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水道水等の安全を認めず「危険」を願い求める人達

『「水道水の水質基準が緩和された」というデマ』という記事への反響


 4月13日に公開した『「水道水の水質基準が緩和された」というデマ』というnoteは、本文中でご紹介させていただいた株式会社農業技術通信社のウェブサイト「AGRI FACT」のツイッターアカウントにシェアしていただいたこともあってか、多くの方にお読みいただいている。
 また、先のnoteを機に、水道事業や水道水に関連する正しい情報に興味を持ってくださった方々には過去記事もお読みいただいているようである。

 過去のnoteでも取り上げたように、宮城県の水道事業に関しては外資への水道売却というデマを地上波テレビ番組が放送した事例もあった(宮城県からの抗議を受けてテレビ局が謝罪・削除済)。
 さらには、浄水器やウォーターサーバーを販売する企業が、自社商品の販売促進のためにホームページ上で水道水が危険であるといったデマを記載している例は、現在もまだ確認することが出来る。
 勿論、そうしたデマを払拭するに十分な情報公開は国・地方自治体において徹底されており、ホームページや広報誌等で確認すれば、誰でも正しい情報を得ることが出来た。「隠された真実」など何も無く、「コッソリと変更」された事例は全く無かった。全て、公開・公表されていた。
 しかしながら、そうした正しい情報よりも危険を煽るような報道が目立ってしまっていたこともあり、一般の方々の間に水道事業や水道水への不安・不信感が広がっていた状況があったように思う。

 そんな中で、今回のnoteを多くの方々にお読みいただけたことに、感謝申し上げたい。
 ご紹介した事実・データ等が、不必要な不安を払拭する一助となったのであれば、大変嬉しく思う。

 私は水道事業の末端で働く者の一人ではあるが、このnoteに関しては誰に頼まれて書いているものでもない。(実際、プロフィール記載のとおり、私の仕事の中心は給水装置よりも排水設備工事の設計等である。)
 あくまでも仕事を最優先にしながら、仕事とは別に、昼休みや終業後にデータや法令を再確認しながら少しずつ書き続けてきたものに過ぎない。
 しかし、それを多くの方々にお読みいただき、反響をいただけたことで、これまでの努力が報われたような思いがある。
 お読みくださった方々、そして周囲の方々にも広めてくださった方々に、あらためて御礼申し上げたい。ありがとうございました。


 

それでも不安を訴えたい人の存在


 しかし、今回のnoteで丁寧に説明してもなお、不安を訴える人も存在する。
 こちらは、実際に引用リツイートされたものである。

 このアカウントが「移管されるらしい」と言及しているのは、第211回国会において令和5年3月7日で提出された「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案」だろう。
 これは「らしい」と言うまでもない、既に報道されている事実である。
 その趣旨および内容は、厚生労働省のホームページにもきちんと記載されている。

●改正の趣旨
 生活衛生等関係行政の機能強化を図るため、食品衛生法による食品衛生基準に関する権限を厚生労働大臣から内閣総理大臣に、水道法等 による権限を厚生労働大臣から国土交通大臣及び環境大臣に移管するとともに、関係審議会の新設及び所掌事務の見直しを行う。

●改正の概要
 (1および3は省略 筆者注)

2.水道整備・管理行政の機能強化
【水道法、水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、社会資本整備重点計画法】

① 水道に関する水質基準の策定その他の水道整備・管理行政であって水質又は衛生に関する事務について、環境の保全としての公衆衛生の向上及び増進に関する専門的な知見等を活用する観点から、厚生労働大臣から環境大臣に移管する。
② 水道整備・管理行政であって①に掲げる事務以外の事務について、社会資本の整合的な整備に関する知見等の活用による水道の基 盤の強化等の観点から、厚生労働大臣から国土交通大臣に移管するとともに、当該事務の一部を国土交通省地方整備局長又は北海道開 発局長に委任できることとする。
③ 災害対応の強化や他の社会資本と一体となった効率的かつ計画的な整備等を促進するため、水道を、公共土木施設災害復旧事業費 国庫負担法及び社会資本整備重点計画法の対象施設に加える。

001067044.pdf (mhlw.go.jp)

 「環境省に移管されたら、何をされるか分からん」と先のアカウントはツイートしているが、移管先がどこであれ、水道水は「水道法」に基づいて適切に維持・管理され、常に水質管理がなされていることは、これまでに繰り返しご説明してきたとおりである
 「恐怖」という言葉をこのアカウントが用いる理由は、残念ながら私には理解出来ない。また、安心を伝えるために事実を出来る限り丁寧に提示してきた私の文章に対して、こうした引用リツイートをされた事に対して、無力感を覚えたのも正直なところである。

 しかし、どんなに丁寧に説明しても、このように不安をあおるアカウントが現れるのも、また現実である。

「不安を煽りたい人」にまどわされないために

 上記は、福島県に関するデマについて触れた私のツイートである。
 noteと違い、ツイッターでは言葉遣いが乱暴な点は申し訳ない。
 しかし、水道水に関してありもしない危険をあおるようなツイートをしているアカウントに対しても、私の思いは同じである。

 正しい情報を提示しても認めようともせず、ひたすら危険をあおりながら「報道されていない真実に気づいている意識の高いワタシ(俺)」を演出する人々は、多数存在する。
 そのような方々が、インターネット上でご自身の憶測をもとに発言するのを規制することは出来ない。明らかなデマの拡散や犯罪示唆でも無い限り、思いを発言するのは、誰でも自由である。
 正しい情報を理解している側から見れば、単なる憶測に基づいてありもしない危険をあおり恐怖を訴えるその言動は、滑稽でしかない。
 けれど、それを「滑稽」と揶揄してしまえば、対話は成立しない。

 だからこそ
 どんなに虚しさを覚えようとも、これからも、丁寧に事実を説明したい。デマを拡散し恐怖をあおる者達には伝わらなくても、その周辺の人々に正しい情報が伝わり不安が払拭されるなら、意味がある筈。
 そう信じて、私はこれからも情報発信につとめたいと思う。


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