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推しよ、押してくれ

恋って
こんな感じだったかもしれない。

私は販売の仕事をしている。
小さなお店で
ぱらりぱらりとお客様が来てくださる。

そこに彼女がやって来た。

くすみカラーを
ナチュラルに着こなし
さりげないオシャレがステキだった。
レジで対面した時
ドキリとし
思わず声が出た。
「えっ!それオブチキさんですよね!!!」
彼女の帽子には私の推しキャラが。

“キャラ”と言っても並のキャラでは無い。
いわゆる“ゆるキャラ”でも無い。
村の非公認キャラクター。
その名も“キングオブチキン”。 https://www.google.com/search?kgmid=/g/11s3qxk7y8&hl=ja-JP&q=キングオブチキン&kgs=b9d84f1b1864e229&shndl=17&source=sh/x/kp/osrp/m5/4
スタイリッシュで
類いまれなるセンスを持ち
民を愛する鶏王なのだ。
お会いすることは叶わないが
グッズを手に入れるため
何度も足を運んでいる。
彼のX(旧Twitter)に目を通しては
ひとりニマニマしていた。

そんな中、出会ってしまった。
「ええっ!」
彼女も驚いていた。
「知ってるんですか?」
失礼ながらこの辺りでは
認知度ゼロだと思っていた。

話に花を咲かせたいところだが
あいにく仕事中の私である。
「ありがとうございましたぁ」
の声でサヨナラだ。
とても残念だ。

それから時々、お店に来てくださる。
その度にオブチキさんで
話が盛り上がりかけるも
次のお客様ご来店で
「ありがとうございましたぁ」
と、サヨナラだ。

私は50代のおばちゃんだ。
彼女もおそらく同年代。
友達って
どうやってなるんだっけ。

声をかけたい。
でも
引かれたらどうしよう。

話をしたい。
でも
オブチキさんの話以外
合わないかもしれない。

お茶しに行きたい。
でも
お店にもう来なくなるかも。

今日も今日とて
オブチキさんのXにニマニマしながら
彼女に思いを馳せるのであった。

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