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大槌町・末広食堂のチャーハンと小川酒店の日本酒に感激した連休最終日

 大型連休最終日の5月6日。青森県八戸市のホテルをチェックアウトした私と夫は、三陸沿岸道路(通称・三陸道)を通って帰路についた。
 2021年に全線開通した三陸道は、青森県の八戸是川ICから宮城県の鳴瀬奥松島ICまでの320km超が無料区間となっており、現時点において日本最長の連続無料区間を有する高速道路である。東日本大震災からの復興道路という位置づけもあり無料区間内にはサービスエリアが設けられておらず(宮城県の矢本PA、本吉PAにはトイレ有り。また岩手県宮古市の津軽石PAにトイレを設置することが昨年発表された)、近隣の道の駅への案内標識が設置されている。

 昨年の大型連休の際にも、私と夫は三陸道を利用していた。
 その際、大槌町観光交流協会のホームページを参考に昼食に立ち寄ったのは、三陸道の大槌ICを降りて車で5分ほどのところにある「末広食堂」だった。

 あっさりとしていながらも味わい深いスープに細麺、ネギ、チャーシュー、ナルトとメンマに海苔というシンプルな具も嬉しく、ほっとするような美味しさの中華そばに大感激。
 しかし、その際に地元のお客さんらしき方々が次々と注文していたチャーハンもまた美味しそうで、次はチャーハンも食べに来ようねと夫と話しながらお店を後にしたのがちょうど一年前の出来事。
 その際の出来事を帰宅して数日後にnoteに書いたところ、なんと大槌町観光協会の方がお読みくださり、コメントを寄せてくださった上、ご自身のnoteでも記事を紹介してくださっていた。


 昨年は、私にとっては初めての大槌町だったが、夫にとっては東日本大震災の翌年にがれき撤去のボランティアで訪れて以来、約11年ぶりの大槌町訪問だった。
 そこでの出来事が、こうして現在の大槌町の観光を担っている方とのご縁に繋がったと思うと、嬉しさもひとしお。
 コメントでご紹介いただいた6月9日(日)の「岩手大槌サーモン祭り」にも是非足を運ぼうねと夫婦で話しつつ、けれどその前に、まずあの時のお店でチャーハンを、と連休前から楽しみにしていた。




 八戸から宮城方面へと向かう帰り道。まずは、久慈北ICで三陸道を一度降りて、久慈市の道の駅いわて北三陸にて夕食用に久慈産の野菜と特産の琥珀サーモンのお刺身を購入。その後、再び三陸道に入り、大槌ICで大槌町内へ。
 カーナビをセットするまでもなく道を覚えている夫の運転で向かった末広食堂の前には、この日も地元・岩手ナンバーの車が数台停まっていた。
 お店に入り、中華そばとチャーハンを注文。

 数分後。
 先に出てきたのは、念願のチャーハンだった。

末広食堂のチャーハン

 「美味っ!」
 「うんまぁ~い!」

 大きな声を出さぬよう気を遣いつつも、夫婦揃って思わず声が漏れる。
 具は、刻んだチャーシューとナルトにネギ、そして卵。
 シンプル。
 なのに、いやシンプルだからこそ、全部がパーフェクト。美味い。とにかく美味い。夫婦揃ってレンゲを動かす手が止まらない。

 そして、昨年に引き続いての中華そば。

末広食堂の中華そば

 あーもうコレだよコレ。透き通ったスープに出汁の香り。するするっと口当たりの良い細い縮れ麺と、脂身のとろとろ感とお肉のしっかりとした味わいが美味しいチャーシュー。ナルトとメンマとネギと海苔、という大御所オールスターキャストの具も嬉しい。

 夫婦そろって、あっという間に完食。

 お会計の際、お店の方に昨年の出来事をnoteに書かせていただいた事後報告と御礼、そして観光協会の方とのエピソードをお話しすると大変驚かれ、そして喜んでいただけた。
 また是非どうぞ、の言葉と笑顔が嬉しかった。



 お腹も心も満たされ、嬉しい気持ちでお店を出た後、せっかくの機会だからと寄ったのは、末広食堂と同じ通りに面した「小川酒店」だった。
 「酒店」という看板を見つけると思わず立ち止まってしまう日本酒好きの我々夫婦。しかも、こちらはお店の看板といい建物の雰囲気といいなんとも素敵。
 吸い込まれるように店内へ。

