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ギリシャ旅行記 5日目 (ミコノス島)

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5日目

ほぼ寝坊

4日目までは無意味に早起きをしていたのに、船に乗る日にかぎって寝坊をした。10分で準備して、港に向かう地下鉄に乗る。
ホームで鼻をかむと濃い緑色の鼻水が出てきた。

旅の中で「ΕΠΟΜΕΝΗ ΣΤΑΣΗ」というギリシャ語を覚えた。地下鉄内のアナウンスでいつも流れていて、「次の駅」らしい。「唯一知っているギリシャ語」としてギリシャ人に披露したら小笑いが取れそう。

船に乗る

昨日と同様にピレウス港に向かい、予約していた船に乗り込む。

懸案の「チケットを紙で印刷しておく必要があるのか? 」については、不要だった。特に何も聞かれず、スマホの画面で事足りた。

船の中は高速船といっても割と広く、売店もある。
サンドイッチなのか何なのかよくわからないものを買い、席につく。隣の家族連れが横並びで座りたいようだったので、席をかわったりする。
少しよごれた窓からは凪いだエーゲ海が見えた。

意外と広い船内。

デッキから見るエーゲ海

懸念していた船酔いはそれほどない。
船旅のあいだは、主にデッキでエーゲ海を眺めていた。これがまた最高。

遠景に陸地が見える。

エーゲ海は色が青く深い気がする。海じたいが日本近海とくらべて貧栄養であるとか、いろいろ理由はあるらしい。

みんな思いっきりくつろいでいる。

デッキは少し風が強かったが、みんな思い思いにくつろいでいる。ベンチに寝っ転がっている人や、犬を連れている人がいた。犬を連れてのフェリー旅行、ほんとうにいい人生だと思う。

サングラスの青年に連れられた黒い犬。よく眠っていた。

ミコノス島に到着

途中、まちがえて経由地のパロス島に降りてしまうハプニングがあった。
船を降りて、港をまあまあ歩いてから気づいたので焦った。慌ててフェリーに戻り、スタッフに事情を告げて再乗船した。

パロス島ものんびりした雰囲気でよさそうだったので、またギリシャに来ることがあれば滞在してみたいものである。

そんなことがありつつも、無事ミコノス島に到着。
フェリーの後ろの扉が開いて、皆ぞろぞろと港に降りる。

高まる期待感。
こんな高速船に乗ってきました。

ここまでの旅程ではアテネの雑然とした市街地を歩き回っている時間が多かったので、ようやくバカンスっぽい雰囲気になってきた。

大金持ち船。

水上バスで移動

ここでミコノス島の地理について簡単に述べておこう。

ミコノス島には「オールド・ポート」「ニュー・ポート」と呼ばれるふたつの港がある。
オールド・ポートのほうが街の中心部(ミコノスタウン)に隣接しているのだが、こちらは小舟しか停泊することができず、アテネから観光客が乗るような大きな船はだいたいニュー・ポートのほうに着くようである。

安いぜ。

ニュー・ポートからミコノスタウンは徒歩でいえば30分ほど。この暑さの中を歩いてみる気にはならなかったので、水上バスを利用することにした。

左下が水上バス。

その場でチケットを買って乗り込む。開放感のある外の席に座ることにした。オーストラリアから来たらしい女性グループが談笑している。

水上バスから眺めるミコノス島は、むき出しの丘に白い家屋が立ち並んでいて、それと海とのコントラストがうつくしかった。これを原風景としてもつ人のことが羨ましくなった。

遠景。
佇む少年。

船がオールド・ポートにさしかかったとき、岸壁の先端でかがみこんで何かをしている少年がいた。彼を見たとき、この旅が折り返し地点を迎えたような気がした。
観光客には見えなかったが、彼はこの島で育ったのだろうか。

海の見えるレストランへ

オールド・ポートで水上バスを降り、あたりを散策する。海沿いにレストランがいくつも並んでいて、ひとつ選んで入ってみることにした。

ユーモア。

テラス席に腰を下ろす。なぜかレストランのまわりにはガチョウが歩いていた。

ガチョウ軍団。

そんなにお腹も空いていなかったので、ワインとつまみを注文することにした。タコのサラダとムール貝をいただく。
一杯とふた皿だが、日本円に換算するとすでにすごいことになっている。わたしはすでに日本円とユーロを換算する脳の機能をオフにしていたので大丈夫だった。

