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【新車ディーラー営業】新車ディーラー営業の失敗談・土下座しても許されず、「もう指つめなあかんのとちゃうん?」事件 【失敗エピソード①-2】

今回は前回の

のつづきです。


新車ディーラー営業の失敗談【失敗エピソード①-2

1、土下座しても許されず、「もう指つめなあかんのとちゃうん?」事件

修理後の納車

ヤンキーホーンの配線の修理後、社長がFに連絡をし、納車の日程調整をし、今度は営業である私が一人で行くことになりました。

O府にあるF宅まで2時間かけ、納車場所の自宅の近くで、車のボディについた虫を布できれいにふき取り、指定された時間どおり納車にいきました。

ピンポンを押すと家の中からFがでてきて、案内されたとおり庭の駐車スペースにワンボックスをとめ、Kに修理内容を話しました。

「エンジンが止まる原因はヤンキーホーンの配線のミスでした。配線をしなおし、何度か私も試乗に同行しエンジンが止まらないことを確認しました」と報告しました。

そしてKから「積車はどこにとめたんや?」と聞かれたので、

「あっ、代車を出してたんで、自走できました(自走とは車を積車に積まず、お客さんの車を直接運転することをいいます)」と答えたところ

「自走だー?」とFの顔と声色が一変しました。

「新車でまだ200kmしか走ってねーのによー、自走で来るとはどーゆーことだー」

「はぁ、すみません」と私の心の中で(しまった)とつぶやき、あせりました。

「お前ここまでのメーターどうしてくれるんじゃい、バックでもして戻してくれるんか?」とFはどなってきました。

「いや、それはちょっと・・・」とつぶやきました。

(むちゃいってくるなこの人)と私の心の声がいってます。

私は人から怒なられたり、詰問されたりすると、自分を守ろうとするのか、相手を遮断しことばがでなくなることがあります。

そのままだまって、神妙な顔つきをしていると。

「どうしてくれるんや、お前んとこの会社から走ってきた分どう償ってくれるんや」

「・・・」(なにいいだしてるんだこの人、オレから金でも巻きあげようとでもしているのか?)

「別の車を用意するんかい」

「いや、ちょっとそれは」(これは世間でいう、いいがかりというやつじゃないか?)

「わかった、返品するわ」「返品できるんやろうな」

「社長の友人かとおもって、簡単にすませるなとおもうなよ」といってきました。

(げっ、社長に相談して解決しようと思っていたのに)と心の中つぶやき、

私がなにも話せなくなりだまっていると、

Fは急に「ワシはほんまもんやでー」とタンカをきってきたのです。

(ほんまもんて???、おそらく自分はヤクザっていうことをいいたいのだろうか、ちょっとこのことばにぷぷぷと笑いそうになるのをこらえて、あわてて神妙な顔をつくりました)

このとき生まれてはじめて自分のことを「ほんまもんやでー」という人をみて、見た目がふつうで、自分のことを大きくみせようとするとちっちゃな人間みえるから、こんな大人にならないよう気をつけようと思いました。自分と2つしか歳が違いませんが、、、。

このままだと、なにをいっても許してくれそうにもありませんでした。

Kも私が何もいわずにその場で立ち尽くしていて、時間ばかりが過ぎていくのをやきもきしだしたのか、

「出直してこい」と言い放ちました。

「わかりました、少し考える時間をください、考えがまとまったらまた戻ってきます」と伝え、Kの車に乗って近くの住宅地に車を停め、社長に報告するのいやだなーとおもいながらも、短縮ダイアルのボタンをちゅうちょしながら押しました。

社長がすぐ電話にでて、「これこれこういう理由で納車できません」と事情を伝えました。

社長は笑いながら「ははっ、なんとか許してもらえ」といわれました。

私はひょうしぬけしました。

私は社長から、許してもらえるようKにとりつくろってくれるかと思っていたからです。

電話を切ると私は必死で考えました。

「どうしたら許してもらえるんだろう」

「なにをしたらいいんだろうな」

「このちんぴらをどう攻略しよう」

そのとき以前テレビでウッチャンナンチャンのコントでウッチャンが「土下座侍」というのをしていた映像が頭に浮かんできて、「そうだこれだこの作戦でいこう」と、意気揚々としながらKの自宅へ戻りました。

「もう、この1日がなんとか早く終わってください」と祈りながらピンポンをならしました。

Kがでてきて、「おう、考えがまとまったんか」といわれた瞬間私は、

「申し訳ございませんでしたー」と大声を出しながら、膝をつき、駐車場のコンクリートの土間に頭をこすりつけようとしました。

するとKは「男がそんなことせんでええ」

といいながら、私の腕をつかみ体を起こそうとしました。

私はそれに抵抗してまた土下座しようとしますが、今度は体ごと抱きかかえられ、そこで私は土下座するのをあきらめました。

「で、お前の考えはなんや」とまた問われました。

土下座をすればなんとかなるという考えはあさはかで、Kは許してくれませんでした。

「社長に報告したんやろ、社長はなんていってたんや?」とKが聞いてきました。

「社長には自分で考えろといわれました」

「で、なにを考えたんや」

(さすがに土下座とはいえないな、もう万策つきたか、このまま逃げようか)

こうなったら最後の手段しかない

「私のローンがとおるかわかりませんが、こうなってしまったので私が責任もって弁償します」

(チンピラの解決策もこれしかないのか、でももうこれで終わりしたかった。今の車のローンにさらにローンが重なる、とほほ、オレの人生っていったいなんなんだー)

私の最後の手段は小指を切るではなく「身銭をきる」でした。

そこでKからでたことばは「そうなんや、やっとそういったな、ほんとうはこんなことしたくなかったんやけどな、わいかて一応客やからな社長の友人やと思ってあまくされたらかなわんのや、その気持ちがほしかったんやー」

「もうええ許す」

といわれて、やっとその場から解放されました。

「なにがあっても許してもらえない、また車のローンが増えるなぁ」と本気で思っていました。

そのとき「小指と身銭を切らなくてホントよかった」と内心ほっとしました。

この事件は振り返ってみると、私はふだんは社長のお客さんには気をつかうのに、なんでそのとき自走で行ったのかまるで意味がわかりません。

社長の友人だからと思って気が緩んでいて、代車をだしているから自走でいけばいいやと軽いつもりでいたのかもしれません。

このあとすぐに社長に報告すると、また笑いながら「わかった」とだけいい電話を切りました。

その日代車での会社への道のりを、どんな気持ちで帰ったのか記憶からすっぽり抜けおちていました。

きっとずっとこの事件のことを反すうしていたのでしょう。

会社に帰ってサービスの工場長にことの顛末を伝えると「アホちゃう?なんで自走で行ったん?」と半笑いされました。

まとめ 

この経験からえられた教訓

  • この件、おれのせいちゃうやん。営業は理不尽なことだらけ、人の尻をふくこともある

  • チンピラはたちが悪い

  • ワシは「ほんまもんやで」という人物を生まれて初めてみた

です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回またお会いしましょう。
でわっ!

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