見出し画像

[Food for Well-being Survey解説シリーズ] vol4. 人々は食に何を求めているのか?

実際ロングテールニーズはどれほどあるのか?

さて、vol3では人生にとって大事な価値観の広がりについてお伝えしました。今号では、食について人々が求めている価値を見ていきましょう。

vol.2で、「食のロングテールニーズ」の概念をお伝えしました。Food for Well-being Surveyでは実際に6か国を対象として食のロングテールニーズの定量化に挑戦しました。その結果がこちらのチャートになります。

この設問は、食に求める価値として、横軸にある選択肢が自身に「よくあてはまる」「あてはまる」と回答した方々の割合を示しています。結果をプロットしてみると、確かにロングテールとなっている様子が見えます。この結果からの重要な気づきは次の3点です。

1.日本の値が他国に比べて低い傾向にある

日本の値は赤い太線になっているのですが、ロングテールの右側に向かうにつれ、急流下りのように、値がどの国よりも低くでていることが分かります。米国、イタリア、アジア3か国については、10%から35%の間に値がありますが、日本は10%未満になっていることが多くなっています。

実はこれは私たちにとって衝撃的な結果でした。なんとなくではありますが、日本人は食に関して繊細で、多様な価値を見出しているのではないかと思っていたのですが、数字にすると、日本が無関心層にみえるという結果になりました。本当にそうなのでしょうか?

2.ロングテールニーズは決して低くない

日本以外の国は、ロングテールニーズも10-35%の間を示しています。この数字は小さいように見えるかもしれませんが、食事であれば1日に3回程度、間食や飲み物を合わせると何度も行われている行為であり、全人口が関与することを考えると決して小さな市場ではありません。

欧米、アジアの国々が10-35%を示していることを考えると、日本も実際は同程度のニーズが隠れて存在している可能性があります。「食の価値」として聞かれるとピンと来ないけども、実際には食事の理由が友人に会うことだったり、旅行の理由がその土地の歴史や文化を感じる食事だったりすることもあるのではないでしょうか。

3.ロングテールニーズを満たすには他領域との融合が欠かせない

「新しいことを学びたい」「周りと繋がりたい」「自己表現したい」こうしたニーズは、食そのものとしての価値というよりは、食が他の目的を達成する手段となることで得られる価値とも言えます。食は誰もが行う行為だからこそ、人と共に食事をすること、食を通して何かを学んだり、表現したりすることには大きな喜びがあるのではないでしょうか。

ロングテールの右側にあるニーズというのは、家計でいうと「食費」という予算から支払われるのではなく、「交際費」や「教育費」、「娯楽・レジャー費」など、別のお財布の予算から支払われるものかもしれません。つまり異業種との掛け合わせで、食はその価値を飛躍的に高めることが可能です。

今回は人々が食に求める価値を見てきました。次回は日本のデータをもとに、特に日本において食に何が求められているのかを見ていくことにしましょう。

(Written by Akiko Okada)