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現場に任せる

 先日録画しておいたNHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」を視聴しました。

 映像の世紀は、僕の好きな番組の一つで、ずいぶん前から、繰り返し放映されていて、何となく見たことがあるような回でも、つい最後まで視聴してしまいます。

 今回は、史上最大の作戦・ノルマンディー上陸についての内容でした。
 上陸にあたり、第一弾となって突入した連合軍の部隊は、身を隠すことのできない海岸を突進し、次々と陸上にから攻撃するドイツ軍にうち倒され、多大な犠牲を払いながら、少しずつ前進し、ついにはドイツ軍の一角を崩し、橋頭堡を確保し、そこから防衛線を切り崩していく。

 海岸に降り立った直後に狙い撃ちされた、戦友の死を目の当たりにしながら、その死地に自らも突入していく。このメンタリティーは尋常ではないと思いましたし、少なくとも今の自分には何らかの覚醒作用のある薬物で現実から離れない限り、とても同じ行動はできないと感じました。

 ただ、今回視聴した中で印象に残ったのは、ナチス首脳部が現地の状況を知らないにもかかわらず、ヒトラーの独裁体制のもと、連合軍を迎え撃つ現場には追加兵力を投入する裁量がなく、
ヒトラーに判断を仰ぐにも、ちょうどヒトラーは眠りについたところで、側近は機嫌を損ねることを恐れ、誰も起こさなかった、これによりドイツ軍は連合軍の猛攻を押し返すための追加兵力を内陸部に温存したまま、上陸を許してしまった、というエピソードです。

 もちろん、ノルマンディー上陸時には、三国同盟側の劣勢は明らかでしたので、ここで上陸に失敗しても、遠からずドイツは追い込まれて降伏したかもしれませんが、当然、その間の攻防で多くの犠牲者が出て、決着のかたちも少し変わったかもしれません。

 ただ、バタフライエフェクトのタイトル通り、少しの作用で、歴史が大きく変わる、常に勝者が歴史を作りますので、後世から振り返ると、歴史の必然のように思われる事象も、ある時点までは歴史の分水嶺を流れ、今につながる歴史とは反対側に流れていた可能性は相応あると思います。

 話はそれましたが、やはりどんな戦いであっても、現場に任せられない組織が、弱いということですね。現場は、状況の変化に応じた戦い方をできるわけですが、作戦を上層部に縛られてしまうと、柔軟な対応ができず、現状を説明し、判断を仰いでいる間に、機を逃してしまう。

 これは、自分が現場の指揮官をしているうちは、現場から遠い首脳陣には、「現場に任せてくれよ」と思うわけですが、いざ、自分が現場を離れて、他者に現場の戦い方を任せる立場になると、自分のやりたいような動きがされないことにもどかしくなり、つい、自分が手綱を握りたくなってきます。

 僕はちょうど、現場から少しずつ離れつつある、過渡期にあるため、今後はむしろ「人に任せる」という思いを基本的な戦略構想に持ち、現場が失敗したときに受け止める心づもりを、しっかり持つ、そうしたスタンスで、日々の仕事にも臨みたいと思います。

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