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「週刊少年チャンピオン」の思い出①(藤子不二雄Ⓐ先生追悼)


 小学生も3・4年生になると、段々、読み始めていくのが ”少年漫画誌” なんですが、自分が小学校の頃は、「少年ジャンプ」、「少年マガジン」、「少年サンデー」、「少年キング」、そして「少年チャンピオン」の5誌が週刊誌として発売されていたと思います。
 一番人気は「少年ジャンプ」でしたが、自分が好きだったのは「少年チャンピオン」だったんですよね。

 自分が買って読んでたのは小学校時代になるので、70年代後半の作品が中心となりますが、「少年チャンピオン」で、印象深かった作品を数回に分けて "note" していきたいと思います。


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 今回は、怖い漫画についてです…

 「少年チャンピオン」には、ちょっとホラー系の枠があったんですよね。… 少年誌だったのに…

 自分が読んでいた頃、連載されていたホラー漫画が『エコエコアザラク』なんです。

『エコエコアザラク』作:古賀新一

 主人公は中学生の黒井ミサで、黒魔術を使う魔女という設定でした。
 普段は普通の中学生なのに、いじめや暴力を受けたりすると黒魔術で報復するってのがパターンなんですが、その報復の仕方がハンパではなかったんですよね。

 決め台詞は

「エコエコアザラク、エコエコザメラク」

 呪文なんですが、古賀新一先生の不気味な絵柄も相まって怖い漫画でした。

 この作品、なんか連載終了後、かなーり経ってから映画化されたんですよね。
 漫画では ”美少女” の設定だった主人公ですが、古賀新一先生の絵柄は劇画タッチだったので、美少女感は薄かったのです。
 でも、映画版ではみなさんクールビューティな感じでした。



 さて、『エコエコアザラク』より前に連載されていて、自分はリアルタイムでは読んでいないんですが、コミックが友人間で異様に流行ったホラー漫画がふたつ。

 ひとつは

『恐怖新聞』作:つのだじろう

 1日読むごとに100日ずつ寿命が縮まるという「恐怖新聞」の呪いに取りつかれてしまった中学生の鬼形礼が主人公の物語です。
 幽霊などの超常現象、いわゆるオカルトを中心にした内容で、つのだじろう先生の絵が迫力ありすぎて、ほんとに夜は読めない漫画でした。
 え、コックリさんが出てきたやつ?
 それは同じつのだじろう先生の「うしろの百太郎」(少年マガジン)の方です。….こっちも怖かったなぁ


 そして、もうひとつが、先日、お亡くなりになった藤子不二雄Ⓐ先生の作品です。

 藤子不二雄先生の漫画やアニメで育った世代としては、先日の藤子不二雄Ⓐ先生の訃報には、やはり寂しさを感じます。

 小学校時代、空前の「ドラえもん」ブームが起きる中、藤子不二雄先生のいろんな漫画も読み漁ったんですが、その中で強烈に憶えてるのは、実は、藤子不二雄Ⓐ先生が「少年チャンピオン」に連載していた『魔太郎がくる!!』なんです。

『魔太郎がくる!!』作:藤子不二雄Ⓐ

 読んだことがある方なら、お分かりいただけると思うんですが、あの「ドラえもん」の藤子不二雄先生と同一人物なのか!?
 と、訝しむぐらい作風の違った作品だったんですよね。(まあ、結局、同一人物ではなかったわけなんですが… )

 かなり衝撃的でした。

 内容は、風采の上がらない中学生 ”浦見魔太郎” が、様々なイジメを受けた際、その復讐を果たしていくというのが基本形です。


 決め台詞は「こ・の・う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か」….

 我慢の限界に達した時にこの台詞が出るのですが、この後の復讐の仕方がかなり残酷だったんですよね。

 魔太郎は悪魔と契約して、黒魔術「うらみ念法」が使えるという設定なのです。
 黒魔術で、毒蛇やアリなどを操って襲わせたり、”蠅男” や ”爬虫類人間” とかに変身させたりと、なかなか怖い復讐をしていくんです。
 そうかと思うと、中には魔術ではなく、目をつぶしたり、ごみ袋に入れてバットで殴り殺したり、罠にかけて溺死させたりと、残忍な復讐が多かったんですよね。

 まあ、ほんとに酷い奴らもいるんですが、時には恋敵であったり、逆恨みに近い場合もあったりして、やはり魔太郎は魔人なんです。

 絵柄的には『恐怖新聞』や『エコエコアザラク』の方が劇画タッチで ”いかにも!” って感じなのですが、不思議と、藤子先生の漫画チックな『魔太郎がくる!!』の方が残忍さを感じたりしたのです。

 その後、少年犯罪が社会問題になったこともあって、主人公が残酷な復讐を行う内容の『魔太郎がくる!!』については、全集等で再版される際、内容を修正したり、欠番にした話が数多くあったそうです。


 特殊なポジションですが、いじめられてドラえもんに泣きつくのび太とは真反対の、自ら実力行使する魔人を描いた『魔太郎がくる!!』は、まさに藤子作品の極北といえる作品だと思います。
 アニメ化や映画化の話もけっこうあったらしいのですが、藤子不二雄Ⓐ先生は首を縦にふらなかったというエピソードもあるので、先生としても複雑な思いのある作品だったのかもしれませんね。

 それでも、人間の暗黒部分を描いた『魔太郎がくる!!』が、忘れられない作品であることは間違いないのです。


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 なんか、ひとつ思い出すといろんな作品を思い出しちゃうのですが、70年代の「少年チャンピオン」ネタについては、また、そのうち記事にしていきたいと思います。