児林聡美/栄養学者(栄養疫学)

元東京大学特任助教(保健学博士、公衆衛生学修士(MPH)修士、農学修士)/9報の論文を…

児林聡美/栄養学者(栄養疫学)

元東京大学特任助教(保健学博士、公衆衛生学修士(MPH)修士、農学修士)/9報の論文を執筆してきた栄養疫学専門家/すべての100歳が自分で食事を選び食べられる社会にする!が目標/2歳差男児(5,3歳)ママ/メルマガ発行中→ https://hers-ms.com/

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無自覚の自分の核(食事×健康)に引き寄せられて進んだ運命

こんにちは。栄養学者で栄養疫学が専門の“こばやん”こと児林聡美(こばやし さとみ)です。「食事を通じた社会の健康づくりへ貢献する」ことを目標に、起業家として働き、正しい食情報の普及とそれらを正しく活用してもらうためのサポートをしています。 アカデミアを離れてフリーで活動するようになって4年半(起業してからは1年)たったところです。その前は、東京大学の特任助教として、栄養疫学の研究者をしていました。どんなものを食べている人が健康を保ちやすいか、病気になりやすいか、それをどう調

    • 昨日の食事を調べるだけでは不十分?のわけ

      人が食べているものと健康状態の関係を明らかにする「栄養疫学」の研究をするときはもちろんのこと、現在の私たちが何を食べているのかを知りたいとき、「食事調査」を実施して、たくさんの人の食事摂取量を調べます。そして、その方法には大きく分けると3種類に分けられ、それぞれに特徴があることをお伝えしたところです。 こうして食事調査で得られた摂取量の値ですが、日常の食事に存在する「2つの現象」を知っていないと、うまく使えないんですよね。2つのうちのひとつはこちらのnoteで説明した「申告

      • 私たち、こばやん先生の講座でこんなに変われました!

        食事調査の裏側、秘密をお伝えしている最中ですが、今日のnoteはちょっと話題を変えて、お知らせです。 今年の1月~2月に「栄養疫学入門講座」という名前で、食情報の見分け方の基礎をじっくり解説する講座を運営していました。 この講座、受講生のみなさんの満足度は非常に高くて、講師である私も含めてみんなで楽しく学んだ講座となりました。講座終了後のレポートもnote記事にしたところです。 このレポートは講師こばやんの視点でまとめたものですが、リアルな講座受講生の声もぜひ聴いてい

        • 食べているのに食べていない?の秘密を解く

          人が食べているものと健康状態の関係を明らかにする「栄養疫学」という分野は、たくさんの人の食事摂取量を調べることが必須!という説明をしました。そして、その方法には大きく分けると3種類に分けられ、それぞれに特徴があることをお伝えしたところです。 では、食事調査で栄養素や食品の摂取量が得られたら、すぐにその値を使えばいいと思いますよね。けれども、食事調査を実施したときに起こる注意すべき「現象」を知っておかないと、せっかく得られた食事データをうまく活用することができないんです。この

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        無自覚の自分の核(食事×健康)に引き寄せられて進んだ運命

          意外と大変でむずかしい!食事を「はかる」食事調査法の種類と特徴

          私が専門にしているのは「栄養疫学」という分野です。栄養素や食品の摂取状況などの食事に関わることを扱っている疫学のことです。 栄養疫学研究では、どんな栄養素や食品をどのくらい食べている人が健康状態がよいか、病気になりやすいかを調べるのですから、食事摂取量をはかる(測定する)ことが必要です。人が食べているものを測定することを「食事調査」といいます。栄養疫学研究では、たくさんの食べているものを、食事調査を行って調べるわけですが、これがけっこう難しい。そして、得られた食事の摂取量は

          意外と大変でむずかしい!食事を「はかる」食事調査法の種類と特徴

          知っておきたい!霞が関の日常:国家公務員のリアルな仕事事情

          こちらのnoteで、大学院にはどういうときに行くとよいのか、を紹介したところです。 そうしたら、私が経験したことのある職業である「国家公務員」のことも知りたい、というリクエストをいただきました。栄養学や研究という話からは少しずれますが、実際に働いたことがある人の経験談というのはそれなりに価値があるかなと思い、私の経験が誰かのお役に立てばという思いで国家公務員の仕事のことも紹介してみようかなと思います。ただし、3年間で辞めてしまったので、私の経験したことはほんの小さな一部でし

          知っておきたい!霞が関の日常:国家公務員のリアルな仕事事情

          「健康によい」の情報は疑ってかかれ!

          疑問・質問サービスを受け付けるようになって「○○は健康によいと聞いたけれど本当ですか?」というおたずねをいただくことが増えました。○○の部分には、食品や、栄養素や、健康法など様々なものが入ります。さて、それぞれの質問に回答する前に、質問者の方に知っておいてほしいことがあります。「健康によいとは本当か?」という質問に、直接的に、科学的に回答することって不可能なんです。そして「○○は健康によい」という情報は、すごくあいまいで、信頼度の低い情報だなって思うんです。その部分だけで「信

          「健康によい」の情報は疑ってかかれ!

