無料 短編ホラー小説『あなた』~山着~第四話・|怨縁《えんねん》
『異界』
気が付くと、あなたは川の大きく蛇行した外側にいました。下半身”だけ”が濡れていて、凍えながら目が覚めたのです。空を見上げて太陽の位置を確認すると、木々の隙間から燦々と顔を出していてまだ沈みだす気分では無さそうでした。このまま夜まで寝ていたとしたら、たとえまだ真冬ではないにしても凍え死んでいただろう。今度は恐怖ではなく寒さでガタガタと震えながら、前方に見える道路の茶色く錆びついたガードレールを目指して岩場から茂みをかき分けて向かう。
コンクリートで舗装された道