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前川喜平さんの「日本の有権者はかなり愚か」発言が間違っている理由

前川喜平さんの愚民発言を「違う」と否定する山口二郎さん


山口さんは野党共闘を下支えした市民連合の中心的人物で、前川さんとは同志と言って良い間柄。

コメント欄が興味深くて、「前川さんは間違ってる」にまざって『山口さんの指摘は「正論」だが、前川さんがこう言ってしまうのはわかる気がする』という声も少なくありません。

正直に言うと自分も前川氏のコメントに共感するところがゼロではないので、妻と長男に以下のような質問をぶつけて、腑に落ちるコメントをもらったのでシェアします。自分の気づきも追加してみました。(なお、当方は前川氏の評価は中立です)

ご意見や違う論点があればぜひコメントくださいー。

論点

『なぜ、こういう発想・発言がいけないのか?』
『平気で嘘・改ざん・ステマ・犯罪をやるような政党を信任することは愚かと言ってよいのでは?』
『実際に愚かな人はいる。事実。事実を述べて何が悪いのか?』

理由1)そもそも「愚か」という認識が間違っている

(1)優先するものが異なっているだけで愚かではない
例えば左派は国家の長期的繁栄の基礎となる「民主・公正・基本的人権(自由と権利)」が揺らいでいると感じて、他のどの政策よりも最上位においているが、極右は「中国共産党の脅威→日米安保」「夫婦同姓」を優先。人によっては「NHKスクランブル」を優先
(2)危機に気づいてない・感じてないだけ
これは25歳の甥の談話からの気付きです。たとえばバブル崩壊後に生まれた若者は日本が衰退した感覚がありません。そこそこ良い国と考えています。(理由は、独身で健康なら食べるに困る事もなく、治安もよく、香港・ミャンマー・ウイグルのような悲劇もない)。このため「変える必要がない」と考えている人が多いそうです。

【余談】これも甥の洞察ですが、若い人(20代くらいまで)は「いいところを探す」環境で育ってきたので批判に対する耐性がありません。その批判が正当かどうかに関わらず、生理的に「嫌い」だそうです。これが自民党や維新を支持する理由

理由2)次に「愚かな人はいる」として考えてみます

(3)憎む対象を間違えている
憎むべきは愚かな人でなく愚かな人を生む構造・環境。例えば生まれ育った家庭環境、出会った仲間や先輩、日本の義務教育に「主権者教育」が含まれていないことも大きい。(さらに、ここから派生して、自身は恵まれた環境にいたのではないか?に思いを馳せて、謙虚になるべきだったのではないでしょうか)
(4)それは「今」だけの可能性を無視している
思考を洗練している最中で変な方向に偏っているのかもしれません。私も一時期「小林よしのり」に傾倒したという黒歴史があります。苦笑
生きるのに精一杯で学ぶ時間がないのかもしれない。
大切なイベントを控えていたかもしれない。
(5)愚民思想は、ナチスによる虐殺をもたらした選民思想・優生思想に通じる
「愚民がいる」という発想・主張は「オレは優れている」「優れた人がいる」という考えと表裏一体です。「アーリア人が最優秀」という考え方と同じです。極めて危険な考え方です。

理由3)その他の観点

(6)「こんな人達に負けるわけにはいかない」と言った、安倍晋三さんと同じになってしまう。
(7)事実に基づいた異論・批判に対して「またアンチが騒いでる」と聞き流したり、敵認定する維新と同じになってしまう。

とりあえず以上です。適宜、追加・変更します。

そして、こういったことを忘れて「愚民」を憎む発言をしてしまうと、そこに生まれるのは、反発・憎悪です。分断を深めるだけです。

そこに「建設的な対話・思考」は生まれません。

前川氏のこの発言の狙いは何なのでしょうか?


・喧嘩したいのか?
・分断を深めたいのか?

それならこの発言でよいでしょう。うちの息子達も「このアホ!」「なんだと!」とよくやりあってます。笑


・議論を喚起したいのか?
であれば、逆効果です。それとも深謀遠慮があるのか?この後の発言に注目です。

・単に「愚痴」を聞いてほしかったのでしょうか?
であれば高くつく代償です。言葉を尽くして謝罪撤回しても、もはや誰も話を聞いてくれなくなるでしょうから。少なくともストレス耐性が弱く危機に対処できる人物ではない。という評価になってしまうでしょう。

以上。サンデル教授に白熱教室やってもらいたいな。

余談 やっぱりリベラル・左派が好きな理由

自民や維新の議員・支持者は、失政・不祥事・問題発言があっても、大抵はだんまり or 擁護という印象があります。安倍元首相や吉村府知事が同様の発言をした場合、同意・擁護するコメントが多数派を占めると思います。(実際、上述した6・7ではそうです)

誤った言動に対しては、仲間・同志であっても「それは違う」と正面から指摘できる左派・リベラルの気風はやっぱり好きです。

疲れるけどね。笑


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