          大学院に行くべき?迷ったときのキーワードは「研究」

          栄養疫学は食情報を見きわめるために大事な学問だ!と日常生活や業務の中で気づく方は多々いらっしゃるようで、私のところには「すでに社会人だけれども栄養疫学を学ぶために東大の公衆衛生大学院(東大SPH;私の母校)に行った方がよいでしょうか?」といった個人的な質問も届きます。そのときの回答は、質問くださった方それぞれの背景や事情によるので、どなたにも当てはまる回答ってないんですよね。とはいえ東大を含む「比較的高度な学問を学べる大学院に行く」とはどういうことなのか、を知っておくことは、

          大学院に行くべき?迷ったときのキーワードは「研究」

          食事摂取量データを扱う人必見!エネルギー調整のすべて

          という質問をいただきました。 この方はよく勉強されていて、食事摂取量を扱うときには、生じている誤差を補正(調整)したエネルギー調整済値を使うべきということをご存知なんですね。 それではエネルギー調整済値をどのように使えばよいかというと、主な方法が3種類もあり、どの場面でどの方法を使うのか、迷うところだと思います。ところが、その考え方や使い分けに関して、まとめて示してある資料がどこにも見当たらないことに気づきました。そこで今回のnoteはちょっと専門的な話になるのですが、食

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          食事摂取量データを扱う人必見!エネルギー調整のすべて

          こばやん、新聞記事で紹介される!

          4月1日ですね。新年度が始まりました。今年度もがんばろう!(でも力をいれすぎず…)と気合をいれるためにぴったりのお知らせが、数日前に私の手元に届きました。 ●取材を受けました3月はじめごろ、私のもとに、朝日新聞の記者さんからインタビュー記事執筆のための取材依頼がありました。食情報の見極め方をお伝えしたいということでした。 ●食情報の見きわめ方を解説ちょうどこの栄養疫学入門講座で、信頼できる食情報を見きわめ、自信をもって食情報の発信ができるようにするためのコツを扱ったところ

          こばやん、新聞記事で紹介される!

          国の審査はなし!「機能性表示食品」ってなに?

          機能性表示食品を摂取して健康被害が生じたという報道がなされているようです。様々な専門家がこの事件に関して発信しています。そして機能性表示食品の制度の在り方の意見も出されているようです。このままの制度の継続は見直したほうがよいとか、廃止も検討したほうがよい、との記事も目にしました。 それにしてもなぜ多くの専門家がこの食品の制度を批判しているのでしょうか。私自身も機能性表示食品には課題があると感じていますが、それはなぜか、そもそも「機能性表示食品」とはどのような食品なのか、解説

          国の審査はなし!「機能性表示食品」ってなに?

          大満足!楽しかった!の感想続出!!の栄養疫学入門講座

          昨年末、こちらのnoteで紹介した栄養疫学入門講座ですが 1月~2月に4回のオンラインLIVE講義、そして3月にはスペシャル企画の、オンラインでのお疲れさま会と、リアルでのランチ会を開催し、無事にすべての日程を終えました! 受講生のみなさんからは講座終了後にアンケートに回答いただき、講座の満足度や気づきなどをいただきました。すごくよかった、ためになった、楽しかった、といった、うれしい感想をたくさんいただき、私も感謝でいっぱいです。その内容は今後改めて公開することにして、今

          大満足!楽しかった!の感想続出!!の栄養疫学入門講座

          フレイル予防にはたんぱく質だけじゃなかった!(執筆論文紹介)

          私が栄養疫学の研究者として活動をしていた期間に執筆した9報の論文の内容を紹介する「執筆論文紹介」のシリーズ。前回はこちらのnoteで紹介しました。 「日本人高齢女性でたんぱく質摂取量が多い人はフレイル有病率が低い」という結果が得られた論文です(文献1)。この論文、けっこう反響があって、その後「高齢者はたんぱく質を積極的に摂取したほうがよい」といったことを主張するエビデンスとして、様々な場面で使われたんですよ。 ですが、フレイルを予防するためには、たんぱく質だけに注目するの

          フレイル予防にはたんぱく質だけじゃなかった!(執筆論文紹介)

          誰もが使いやすいデータにするために~はずせないひと工夫!

          調査で得られたデータは、最初は欠損値や非論理値が含まれていて、それをきれいにすることからデータ解析の作業は始まることをこちらのnoteでお伝えしました。研究の結果しか見ていないときには見えてこない、研究者の影の労力ですよね。 ところで、このデータクリーニングをする前に、紙の質問票に記入されたり、ウェブ入力されたりした回答内容を、エクセルなどの表計算ソフトに入力して、一覧データにするという作業もあるわけです。この工程は「データ化」といわれるものです。このときに、ただ質問票の内

          誰もが使いやすいデータにするために~はずせないひと工夫!

          データを「クリーニング」するってどういうこと?

          研究をするために調査をしてデータを手に入れたら、すぐに統計ソフトで高度な解析ができる、というイメージを持っていませんか?だって、データはあるわけだし、あとは解析して結果を出すだけ、ですよね…。 いやいや、そうではないんです。データは「データクリーニング」の作業をしないと使えるようにはならないものなんですよ。と説明したら「『データクリーニング』ってなんですか?」と聞かれたこともあります。 今回は、データを解析する前に研究者がどんなことをしているのか、紹介します。 ●データ

          データを「クリーニング」するってどういうこと?

          栄養疫学者の視点でお答えする疑問・質問回答サービス(詳細)

          食事と健康に関わることや、疫学(特に栄養疫学)の研究に関する質問に有料note記事で回答します。サービスの詳細を説明します。 ●入力はお問合せフォームへ疑問、質問はこちらのお問合せフォームへ入力ください。 https://hers-ms.com/contact/ 入力された内容を確認後、3営業日以内に確認完了と、こばやんが回答できそうか、できなさそうか、などのお返事をお問合せくださった方へ差し上げるようにします。 回答できる内容として想定しているのは、食事と健康に関する

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