岩手県大槌町 小川酒店

 ここで出会ったのが、大槌町観光交流協会のホームページで「地域おこし酒」と紹介されていた釜石・浜千鳥の「源水 純米吟醸」。

 「凄い。これ大槌の酒米と大槌の湧水で仕込んだんだって。」
 店内に入ってすぐの一番目立つ場所に置かれたそのお酒を手に取り、夫が驚きの表情で言う。
 「まず1本はこれにしよう。」
 「んだな。でも、これ2種類あるね。どっちにしよう?」
 棚には、水色の丸の中にしずくと花の模様が描かれたシンプルなラベルと、獅子舞の獅子と宝船などが描かれた可愛らしいラベルの二種類の『源水』が並んでいた。
 「・・・あれ?もしかして、これ同じお酒??」
 どちらにしようかと悩んでいたのだが、よく見ると、二種類とも裏のラベルに書かれた内容もお値段も同じである。
 「そちら、ラベルが違うだけで、中は同じお酒なんです。もともとのラベルと、地元の子供たちがデザインしたのと二種類あって。」
 迷っていた私と夫に、カウンターにいたお店の方がそう優しく声を掛けてくれた。
 「ありがとうございます。これ、大槌のお米と水で仕込んでるんですね。」
 夫がそう言うと、
 「そうなんです。これは、こちらでしか扱ってないお酒なんです。(注:源水は現在、岩手県大槌町と釜石市だけの地域限定商品となっている。)」
 「買います!」
 即決。
 せっかくの機会だからと、今回は二種類のラベルのうち地元の学生さんのデザインをもとに描かれたというラベルをチョイス。
 さらに、店の奥の冷蔵棚に並んでいたお酒の中からもう1本、「岩手県限定」の文字に惹かれて「浜娘 しぼりたて生酒 岩手県限定純米酒」というお酒も一緒に購入。
 親切に教えてくださったお店の方に御礼を言って、お店を後にした。


 チャーハンとラーメンでお腹いっぱいになり、この土地ならではのお酒も手に入れて大満足。
 さぁ帰ろう。三陸道に戻ろう。そう思ったのだが、もう一箇所だけ見に行きたい、と夫が言う。
 夫の運転で向かったのは、三陸鉄道リアス線の大槌駅だった。

ひょうたんの形の大槌駅舎
駅の横にはドン・ガバチョ 屋上にはハカセがいました
 夫は、東日本大震災の翌年にがれき撤去のボランティアでこの地を訪れている。復興後の駅を訪れたのは、今回が初めてだった。
三陸鉄道は開業40周年
駅のホームからは防潮堤が見える


 今回は車での移動だったので三陸鉄道には乗れなかったのだが、大槌駅では夫婦それぞれ三陸鉄道のグッズを購入。
 駅前には、屋台村が出来ていた。その他にも、飲食店がいくつもあった。
 また来ようね、今度は泊まりたいねと夫と話しながら、帰路についた。




 この日、大槌町の小川酒店さんで購入した2本のうち、じっくりとラベル等を見ることなく後から追加で買った「浜娘」が赤武酒造のお酒だったことに気付いたのは、帰宅してからのことだった。


 現在は、岩手県盛岡市に蔵を構えている赤武酒造。
 「AKABU」は宮城県内の日本酒専門店でも入荷のたびにすぐ売り切れてしまう人気の銘柄で、我が家でもお気に入りのお酒のひとつ。
 そんな赤武酒造は、もともとは大槌町の酒蔵である。
 大槌町にあった頃のその代表的な銘柄が「浜娘」だったのだ。


 そして、


 赤武酒造の酒蔵が津波で壊滅し盛岡市に移転して以来、地酒がなかった大槌に新たな地酒を、と醸されたのが、最初に選んだ「源水 純米吟醸」。
 奇しくも、大槌ならではのお酒を2本選んでいたことになる。



 どちらも、美味しかった。


 忘れないことと、今を楽しむことは、両立出来る。
 楽しい出来事や嬉しい出会い、美味しい記憶でイメージがアップデートされるたびに、自分の中の大切な場所が増えてゆく。


 私はこれからも、大槌町に足を運んで、楽しんでゆこうと思う。











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