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母短歌:母よ母よ

苺にも海にも母がいる不思議 愛も優しさも毒になれない/銀猫
いちごにもうみにもははがいるふしぎ あいもやさしさもどくになれない

 「日本では、海の中に母がいる。フランスでは、母の中に海がある」というようなことを聞いたことがありました。それ以来何となく気になっていたのですが、ようやく知りました。
 詩人の三好達治の詩の中にある言葉だそうです。

海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がいる。そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある。

三好達治 「郷愁」

 わたしはフランス語はわからないので、「海の中に母がいる」はわかっても、「母の中に海がある」はわかりませんでした。
 それはつまり、フランス語の母はla mereで、海はla merとのこと。確かに、母の中に海があります。

 「母」という部分を持つ漢字は、苺と海の他にもいくつか思い当ります。それぞれ、どのような成り立ちで「母」を持つようになったのかを調べたことはないのですが、「毒」にも「母」がいるのですよね。

 愛とか優しさとか、母と結びつきが強い漢字に母はいない。なのに毒には母がいる。これも何だか不思議な感じがします。

 母とわたしの葛藤の日々は、もう少し続きそうです。

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