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【読書】『売れる小説の書き方』

2023-12-05

読まずにおいておく、「積ん読」もあれば、読んだはいいけど特に読み返すこともなく、かといって感想をまとめてもいない「読みっぱなし」本もある。

ただ、読みっぱなし本のせいで、「あぁ、感想まとめなきゃ次の本に(気持ち的に)手が伸びないなぁ」という状態で読書の流れが滞ってしまうので、今回は強制放流することに。

先日読んだのは、こちら。
『売れる小説の書き方』(エンジン01選書)です。

図書館でふと目にとまり借りてきて、個人的にはそこそこ面白く読み終えたのだけれど、感想を書こうと開いた読書メーターで酷評されていて手が止まってしまった。

どうやら世の中の多数派は、この本を「売れる小説の書き方」を知るために手に取るのかもな、と思ったり。そこで初めてタイトルを見返してみる。

なるほど、この本を読んでも売れる小説は書けるようにならないもんなぁ…と妙に納得する。


中身は、本ではなくパネルディスカッションの講演録みたいな感じで、4人の登壇者の会話が延々と起こされたもの。
体系的な「書き方」のマニュアルでないことは言うまでも無い。
なので、実用的な知識を得ようとする方は、読む必要はないのかなと。

私が印象に残ったのは大沢在昌先生の以下の発言。ちょっと長いけどまるっと引用。

本を読んだことがないけど書きたいという人がすごく多いんですよ。でもやっぱり、ものを書くというのは、ある量、自分のなかに読んだ量がコップの中に溜まっていって、それがいっぱいになってあふれ出したときに書こうというのが本来の形だと思うんですね。読書家が読んで、その人によってコップの大きさは違うけど、ある程度読んできて自分のコップのなかからあふれてきた、と、そうなれば、今度は読みたいが書きたいに変わっていく。ところが、このコップのなかにまだ底のところにしか溜まっていないのに、いきなり書こうという人がいますごく多いんですね。形だけ作家になりたい。小説家になりたいんじゃなくて、作家になりたいんですよ。

林真理子 他『売れる小説の書き方』エンジン01選書. 2009 pp79-80

がむしゃら、ひたむきに量をこなすことで見えてくる。
これは一真理だろうな。
たまに「量より質」を唱える人はいるけれど、たぶんその人は少ない量でやり方を会得できる要領のいい人なのではないかと。
自分みたいな勘の鈍い人間に残された道は、量をこなすことなのだと、あらためて心に刻んで。

そんな一冊でした。

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