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東三河フードバレーイベント訪問記

東三河という地域をご存じでしょうか。愛知県の東側に位置する8市町村から構成される地域で、北部に位置する山々と、三河湾(内海)と太平洋(外海)に突き出す渥美半島という南北に伸びた地域で、山の幸にも海の幸にも恵まれた地域になっています。キャベツ、しそ、とうがんといった野菜では生産量日本一、とれる海産物の種類も日本一、都市圏に近く食用花の生産もさかんながらも、実は「農・食の東三河」とはあまり知られていないのが現状です。
実は今、この東三河で、食・農・料理という領域でイノベーションを創出すべく、フードバレー構想が進んでいます。今回2月27日に東三河県庁主催で「大都市企業x東三河企業マッチングトーク『農・食・料理』でイノベーション」が開催され、シグマクシスから福世明子が登壇いたしました。イベントでは、東三河フードバレー構想にかける想いやこれまでの取組み、この地域におけるイノベーションの課題についての議論が繰り広げられました。

(図1: 赤く塗られたところが東三河地域。愛知県の東側に位置する)
(写真:中部ガス不動産株式会社代表取締役 赤間真吾氏のプレゼンテーション)

中部ガス不動産株式会社代表取締役赤間真吾氏からは、東三河フードバレー構想を立ち上げた理由として、東三河の個性豊かな農家の方々の認知度をもっと高めていくこと、健康やSDGsといた課題にもっと東三河として取り組んでいきたい想いが語られました。将来的には、世界中から農業ベンチャーやフードビジネスが東三河に集まってくる、フードクリエイターの聖地となることを目指しているとのことです。

(写真:株式会社シグマクシス 福世明子氏のプレゼンテーション)

株式会社シグマクシス福世明子氏からは、今フードイノベーションが注目されている理由として、社会課題解決と食の多様な価値を創造していくことが求められていること、中でも地域単位でリジェネラティブフードシステムを構築しながら、さらに地域に眠る伝統などのアセットを掘り起こしていくことの重要性が話されました。

(写真:ホテルアークリッシュ総料理長 今里武氏のプレゼンテーション)

ホテルアークリッシュ総料理長の今里武氏は、2008年の創業以来、地元の農家の方々とのネットワークをどのように構築してきたか、そうした農家の方々と様々な施策を重ねていくうちに、近年ではタイなど海外から東三河の豊かな食文化を楽しみに来られる観光客や料理専門家が増えてきていることが伝えられました。

(写真:パネルディスカッションの様子)

盛り上がったのは、どのように東三河からイノベーションを加速させていくことができるかについてのパネルディスカッションです。農業生産、加工・体験化、流通・消費、それぞれの段階でどういった課題があるのかが話し合われました。
 
会場の参加者から、「東三河では、生産の能力はあるが、この価値を伝えていくところのクリエイティブの能力がまだ足りないのではないか」という指摘があり、地元では価値が「当たり前」すぎて気づいていないことを、外部との共創を通じて引き出していくことが重要であることがパネリストから言及されました。また、地域に加工できる場を設けることで、生産者がもっと加工に加われる上、想いの伝わるデザインが可能になるのではないか、というアイデアも出ました。
 
明治時代に開拓された神野新田、昭和になってから整備された豊川用水と、先人のすさまじい努力によって、豊かな農業国となった東三河地域。フードクリエイターの聖地となることを目指す東三河フードバレーが、今後外部共創者やクリエイティブと共にどんな発信をしていくかが楽しみです。

ちなみに、会場となったのは豊橋駅前にあるem CAMPUS。

(Written by Akiko Okada)