杉本尚哉

大学生です。物書き目指してます。 真面目なこと、不真面目なこと、いろいろ書きます。 読…

杉本尚哉

大学生です。物書き目指してます。 真面目なこと、不真面目なこと、いろいろ書きます。 読んでくれたら嬉しいです。

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僕の家の話

2023年12月末。 実家に帰省した際に母から、父が仕事の関係で海外出張することを告げられた。 僕は率直に驚いた。 この歳で?と。 僕の父は、今年で62歳になる。 定年退職までは大体3年ほど。 バリバリ現役で仕事をするというよりは、退職まで穏やかに今の会社で働くのだろうと、心のどこかで思っていた。 気になったので、母に尋ねてみた。 「どこに?」 「メキシコだって」 「どのくらい?」 「2年」 62歳で、メキシコ。 しかも2年。 日本語はもちろんのこと英語

    • 戦湯

      風呂に入りたい。 心の中でそんな熱い思いが煮えるように沸き立ってきた。 心配しないでほしいのだが、別に今僕が雨ざらしのまま野宿しているとか、人目のつかないどこかに監禁されていて、自由に風呂も入れないという訳ではない。 一応名誉のために補足しておくと、毎日シャワーは浴びている。 今は大阪に滞在中で、大学側が用意してくれている宿泊施設で生活しているのだが、先週の月曜日に部屋を移ることになった。 僕が元々割り当てられていた部屋はどういう訳か家族用の部屋で、浴室もそれはまぁ

      • 良い買い物

        電子書籍リーダーを買った。 大阪に来て1ヶ月ほどが経ち、そろそろ新しい本を買いたいと思っていた頃。 でも余計な荷物を増やして帰る頃には荷物がパンパンなんてことになったらめんどくさい。 スマホにKindleのアプリは入っているものの、LINEの通知が来たり、その他のアプリに気が散ってしまったりして、なかなか読書に集中できない。 あと画面が小さく長時間見続けるには明るすぎるので、目が疲れてしまう。 ならば。 思い切ってKindleの電子書籍リーダーを買うことにした。 少

        • イヤイヤ機

          研究室という空間はおそらく、中で何が行われているのかわからない部屋ランキング第1位だと思う。 ちなみに個人的第2位は視聴覚室である。 きっと何をしているのかわからない人が多いだろうし、誰にも見られる事なく淡々と作業をしているだけでは僕も寂しい。 と言うことで、僕が先週まで取り組んでいたことの一部を少し書いてみる。 研究室で行う作業は基本的には個人で黙々と手を動かすのみなので、1日を通して挨拶以外に一言も発さず帰ることもある。 じゃあ何をそんなに1人でやっているのかと

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        僕の家の話

          しょぼくれた夢

          大阪に来て、3週間ほどが経つ。 僕のnoteを毎週読んでくれている人たちは、もうこの書き出しにも飽きていることだろう。 安心してほしい。 僕も飽きている。 ところで、僕の下宿先の話をしよう。 僕の下宿先はほとんど大学の近くにあって、どの辺にあるかというと、吹田市と茨木市の間くらいにある。 失礼。 大阪の地理に疎い方にはわからない表現だったかもしれない。 馴染みのない土地で浮き足立っている男の悪ふざけだと思って、目を瞑っていただきたい。 ざっくり言ってしまうと、大阪

          しょぼくれた夢

          忙しいから本が読めません?

          大阪に来て、だいたい2週間くらいが経った。 研究室へのインターンということで、学部生にもかかわらず、院生に混じって研究をさせてもらっている。 だいたい9時半ごろに研究室に着いて、本を読んだりPCをかちゃかちゃしたり、なんやかんや作業に没頭していると研究室を後にするのは18時くらいになる。 やっている作業は自分の研究に必要な作業だし、根本的に興味があるからやっていることなので苦に感じるという事もない。 しかし、家に帰ってくるといつも思う。 疲れた、と。 気づいたら、

          忙しいから本が読めません?

          漠然 in Osaka

          今週の月曜日から、大阪に滞在している。 進学したい研究室が大阪にあって、たまたまその研究室のインターン生として受け入れてもらえる事になったからだ。 期間はおよそ3ヶ月。 大学側が用意してくれた下宿先に泊まりながら、自分のやりたい研究を進めさせてもらったり、研究室の活動に混ぜてもらったりする事になる。 下宿先にはキッチンや簡単な調理用品や食器が揃えられているため、ある程度の自炊なんかもできちゃったりする。 するかどうかは、僕の気まぐれであっちゃったりする。 全く住み

          漠然 in Osaka

          先生もどき

          3月末、3年間続けた塾講師のアルバイトを辞めた。 理由は自分の担当していた受験生がそれぞれ進路を決めた事と、取らなければならない大学の授業も減って日中に働く時間を確保できるようになった事くらいだ。 思えば僕が塾講師として働き始めたのは、大学に入って間もなく出会った先輩に紹介してもらったのがきっかけだった。 塾講師として働き始めたばかりの頃は、自分の業務を抜け目なく終わらせることばかりに気を取られて、生徒とおしゃべりしたり、生徒のことをよく知るためのコミュニケーションを取

