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Everything-as-a-Service

原文 : Everything-as-a-Service
作者:Tamarah Usher, Charles Shreiner
日本語訳:Ken Yoneda (米田 謙)

過去15年以上に渡って、様々な企業が "as-a-service" ビジネスになるというのは一体何を意味するのかを模索してきました。すでに使い古されているピザの例 (下の画像) は、この新しいビジネスモデルへ移行する様々な方法と過程を説明するために頻繁に用いられてきました。

しかし、Slalom では、このピザ屋の例は必ずしもすべてを表しているわけではないと考えています。長年の経験から、この喩えは役に立つものの、まだ不完全なものであるという理解に至っています。ピザ屋の例は、as-a-service ビジネスモデルへの移行がなぜ有益なのかを示しておらず、戦略的な視点にもなっていません。

この記事では、as-a-service ビジネスの意味、企業と消費者にとってのメリット、そして活動中に避けるべき落とし穴を解説します。

as-a-service ビジネスモデルとは何か?

多くの企業がトップテック企業の新しい収益モデルや派手なニュースに追随する形で、積極的に as-a-service ビジネスモデルへの移行を検討しています。しかし、as-a-service モデルとは一体何でしょうか?

Slalom では、as-a-service のビジネスモデルとは、(通常クラウドやインターネットの) ネットワークを介した (広義の) サービスの提供であると捉えています。このモデルは、デジタルのみのサービスであることもあれば、顧客との間のデジタルとフィジカルな相互作用を組み合わせたものであることもあります。最終的に顧客はこのモデルにより、利用、機能性、価格の面において柔軟性を享受することができます。

企業の側から見ると、as-a-service のビジネスモデルは、新しくより利益の出やすい収益モデルということになります。1回限りの購入、あるいは繰り返しの購入から、定期的に収益を得る方法への劇的な転換を意味します。このモデルのテクノロジーファーストの例として、Google Apps、MS Office365、Salesforce について聞いたことがあるでしょう。たとえ、これら大手テクノロジー企業とは縁がなかったとしても、Stitch Fix や BMW の最新シートヒーター定額サービスの広告を見たことはあるのではないでしょうか。

as-a-service ビジネスモデルの魅力

as-a-service のビジネスモデルでは先行投資が不要なため、以前は新規顧客にとって手が届かなかったプロダクトも魅力的なものになります。これまで高級品や大企業向けと考えられていたプレミアム製品やサービスも、広く利用できるようになります。

新しいサービス形態のサプライヤーにとって、このモデルの最も魅力的な特徴は、市場拡大に加えて、予測可能で繰り返し可能な収益源を確保できることです。これが、現在1,520億ドル規模と言われる SaaS (Software-as-a-Service) 市場を牽引する原動力になっています。クラウド消費に支配される一方で、サブスクリプションベースのプラットフォーム、サービス、そして「フィジタル」プロダクトによってけん引されるビジネス機会は、膨大な需要を満たすために成長を続けています。

as-a-service モデルのもうひとつの利点は、豊富なデータと継続的なフィードバックの繰り返しです。それにより企業と顧客は長期に渡って戦略的関係を築くことができます。顧客は、購入プロセスのあらゆる段階、つまりプロダクトやサービスとのすべてのタッチポイントにおいてサービスを享受します。顧客は、プロダクトやサービスを自分たちのビジネスや日常生活に取り入れることになるため、このデータストリームの活用は非常に貴重なフィードバック収集の機会となります。as-a-service モデルでは、明示的または受動的に収集したフィードバックをプロダクトに組み込んで、フィーチャーの追加、摩擦の低減、自動化、予測などを行うことができます。これらのプロダクトは、クラウドネイティブに開発され、分析機能を組み込んでいるため、新しい機能を頻度高くリリースすることができます。

Slalom が企業の as-a-service 戦略に向けたガイダンスを提供する際には、あらゆる企業のスタートラインは異なるという認識から出発します。ビジネスモデルを革新するジャーニーのアウトラインを示すにあたって、主要なケイパビリティー開発のロードマップ作成から始めます。拡大、隣接サービス、価値獲得予測、市場の可能性を考慮した長期的な戦略と組み合わせることで、戦略がイノベーションにふさわしい興奮と投資で満たされることを保証します。

成功のためのベストプラクティス

起業家にとっても大企業にとっても、新しいビジネスモデルを設計し、テストすることにはじめは圧倒されるかもしれません。アジャイルかつ素早くプロダクトを市場に届けることは、顧客からフィードバックを得るための最良のアプローチですが、プロダクトを立ち上げる前に考慮しなければいけないことがいくつかあります。

後悔、技術的負債、その他の取り返しのつかない失敗を防ぐためには、以下のベストプラクティスを優先することが不可欠です。

  1. 顧客を真に知り抜く。

  2. 堅牢なモバイル戦略を立てる。

  3. 価格戦略を検証し、利益を最適化する。

  4. クラウドと DevOps に投資し、迅速な市場投入で価値を獲得する。

  5. プロダクト分析を取り入れる。

  6. フィーチャー開発とモデル検証に革新的なアプローチを用いる。

  7. 戦略的ロードマップにおいて垂直拡大・水平拡大の計画を立てる。

  8. 新しい働き方をサポートするように、社内プロセス、人材、メトリクスを変革する。

  9. アップセリングの機会を活かす計画を立てる。

  10. 効果的な情報セキュリティーを通じて信頼を確立する。

結論

企業が as-a-service ジャーニーのどの段階にあったとしても、この革新的なビジネスモデルの潜在的な経済的利益だけでなく、成功に向けた変化、トレードオフ、ベストプラクティスについても考える必要があります。このシリーズでは、この革新的なビジネスモデルへの移行を支援する際に Slalom が活用している上記の10のベストプラクティスをさらに掘り下げていきます。

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