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ハイ・フィデリティ病

大学生の頃、私は、普通の日常生活をおくるのが非常に困難な状態に陥っていた。部屋を片付けられない。掃除が出来ない。進路が分からない。常に情報にさらされていないと不安でたまらない。興味がない人の話を聞けない。自分の興味にしか関心がない。とにかく社会性が欠如していた。

音楽を聴くのが好きだった。しかし、そうやって強い情感を吸収して生きていると、ちょっとやそっとのことでは満足出来なくなる。それは素晴らしい物事に触れることでもあるし、些細な幸せをとりこぼすことでもあった。

私は生き方を変える必要があった。社会人になって、試行錯誤の末、安定と退屈を手に入れた。会社に勤めながら子供を育てているし、部屋も綺麗に保てる様になった。大学生の時の自分はろくでもないクソ野郎だったと思う。でも正直、今のほうがマシかどうかは分からない。

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