WordCampスポンサー応募経験から見えてきた問題と改善策

WordPressコミュニティに疑問・提案をする背景

WordCamp Tokyo 2023のスポンサーに応募したところ、事業サイトに掲載しているお客様が使用していたWordPressテーマ名記載が「宣伝・推奨」に該当すると指摘されました。

私としてはこれは「宣伝・推奨」ではなく事実の「言及」であるため、WordPressコミュニティの判断に疑問を感じたのが発端です。

例えば、お客様に対してAというテーマを購入させたり、おすすめした場合は「宣伝・推奨」として捉えるのが普通です。

それに対して、お客様が使用しているテーマ名を記載することはただの「言及」であり、それが購入などを促す宣伝・推奨に該当するとは思えません。

これを裏付けする参考資料として、下記に小学館デジタル大辞泉の各定義を記載します。

宣伝の定義

  1. 商品の効能や主義・主張などに対する理解・賛同を求めて、広く伝え知らせること。「新聞を使って―する」

  2. 事実以上に、また、事実を曲げて言いふらすこと。「自分の手柄のように―してまわる」

推奨の定義

すぐれている点をあげて、人にすすめること。「公立図書館の活用を―する」

WordCampへのスポンサー参加は長年の夢と目標でした

WordPressが誕生してまもなく、WordPress MEの時代から約15年ユーザーとして進化を見守り、同時に使い続けてきました。

フォーラムでボランティア回答したり、翻訳に参加したり、時には無料プラグイン開発者に寄付をしたり。BuddyPressではノーコーダーですが初期の頃リリースに貢献してリリースノートにも含まれたり(当時の日本語版Codexで事例として紹介されたりしました)、WordCampのcontibutor dayなどにも参加して、いつかスポンサーとして宣伝と貢献ができるのは一つの目標でした。

高速化で使用するプラグインも100%GPLを選び、テーマ開発者がライセンスで悩んでいる方にはGPLを推奨したりしました。

そのため自分ではかなりGPL推進の立場でしたが、今回の一件で100%GPLへの情熱は冷めており、逆に100%GPLもスプリットライセンスも、お互い尊重される新しいコミュニティの可能性について考えはじめています。

WordPressよりも緩いWordPressのお祭りがあっても良いのでは?

WordPressコミュニティが条件を緩和するとは思いません。逆に私は100%GPLを理想(強制ではない)としている彼らの現在のルールは、それを実現するためには優しすぎる(緩すぎる)と今回自らが当事者となって感じました。

なのでWordPressに改善を求めず、WordCampなどに過去に参加していたけど経営判断や新機能のリリースによってスポンサーになれなくなった企業やWordPressユーザーと一緒に自分たちの現状をお互い受け入れてくれる別の楽しみ方を提案していきたいと思います。

(なおWordPressコミュニティはこういったWordCampやWordPressミートアップ以外に、違うルールで違うコミュニティができるという事について特に反対はしていません。ただ同じ名称は名乗れないとか、その程度です。)

結局のところ、WordPressコミュニティに参加者としてだけじゃなくて、積極的にWordPressを広めたいという思いはWordCampのスポンサーになれなくても持っているはず。

過去のスポンサー含めてもう貴方は基準が合わないから・・・だとそこで深い縁が切れてしまいますが、もう一つの場を作ることでスタンスは違うけど同じ仲間は継続するというイメージです。

あとこれは個人的な感想ですが、私は高速化代行という立場上、100%GPLのプロダクトや開発者、100%GPLではないスプリットライセンスのプロダクトや開発者との接点も多いです。

WordCampという既存の枠組みだと、彼らはライセンスを変更しない限りお祭りには参加できません。参加者としては来場できますが、会場でPRはできないです。

WordCampについては私もお客様が運営する会員数が1,000単位のブロガーサロンなどで、開催情報を共有していますが同じWordPressユーザーなのに、反応がイマイチです。ただ彼らが使っているテーマの開発者がスポンサーブース出して、会場に来れば実際に会えるとなるとまた違ってくると思います。

WordCampのスポンサーには今後なるのか?

私は実績においてお客様のサイトを差別することなく、お使いのテーマ名も紹介しどのテーマを使用したサイトがどれくらい高速化したのか?というのを分かりやすく提示していきます。

そのため私が100%GPLのプロダクトを推奨していても、お客様が利用されているテーマ名、プラグイン名、サーバー名の記載によりWordCampのスポンサーになれる条件をクリアするのは困難だと考えています。

WordCamp Tokyo 2023を含む、今後のWordCampスポンサーは諦め、自分なりのWordPress普及を目指していきたいと考えています。ただWordCampの存在否定はしていないので、参加者としては思い切り楽しみます。

WordPressイベントのスピーカーには登壇するのか?

