見出し画像

耕畜連携は安定的食糧生産のカギとなるか

SKS JAPANコミュニティでは、食領域で気になるニュースやメンバーの事業・プロジェクトを”シェアアウト”として共有しています。
今回はシグマクシス福世明子のシェアアウトをご紹介します!

2023年の気になる食ニュース。
安定的な食糧生産を実現するために

年明けの食関係のニュースはというと、やはり、ラスベガスで開催されたCES2023です。今年のCES2023は”人類の安全保障”をテーマに掲げ、その重要な要素として、食の安全保障が語られていました。昨年に続き、 世界最大の農業機械メーカーであるジョン・ディアは、KeyNoteを務め人口100億人時代を見据えた食糧生産や精密農業による持続可能な環境・経済を提言しました。
日本の食の安全保障はと言うと、他国と比べて食糧自給率が低いだけではなく、国内での食糧生産に不可欠な飼料・肥料の輸入依存も大きく、円安やウクライナ戦争の影響により飼料・肥料の価格が高騰し、安定的な食糧生産に問題を抱えています。

その解決策として、近年注目を集めているのが耕畜連携です。
農業には、耕種農業(米や野菜などの生産)、畜産農業(牛乳や鶏卵、食肉などの生産)がありますが、この2つの農業が連環し循環型モデルを構築するのが耕畜連携です。

耕畜連携は、地域内で、減反により遊休地となった水田で飼料用の稲やトウモロコシを育て、その稲を家畜用飼料とし、家畜の排せつ物を飼料等の肥料に活用することで、価格の高騰に左右されない飼料・肥料を安定的に調達するモデルです。
耕畜連携と共に、食品加工や流通などフードシステム全体を手掛けるケースもあり、付加価値を重ねることで、生産者の経済的なサステナビリティに繋がる可能性もあります。

北海道のノベルズグループや山形大学農学部も加わるスマートテロワールは、モデル化することで他地域への横展開も進めており、賛同する農業事業者が増えることで、社会課題解決に大きく寄与するかもしれません。

コロナ禍に起因して外食産業の変革が進みましたが、飼料・肥料の価格高騰や安定供給への不安を契機として、食料自給や資源有効活用の本質的な解決を模索する機会になっているとも言えます。

今後、農産業のイノベーションがますます進むかもしれませんね。

(Written by Akiko Fukuyo)

#食の安全保障 #新しいフードシステム #地域循環型地産地消 #リジェネラティブ農業 #地域