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【新しい環境に身を置くASDの方へ】ASDは無理して頑張るべきか問題

結論からいえば、イエスでもありノーでもあります

昨今、無理してがんばるのはよくない、辛いときは逃げてもいい、という風潮ですが、

わたしが思うに、
さっさと逃げたほうがいいときと、無理して踏ん張ったほうがいいときがあります
(この見極めが難しいんですよね…)

確かにASDは、良くも悪くも脆いところがあり、社会にうまく馴染めない、絶対ほかの人よりしんどい思いしてる!って思うときもあります

だけど、どこかに自分の居場所を作らなければいけない、誰か味方を作らなければいけないのは、ASDであろうと、定型発達の人であろうと変わりありません

むしろ、ASDほど、心の安定のよりどころとなるようなスキル、居場所、キーパーソンが切実に必要なのです

だから、踏ん張るべきところでは、どんなにつらくても逃げずにとどまることで、道が拓けることが大いにあります

正面から向き合うのがつらいなら、騙し騙しでも、10分の1の力でも、細々と続けていくことが大事なときもあります


わたしは人生の一時期、迫りくる人生の課題から逃げまくっていたことがあります

まわりの人がみんな怖くてたまらず、自分を責めているような気がして、怖気づいてしまい、自ら関係を断ちまくったり、バックれまくったりしていました

そうすると、確かにその瞬間はラクになるのですが、結局根本的な問題は何も解決していないので、後々苦しむことになりました

そのときわたしが気づいたことは、
仕事や学校が嫌なら辞めることができるし、苦手な人がいたら縁を切ることもできるし、どんな問題からも一時的に逃げることはできるけれど、
結局どこまで逃げようと、自分自身の特性から逃れることはできない、という真実でした


道が拓けた先には、以前とは少しだけ違う世界が広がっています
根本的な自分の本性は変わらなくても、
以前とはほんのちょっとだけ違った自分になっており、
ほんのちょっとだけ違ったふうに世界がみえるようになります

ここが自分の限界と、自分にがっかりすることも多くあります
ほかの人より諦めなければいけないことも多いかもしれません

だけど、何も成長しないわけではないし、何も得られないということもありません



もちろん、理不尽なパワハラやいじめ、DVなどには耐える必要は一切ないので、あらゆる手段を使ってさっさと逃げてください

あと、明らかに自分の特性と合っていないものが求められている場所では、いくら頑張ろうと消耗するばかりで得るものは少ないので、
早めに見切りをつけて、もっと自分を活かせる場所に移動することも大切です 


ただ、何か新しい発見や喜びがある、
自分に興味を持ってくれる人とのつながりがある、
何か自分の人生に新しいフェーズや出会いをもたらしてくれそう、
という感覚があるなら、
それに付随する面倒くさいことや、苦痛なこと、苦手なことは、我慢しても続けたほうがいいとわたしは思います

特に、そんなに自分を偽る必要がない場所や人がいる場合、
そのような場所や人はかなり希少なので、
苦しくても踏ん張ったほうがいいです


たとえば、わたしは飲み会というものが苦手で、
新卒時代、お酌をするとか料理を取り分けるとか雑談をするとかいうレベルではなく、
お店に何時に入ればいいのか、どこに座ればいいのか、何を食べたり飲んだりすればいいのかということすら分からず、
基本的にフリーズして隅で小さくなって固まっていました
(途中でバックれたことも直前でドタキャンしたことも多々あります)
苦痛というレベルじゃなかったです

でも、今は別に、(そんなにすきではないですが)普通にお店を予約したり注文をとったりもできますし、
隣に座った人とそれなりに会話を楽しむこともできます
本気で嫌なときは、さらっとスマートに断れるようにもなりました

最初は本気で眠れなかったり、吐いたりするほど嫌でしたが、単に慣れや、歳をとったことで、得意とまではいわないまでも平気になったことはたくさんあります


だから、若いASDの方には、そんなに早急に結論を出さず、イヤイヤでも、30点のレベルでも、3回に1回とかでも、騙し騙し続けてほしいなって思います


それでもほんとにつらいとき、
逃げるべきか頑張り続けるべきかわからないとき、
一番大切なスキルは、
勇気をもってまわりの人につらいと訴える力です

社会にはもちろん嫌な人もいますが、
大部分の人はそんなに悪い人ではないです

しかし、あなたが何も言わないと、まわりはあなたが何に苦しんでいて、何に困っているのかわかりません

つらいときはつらいと、
助けてほしいときは助けてと、
勇気を出してお願いしてみてください

わたしはこれが苦手でできない
どうしたらいいのかわからない
これをもっとこうしてくれたらラクになる

そういったことを、きちんと言葉にして伝えてください

その際、できるだけ攻撃的な態度をとることはしないでくださいね
変に卑屈になる必要もありません
わたしはあなたを信頼している、あなただから相談できている、という、信頼に基づいた態度が大切です

そうすれば、
我慢し続けるでも、逃げるでもない、第三の道が拓けてきます

ASDは基本的に視野が狭いので、
二者択一の極端な思考に陥りやすいですが、
人に相談することによって

あ、そんなやり方があったのか
そんな考え方ができるのか
そんな制度や抜け道があるのか

というような、思いもよらない方向からの解決策があらわれることがあります


最後に
あなたは、ASDだから自分はほかな人より変だ
まともじゃない
ほかの人みたいにできない
と負い目を感じることもあるかもしれませんが

社会に出てみると
案外普通の人も変なところがたくさんありますよ
それでも、まああの人はあんな人だしな、と、お互い様の精神で成り立っているものです

また、自分ではなんでもないと思っていた意外な能力や性格を評価してくれる場面もあります

だから、あなたも自分を卑下することなく、
自分のできることでしっかり貢献して
できないことは弱音を吐きつつうまく人を頼って
理不尽な状況にはしっかり声をあげて
あまり気負わずに堂々と生きていってください


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