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生産性の意味とその測りかた

どのくらいの売上や利益を創出できたかが大事と言われているけれど、本当は従業員が働く時間に対してどのくらいの売上や利益を上げることができたかを考えることが大事じゃないだろうか?

従業員の人数や労働時間を考えないと、非効率的な仕事でも力技で売上や利益を創出できてしまうからである。

株式市場ではEPSが重要視される。1株あたりの収益が高いほどいい企業となる。
人材市場で考えるならば、働く時間に対して、より高い収益を上げられる企業がいい企業だと評価されてもいいはずだろう。

労働時間あたりの収益率を生産性だと考えたい。その場合、どのように生産性を測定でき、どのようなことをすれば生産性を向上させることができるだろうか。

生産性の計算方法

計算式としては以下のようになる。

生産性 = 利益 / 総労働時間
言い換えると、1時間あたり収益率 = (売上 - 費用) / (従業員数*月間平均労働時間)と表現できる。

例えば、以下のような企業を想定してみよう
売上高:1億円
総費用:9000万円
従業員数:10人
月の平均労働時間:20日 *8時間 = 160時間

この場合の生産性は6,250円になる。
生産性をお金という指標で表現できる。シンプルですごくいい。

計算式は以下の通りだ(単位は万円)
(10000 - 9000) / (10*160) =  0.625

生産性の意味

生産性の数値化は何を意味するか。大きな効用は以下の2つだろう
・効率的に利益を生み出せているのかの判断ができる (生産性の基準の理解)
・効率的に利益を生み出すための変数を理解することができる (ビジネスド
ライバーの理解)

結果的に以下のようなメリットも生まれる
・少ないヒトで売上や利益を向上させる方法を知ることができる
・従業員の働き方を向上させ従業員満足度を向上させることが可能

ただし、先行投資によって将来の売上や利益創出を目的としており、赤字を許容するフェーズの会社もあると思う。その場合には、分子を利益ではなく、売上にして計測することも大いに意味がある。

利益創出観点での生産性と売上創出観点での生産性の2つを計測する方がより自社の企業運営に対して理解が深まるだろう。

売上およびコストの把握

もちろんさらに精緻な分析をするためには、各項目に対するさらなるブレイクダウンが必要となる。

簡単にブレイクダウンするだけでも以下のようになる。
・売上 = 平均単価 *平均購買回数
・コスト = 固定費 + 変動費
・労働時間 = コア業務 + ノンコア業務

企業が生産性を高めるためには、闇雲に施策をうつのではなく、全体の構造と数値の可視化が必要になる。

既にデータが取得できているならば、そのデータを集約し分析することが可能だ。一般的に売上やコストのデータは会計ソフトに入っていることが多い。特にコストは勘定科目ごとに記帳しているはずなので、分析は容易になる。

一方で売上データは分析が難しい。商材や顧客ごとにブレイクダウンしようとすると会計ソフトだけでは厳しいかもしれない。自社のSFAや販売システムなどから詳細なデータ取得が必要となるだろう。

また、労働時間の内訳を知るためには、データの取得がかなり難しくなる。

労働時間の把握が生産性測定の要諦

労働時間を可視化し、測定できないと生産性を測定できない。また、労働時間も内訳を把握できなければ、生産性の向上に繋がる施策を立案できない。

ではどうやって労働時間を把握すればよいのだろうか。
1つのアイディアとして、Google カレンダーを使ったデータの取得が考えられる。

以下のようなオペレーションを構築することで労働時間の内訳を取得することが可能になるはずだ。
※Google WorkspaceのユーザーかつBusiness Standardエディション以上が必要

タスクも含めて全ての活動をカレンダーに入力する。
・Googleカレンダーに記載されている時間のみ労働時間として扱う。記載ない場合は労働時間外とする。
・事前にタグを準備しておく。タグは以下のようなイメージで作成する。
 - 会議
  - 社内会議
  - 外部会議 (例. 商談 etc.)
 - タスク
  - コアタスク (自分にしかできないタスク。例. 資料作成 etc.)
  - ノンコアタスク (誰でもできるタスク。例. 見積り作成 etc.)
・Googleカレンダーの機能であるTime Insightsから労働時間に占める上記の割合を計測する


Time Insights 機能の利用イメージ

労働時間のコア業務比率を高める

ここまでの整理となるが、生産性の向上には3つの方法しかない
1) 売上を上げる
2) コストを下げる
3) 総労働時間を下げる

特に3の労働時間を下げるためには、何が必要だろうか。
「従業員を減らす」か「従業員の労働時間を減らす」かの2択だが、現実的に前者は難しいので、必然的に後者のアプローチを採用することになる。

日々多くの仕事があり忙しいなかでどのように労働時間を下げられるだろうか。改めて自分の仕事を振り返ってみると、自分の本業に取り組める時間というのは意外と短かったりする。コピーを取ったり、電話の取次をしたり、誰でもできて付加価値の低い仕事に時間を割かなければならない場面が多々ある。

だからこそ労働時間を減らすために重要なことは付加価値の低いノンコア業務の労働時間を削減し、コア業務の比率を高めることである。企業全体の総労働時間は減少し、生産性は向上するはずだ。場合によっては本業比率が高まることで売上の拡大やさらなるコスト削減施策の実施が可能になるかもしれない。

なお、ノンコアの減らし方は大きく分けて3つの方向性があるが、また別のタイミングで書きたいと思う。
ちなみに3つとは
1) 業務自体をなくす
2) 業務を省力化する
3) 業務を自動化する
である。

株式会社siracusaでは生産性を向上するための1つの方法としてSaaSを中心としたテクノロジーの活用を提案している。既に導入済みのITツールを使いこなすことで、データによる可視化とノンコア業務の効率化・自動化を支援している。

この話に興味を持った方へ。
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