          先生もどき

          昔の話

          最近、世界史にちょっとハマっている。 山崎圭一さんの「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書」という本を読んでいるのだ。 なぜ「ちょっと」なのかというと、この本をがっつり読み込んでいるというよりも、毎日少しずつ読んでいるからだ。 紙の本にもかかわらず、風呂場で湯船に浸かりながら読んでいる。 最初は本がシナシナにならないかと、恐る恐る読んでいたが、意外と本の耐久力が頼りになることに気がついてからは結構楽しんでいる。 慣れてくると「ボチャン」するので注意は必要だが。

          通過点

          ゴールだと思っていた到達点は、到達した瞬間に通過点になる。 サークルの先輩が、座右の銘として挙げていた言葉。 大学生活も4年生を迎える時期に差し掛かると、周りの友人と自分たちの行く末について話すことが増える。 就活でどんな事をしているか。 大学を出たら何をしたいか。 将来は、何になるのか。 無意識のうちに、自分たちの到達点について思いを馳せざるを得なくなる。 僕は今、大学院進学を目指している。 とすると、僕の到達点は大学院であるはずで、そこで研究をすることがゴール

          サークルの後輩とディズニーランドに行った日は、小雨が鬱陶しく感じられる日だった。 降ったり止んだりを繰り返すという予報だったので、折り畳み傘を持参した。 2月末の平日にもかかわらず、開園前の手荷物検査エリアにはたくさんの人が並んでいた。 何とか入場を果たしたところで、少し雨足が強くなってきた。 僕は両手が塞がっていたので、自分の折り畳み傘を後輩の子に開いてもらおうとした。 彼が傘を広げようとした瞬間だった。 「あっ」 小さく漏れた彼の声に目を向けると、広がったま

          虚ろな正しさ

          東野圭吾の「虚な十字架」を読んだのは、知り合いから勧められたことがきっかけだった。 重たい内容だけど、倫理について考えさせられることが多かった本だからおすすめだ、と教えてもらった。 あらすじ 主人公の中原道正・小夜子夫妻は数年前、強盗殺人によって娘の命を突然奪われた。 長い裁判での争いの末、二人は娘を殺した犯人・蛭川の死刑を勝ち取った。 しかし掴み取った死刑という判決は、その後の二人に何一つとしてもたらさず、「お互いの顔を見ていると辛い」という理由で離婚の道を選んだ。

          虚ろな正しさ

          追い出さなければ

          追いコンとは、サークルやゼミなどの団体の中で、卒業していく4年生を送り出すためのイベントだ。 追いコンの「追い」とは何のことだろうと、大学1年生の頃に調べた事がある。 どうやら「追い出し」という意味らしい。 追い出すというのは、なんと物騒な物言いだろう。 そんなふうに身構えていた僕を拍子抜けさせるくらい、2年前に初めて参加した追いコンは和気藹々としたものだった。 ここで1つの疑問が浮かぶ。 なぜ、「追い出し」なのか。 別に「送別会」でもいいし、「お別れパーティ」み

          追い出さなければ

          土曜日の溜まり場

          僕がラジオを聴き始めたのは、大学1年生の頃だった。 最初の頃は「適度に笑える暇つぶし」くらいの感覚だった。 その頃はコロナ禍真っ只中で、人と会うことも難しかったので、暇という暇を持て余していた時期だった。 移動時間、面白みのない家事をこなす時間、散歩の時間。 いつもの味気ない時間と風景が、華やかに彩られていった。 数ある深夜番組の中でも特にハマったのは、オードリーのオールナイトニッポンだった。 オードリーの二人の掛け合い。 番組開始当初から変わらず、毎週二人が一本ずつ

          土曜日の溜まり場

          泥沼読書計画

          読んだ本の感想を言い合えるというのは、なかなかに贅沢なことだと思う。 好きな漫画やアニメが他人と被ることは割とあるのだが、好きな本が一致するという瞬間はほとんど訪れない。 その理由にはまず、本には「ホットトピック」がないということが挙げられるだろう。 たとえば音楽であれば、ヒットチャートのように繰り返し世間で流される楽曲がある。 たとえば映像作品であれば、サブスクの人気作品やYouTubeの急上昇動画などといった多くの目に触れるプラットフォームがある。 しかし、本と

          泥沼読書計画

          教授のご教授

          僕が所属しているゼミの教授は、若い。 年齢は40代前半。 大学教員の平均的な出世スピードというものに詳しいわけではないが、見た目も若いし、多分皆さんが思い浮かべる「教授」の中ではだいぶ若い部類に入ると思う。 そんな教授は、昨年の4月から僕の通う大学に着任した。 僕が3年になったばかりの、ちょうどゼミに入り始める時期だった。 ただでさえ「ゼミ」という得体の知れないものに入るのに、その先生が初対面の先生であることが、少しばかり不安だった。 しかしその不安は、のちに杞憂とな

          教授のご教授