これまでもWordPressミートアップ主催者複数名から、高速化について打診を受けていることは事実です。今まではタイミング合えば承諾する予定でした。

ただスピーカーになるのもWordCampスポンサーになるのも、WordPressでは同じ基準が求められるので今回の一件以降、WordPressコミュニティという枠内ではお引き受けできません。

これは受けたくないということではなく、お互いの条件が合わないためです。

WordPressミートアップの枠組みじゃなかったり、WordCampという枠組みじゃないWordPressの勉強会や交流会においてであれば、私含めスポンサー基準に該当しなかった他社もスピーカーとして登壇できます。

さてここから本題へ戻ります。

WordPressの日本コミュニティは「promote」を「言及・参照」としてローカライズすべきだったかもしれない

WordPressのグローバルコミュニティ及び、各国の基準となる英語ドキュメントではpromoteという単語が使用されています。このpromoteは「宣伝・推奨」という意味合いです。

ただ日本のWordCampチーム回答や、過去にWordCampやWPミートアップを主催したり、現在も積極的に関わっている知人らの話を参考にすると「宣伝・推奨」の意図がなくても言及・参照されていると問題という解釈が共通している様に思えました。

どうやらWordPressのグローバルチーム解釈は宣伝行為が認められなくても、記載があれば「その製品を知らない人が見たときに、認知を広げる手助けをしてしまう」ということです。

上記は実際にスポンサー経験ある方に教えていただきました。

Twitterのリツイート=賛同と捉えられる、みたいな拡大解釈に思いますが上記だとなおさら「宣伝・推奨」よりも「言及・参照」の表現の方がしっくりくると思います。

「宣伝・推奨」とした場合は当事者と審査側の主張を照らし合わせる必要があります。しかしこの確認は時間がかかり、ボランティアで運営されるWordCampにとっては負担となります。

ではもし最初から「100%GPLに該当しないプロダクトへの言及・参照」とした場合、これはスポンサーを申し込む前に判断できるのでお互い楽だと思います。

グローバルコミュニティで質問を投げかけ対応を様子見中

現在WordPressのグローバルコミュニティSlackでpromoteが具体的に、どんな定義になっているか?という質問を投げかけて回答を待っています。

その回答によって仮にpromoteと言っているけど、実際はmentionやreferenceの要素が強い場合、そういった表現を採用してはどうか?と提案するつもりです。

日本のWordPressコミュニティがどう対応するか?

WordCamp Tokyo 2023での対応はスポンサー募集が終了しているため、間に合わないかもしれません。

今後については上記を参考にスポンサー募集の記載表現を工夫することで、WordPressコミュニティの意図を今以上に伝えやすくなると思います。

宣伝していないものを「お前は宣伝している」と言われるよりも、最初から「言及しているとアウトだよ」と言ってくれた方が、こちらもスムーズに受け入れることができます。

ただルール上グローバル基準に基づくとしている場合、どれだけ日本コミュニティに提案しても動けないのでグローバル規模で改善を求めるしかありません。

追記(2023/07/10)
WordPressコミュニティの日本語担当チームから下記メールが届いたので抜粋し紹介します。

ただ「宣伝、推奨」という翻訳により原文に含まれる「promote」のニュアンスが汲み取れていなかった点を鑑み、こちらは日本語版の修正を検討します。
また、「promote」の定義について明確にできるようグローバルコミュニティにドキュメンテーションを提案します。

具体的に他にスポンサーになれないケースの紹介

今回のテーマ名とは別に、サーバー名の記載が問題となる場合があります。

WordCamp Tokyo 2019以降、日本のレンタルサーバー各社はオウンドメディアの運営と、特に最近では有料テーマの販売を強化する傾向にあります。

その中には、ブロガーに有名なテーマも含まれますが、100%GPLではなく部分的なGPL、スプリットライセンスのためそのサーバーは過去にスポンサーになってましたが新しい機能や情報発信内容によりスポンサーになれないケースが発生するようになりました。

また私みたいにサーバーでもなく、位置的には代行業者の場合も、上記で駄目と判断されたサーバー名が含まれていると、そのサーバーを応援していると解釈されてしまうので、WordCampスポンサーになるには記載を削除するなどの対応が必要となってきます。

スポンサーの審査とGPLに関する問題点

今回スポンサー申請をしてみて、審査における課題が見つかりました。別記事として準備中ですが、課題を指摘すると同時に私なりの解決に繋がりそうな案も提示していきたいのでお時間いただきます。


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