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宮沢賢治はプラネタリウムを観たのだろうか。

「プラネタリウム生誕99周年」の響きに心が踊ります。

球体の中の天体ショー。隣に座る娘が星座を言い当て誇らしげの中、父は無邪気に考えをめぐらせます。

1923年。

関東大震災があった年。同じ年に、ドイツでプラネタリウムのモデル1がお披露目したらしい。

暗がりの中でぼんやりと記憶をたどります。星と星をつなぐように、タイトルの問いが浮かびます。

「賢治はプラネタリウムを観たのだろうか?」

プラネタリウムの原型は、ヨハンネス・カンパヌスジョヴァンニ・デ・ドンディの模型のはずだし、賢治が「銀河鉄道の夜」を書いたのが1923年ごろのはず。

天文学に精通していた彼だから、きっとニュースで噂は耳にしていただろうな。

ゴールデンウィークですっかりロジカルから遠ざかった私は、気ままに空想します。

その年の岩手の空には、何が見えたのだろうか?

私はうらやましく思うわけです。質の高い情報網で想像することの豊かさを。

Photo by Casey Horner on Unsplash

でもね、と同時に思います。賢治が今を過ごしたら、その果てなき好奇心と創造性できっと思いもしない表現をしているだろうな。賢治がnoteを書いてくれるなら、きっと自然も宇宙も身近なものになるだろうな。

今夜、星空をながめたいな。

なんて思いが通じたのか、

「おとう、もう終わったよ。きれいだったね。」 

と、娘に絆されまする。

そうだよね、今日はこどもの日

これから公園に行こう。走れ、飛べ、跳ねろ、よじ登れ、友だちと鬼ごっこだ。なんて言われなくても、無邪気にはしゃぐ

少し無粋と思いつつも、父はタイトルの問いをググります。調べても宮沢賢治の作品のプラネタリウムのサイトしか出てきません。

「全くGoogleのアルゴリズムは情緒がないな。」


日々、散々お世話になっておきながら、突っ込みを入れます。
でも、答えが知りたいわけではないのだから、Googleにあてつけるのは筋違いですね

そんな間に、
「おとう、15時のおやつはケーキだよ。透明な石を見つけたから、帰ろう。」
と娘。あれっ、石拾ってたの。

何万光年はなれた世界から、目の前の生活に焦点が引き寄せられて、不思議な気分。

公園からの帰り道は、とても風が涼しくて夜空はきっと星で埋まるだろうな。

公園からの帰り道

家に帰り、賢治の童話集を斜め読みしたけれど、問いの手掛かりは分からずじまい。

いいのさ、ドイツプラネタリウムできたころ、賢治が「銀河鉄道の夜」を書いたってだけで、ぐっと身近に感じるのさ。

そして、ふとBUMP OF CHICKENの「天体観測」が口ずさむと、娘がめずらしく一緒に歌ってくる。

雨にも負けて構わないが、しなやかに成長してくれ、と切に願うのだ、父は。


子どもの日、父も少年の心に戻ります。だから君は安心してはしゃいでいいよ


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