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古の風に乗って自分を感じる

一目散に駆け込んだのは寺の奥にある居間。
VTRでここ南禅寺に貯蔵されているご自慢の宝物の解説をしている。
勿論、僕がこの寺に来た目的は、これらの宝物をじっくり堪能する為なのですが、この部屋に駆け込んだ理由は違う。


クーラーが効いているからだ。
まだ午前中だと言うのに全く信じられない。38℃ってね、体温だとしてもれっきとした発熱ですよ。インフルエンザ並みです。基礎体温の低い僕は37℃の体温でもヒィヒィ言うくらい熱には滅法弱い。


ふと、周りを見渡しても誰もいない。
だからTシャツを胸までたくし上げ、冷風を目一杯独り占め。天井の隅に目を見張ると、しっかり監視カメラがこっちを見ているではないか。でもそんな事は気にしない。そんな年頃。


暫くすると、遠くから優しい風に乗って読経の声が聞こえてくる。
目を閉じて快適な居間の中で過ごしていると、いつの間にやら転寝うたたねをしていたらしい。つまり、汗をかいたオッサンが、拝観料を支払いクーラーの効いた部屋で昼寝している。まぁ、側から見たらそんな光景なんだろう。


参拝者が増えてきた為か、快適な居間からは自然と追い出される格好になった。追い出された先に広がっていたのは、今日のお目当てだった「方丈庭園」だ。禅院式枯山水の庭園は、清涼殿、庭園、借景の羊角嶺ようかくれい等の山並みの三者が程よく調和され、優雅枯淡で実に品格がある。俗に「虎の児渡し」と呼ばれる組み合わせは実にお見事。


、、、でも、正直なところ、よく分からない。
どれが虎なの、、、さて、周りに悟られず分かったフリでもしよう。ここにいる誰も分かっていないと信じる。



Canon EF 50 f1.8 『南禅寺 方丈庭園』


方丈から出ると目の前には『水路閣』がある。
京都には『金閣』『銀閣』『水路閣』『呑湖閣』の四つの閣があるんだって社会の先生が言っていた事を思い出します。『呑湖閣』は大徳寺芳春院にありますが『水路閣』はここにある。


確かにここにはあるものの、僕の中には、火曜サスペンスの船越英二さんの顔しか出てこない。犯人を追い詰めた時の定番だ。なぜだろう。


そんな事を思いながら、愛用のカメラでパシリッ。
それにしても茹だるような暑さ、何とかならないものか。



Canon EF 50 f1.8 『南禅寺 水路閣』


Canon EF 50 f1.8 『南禅寺 水路閣』


暑さに負けながらトボトボと道を下ると、先ほど通った三門に出くわした。
歌舞伎「桜門五三桐さくらもんごさんのきり」で有名な石川五右衛門のひと場面がある。満開の桜を眺め「絶景かな、絶景かな」と見栄を張る場面です。


でも、確か石川五右衛門って安土桃山時代の盗人のはず。
この三門は藤堂高虎公が大坂夏の陣で散華さんかした戦没者を慰霊するために寛永5年(1628年)に寄進建立と書いてあるではないか。


これもまた逸話なのだろう。
でも、古の出来事を現地に来て肌で感じる。
暑いけど、何だかタイムリープした気分になるんですよね。


Canon EF 50 f1.8 『南禅寺 三門』


最後まで読み進めて頂きありがとうございました。🌱


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