渾身の昼飲み。

島だけあってどちらの海産物もおいしい。オリーブオイルの力も感じる。

こんな写真も撮らあね。

海を眺める

旅の疲れか、ワイン一杯でかなり酔ってしまった。水を飲みまくって回復する。

行き交う船。

その後は何をするでもなく、島を散策して時間を過ごした。
この土地の気候のよさは何ものにも代え難い。遠くをきれいな船が行き交っている。

thank you……

石垣に腰かけて、エーゲ海に向かって考え事をした。野良猫がしばらく横で同じようにすわっていた。
何を考えていたのかは覚えていないが、いい時間だった。

影ひとつない石畳。
最高のテラス席。

観光地なだけあって、レストラン以外にも店が立ち並んでいて「Mykonos」と大書されたTシャツやら帽子やらが売っていた。路地の奥にも店がたくさんある。

この島で生計を立てている人々は幸せだろうなと思ったが、自分がその立場だったら案外アテネに住みたくなるのかもしれない。
日本に置き換えると、瀬戸内の島でのんびり暮らそうと考えてみても案外たいへんで、けっきょく東京に、みたいな感じになるのだろうか。そう考えると急にリアルだ。

あまり写真を撮っていなかったが、石畳と白い建物。

ミコノス島の名物である風車。16世紀ごろヴェネツィア人が作ったものだという。

風車を後ろから。
駐車場越しの風車。

有料トイレ

有料しっこ場。

この島の公衆トイレは海にせり出していてかっこいい。しかし入場には1ユーロ取られる。
2回おしっこにいったので2ユーロ取られて妙に腹が立った。何にといえば、自分の頻尿さに腹が立ったのかもしれない。

ソリッドな風景

8月のミコノス島の風景はソリッドだ。
石や土、砂が目立つ島の荒っぽい質感と、青い空と海の対比だけがある。

シンプルすぎる気がしなくもない教会。
少し歩いて教会の遠景。海水浴客の姿も見える。

島には教会がいくつもある。海辺でみかけた教会は鳥の群れにたかられていて、素朴だった。

風車のほうからオールド・ポートを望む。

この写真はいま見返してもうんざりするぐらい景色がいい。

昼に行ったレストランの前の船。

大遅延のフェリー

そうこうしていると、帰りのフェリーの予定時間になる。
しかしこれがものすごく遅延している。まともな遅延案内もなく、2~3時間ぐらいは遅れたような気がする。

べつにあとの予定もないし、島でのんびり過ごしたことでおだやかな気分になっていたので、帰れようが帰れまいがどうでもいい気分になっていた。なんなら一泊したいぐらいだった。

突堤には見張り台のようなものがあった。
遮るものがないので水飛沫がはげしく吹きつけてくる。

意味までもなく港の端のほうまで行ったりして時間をつぶす。

ソルト&ビネガー。

海外旅行にいくとよく食べる、Lay'sのソルト&ビネガー味のポテトチップス。日本だとあまり見かけない。

突堤からみるミコノス島。

おだやかな気分とはいいつつ船がほんとうに来るのかは気になるもので、フェリーのライブマップで現在地を確認しながら待つ。飛行機でこういうものがあるのは知っていたが、船のほうははじめて確認した。

帰りの船

延々と 待っていると帰りの船がやってきた。出発が遅れたので、アテネにつくのは日没後になりそうである。

行きとはルートがちがい、ナクソス島に寄港した。

港から細い道でつながった島に、素朴な大理石のアーチが建っているのがみえた。アポロ神殿だという。
大げさなところがなく、ずっと昔からそこにあるだけ、という感じ。それでいて、ロケーションもあいまって神聖さを感じさせる。

さりげなく建っているアポロ神殿。
煙って見えるフェリー。

日が落ちると海の雰囲気は大きく変わる。

フェリーの中がかなり寒い。朝寝坊したせいで羽織ものをもってくるのを忘れたので、しかたなく暴風のデッキを歩きまわる。風は強いが、こちらのほうが生暖かかった。

エアコン、直る

宿の近くの教会。夜は一段と荘厳だ。

宿にもどるとエアコンが直っていた。特にその旨の連絡はなかったが、airbnbのホストが修理してくれたようである。

エアコンが直ったうれしさよりも、金庫もないこの宿で、無断で部屋に入られた嫌さのほうがちょっと勝つ。

部屋でゴキブリを2匹見た。1匹は床においてあった空のペットボトルの中に入っていた。殺すのには気乗りしなかったので、蓋をして封印しておく。
もう1匹のほうを倒そうとするが難しい。殺虫剤のたぐいはなかったので、共用キッチンにあった洗剤で倒そうとするが、ただ単に床に洗剤をばらまく人になってしまった。

6日目、メテオラ編に続く……

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