当にそうしたかったのかどうかを知る術はない。
けれどあの時の彼は「そうしよう」と自分で決めて、時分の生を全うした。
何かもうそれだけですごい。
私は自他ともに認める優柔不断だ。
頭で考えてばかりで行動に移すまでにバカみたいな時間を要する。
若い頃はそれでよかった。
でも「時間は有限だ」という当たり前のことを肌で感じるようになって、sごくもったいない生き方をしてきたんだと後悔している。
もちろん今更悔やんだって時間は巻き戻らない。
なのでせめてこの先の人生、少しでも「満足だ」と言えるものにしてきたいと思っている。
とりあえずこんなにも魂を揺さぶり、生き方を見つめ直すきっかけになるような作品に出会えた点は胸を張って「幸福だ」と言える。
「進撃の巨人」は私の人生のバイブルであり、かけがえのない宝物。

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