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祝アニメ化!『となりの妖怪さん』原作者noho先生インタビュー!

4月6日から放送が始まったアニメ『となりの妖怪さん』
漫画原作者のnoho先生が静岡県西部出身ということで、静岡と静岡に住む人を結ぶフリーマガジン『すろーかる』で特別インタビューを行いました。誌面ではスペースの都合上、泣く泣く割愛した部分も含めて、公開します!!

Q.アニメ化が決まった時の心境を教えてください。


A. 担当編集者からアニメ化の一報をいただいて「うっそだ~」と言ってしまうくらいびっくりしました。その後、キャスト(声優)のオーディションに参加させてもらったのですが、私自身いろいろな声優さんのファンなので、音声データを聞く時には緊張して、なかなか再生ボタンを押すことができませんでした(笑)。監督やスタッフの方が作った絵コンテを見る時も緊張しました。ドキドキしながら制作に関わらせていただいています。ふだん漫画は少人数で作っているので、アニメにはより多くの人が関わっていて雰囲気の違いを感じました。すごく貴重な体験をさせていただいています。みなさんが作品に真摯に向き合って全力を尽くしてくださっていることがとても嬉しく、ありがたいです。

Q.「妖怪」をテーマに作品を作ることになったきっかけはありますか。また、先生は妖怪の存在を感じた経験がありますか。


「妖怪」にこだわっていたというよりは〝人外=人間と違う存在〟と人間の関わりを描きたいと考えていました。最初に生み出したジローがたまたまカラス天狗で妖怪だったという感じです。
幽霊や妖怪を実際に見たとか気配を感じた経験はありませんが、〝暗闇〟には怖さを感じます。特に夜の山は星の光しかなくて漆黒に近い闇で怖いな、と。そういうところに、昔から人は妖怪の存在を見出してきたのかなと思います。人間の本能みたいなものが妖怪の存在を生み出したのかもしれませんね。

Q.「妖怪」というと異質、不気味なイメージがありますが、『となりの妖怪さん』に出てくるキャラクターは身近な存在でスマホを使ったり、言葉をしゃべったり、人間みたいですよね。そういう世界観に込めたものは?


妖怪や妖精を不思議な存在というよりは、〝人間とは違う種族〟として描いています。さらに、同じ妖怪でもそれぞれ性質や生き方は異なっています。私たちの世界で言うところの人種の違いのような感覚。現実の世界でも「多様性」ということをよく耳にするようになってきました。
違うことで問題が起こることもあるけれど、お互いのことを知っていくことで状況が変わる場合もあります。私自身マンガを描いている中で、知らなきゃいけないことがたくさんあるなと気づくこともあります。そういう思いから、作品の中では〝違いを知るための対話〟をしっかり描こうとしています。


Q.度々出てくる〝本質〟はキーワードでしょうか?


〝本質〟は、漫画の1巻ですでにジローが口にしています。妖怪さんたちにとって「存在するための根源的なもの。あるいは存在する理由」です。妖怪さんたちがはっきりとした本質を持っている一方、人間の本質はコロコロ変わる曖昧なものとして描いています。曖昧だから悪いというわけではなく、曖昧な本質が人間らしい豊かな心を生み、その心から発せられる〝言霊〟もキーになっています。そのため、言葉を交わすシーンをたくさん描いています。

Q.静岡在住とのことですが、静岡県内の風景からインスピレーションを受けている部分はありますか?


静岡の西部地域出身で、今も住んでいます。最初に描いたジローとむーちゃん(むつみ)の話は、親戚が住んでいて、よく訪れていた掛川市をイメージして描きました。マンガを続けていくに当たって、設定としても遠州地域を舞台としました。マンガのメイン舞台となっている縁ヶ森町は森町辺りから連想し、ところどころ浜松や磐田、袋井なども参考にしています。実際の風景も取材して描いています。

Q.静岡の好きな/思い出のある場所、お店、風景etc.を教えて下さい。


風景で言うと、大人になってから、地元の田んぼ道がいいなと感じるようになりました。田んぼに水が貼られた様子とか、稲が風になびく様子とか、小虫が空中で団子になって飛び回っているとか(笑)。遠州のからっ風も、辛いとか嫌だとか感じたことがなく、この地域らしさだと感じていて、むしろ体に馴染みます。それも含めて原風景です。
好きなお店は、マンガの中にも登場するんですが、浜松にあった『ポルコロッソ』というイタリアンバー。プライベートでも何回か行っていました。ご飯がすごくおいしかったので、今はもう閉店してしまって残念です。アニメ化が決まったこともマスターに伝えたかったです。

Q.静岡に妖怪はいると思いますか?

作品を描きながら知ったんですが、西部地域は天狗を祀っているところが多いです。見たとか、ちょっと不思議な話を聞くこともあり、地元の皆さんは天狗の存在を感じているのではないでしょうか。浜松の張り子作家で、天狗の張り子を製作されている方もいます。同じ遠州地域でもあり『てんぐちゃん』がすごく可愛いので注目しています。

制作のスタイルは?


主に夜型です。1日何時間と決めてはいなくて、集中力が続く限り、という感じです。「気づいたら朝だった」ということもあります(笑)。作業中は、音楽や、内容によってはゲームの実況動画を流しています。〝ゲームしている人のそばで漫画を描いている〟感じで意外と集中でき、「実況が終わったから休憩!」と切り替えもしやすいんです。集中し過ぎると作業を止められなくなってしまうので(笑)。ツールは板タブ(ペンタブレット)、ソフトはphotoshopを使っています。傍らには一杯の緑茶か麦茶、お菓子を置いています。

個性あるキャラクターたち。先生は誰に一番近いですか?


百合さんかと思います。疑り深かったり警戒心が強かったりするところが似ているかな、と。あと、ぶちおの人見知りの部分やジローののんびりしたところをミックスしたら私になると思います。


Q.静岡の方、ファンへのメッセージを。


静岡を舞台にしたマンガで、アニメは静岡でも放送されるので、馴染み深く、だけど自由に見てもらえたら嬉しいです。マンガを読んでいただいている方には、アニメだと色がついて音がつくので、マンガとはまた違った独特の世界を感じてほしいです。

―noho先生、ありがとうございました!

プロフィール 

noho
静岡在住のイラストレーター、漫画家。緑茶と映画と犬が好き。
Xアカウント:@nohohitchcock 

撮影:榑林武俊

『となりの妖怪さん』~あらすじ~


山合いの風がよく吹く町、縁ヶ森町―。妖怪と人と神様が暮らすふしぎな日常の中で、それぞれの喜びや悩みを胸に日々を生きる、妖怪たちや人間たち。猫として20歳まで生きて、猫又に新生したぶちお。行方不明の父親を気にかけながらも、前向きに生きている人間のむつみ。代々この町を守っているカラス天狗のジロー。まったりほのぼのした田舎町の日常の中で起こる、ちょっとふしぎで優しい、繋がりの物語──。

ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット『ANiMAZiNG!!!』枠にて、放送中!


サイン色紙プレゼントのお知らせ


描きおろしていただきました!


静岡と静岡に住む人を結ぶフリーマガジン『すろーかる』5月号でも、同インタビュー掲載中。noho先生の直筆サイン色紙プレゼントもご用意いただきました。ぜひ奮ってご応募ください(〆切2024.5/31(金)※必着)
詳細はすろーかる誌面をご覧ください。
(HPから電子書籍でも読めます)