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たまには形から入ってみよう

 あまり人の言葉ばかり借りて得意気に、ふんぞり返って講釈を垂れるのもそろそろ申し訳なくなってきたので、たまには自分が発見したことでも語ってみようかと思う。
 と言っても、もう既に誰かに提唱されている気はする。それでも自分で見つけたのだから、後発でも語る価値があると信じている。
 今日語ることというのは、物事の続け方である。
 と言っても心構えとか習慣のつくり方とかそういうことではない。私が語るのはもっと俗っぽいことだ。
 私の継続の方法。それは形から入ることである。

 形から入る、というのは結構悪く言われがちだ。
 恐らく外見ばかり真似て、中身が伴っていないのに得意気になって満足してしまうことがあるからだろう。私もそういう人種はあまり好きではない。
 それでも私の手法なら恐らく挫折することは少ないんじゃないかと思う。あまり自信はないが。
 例えば、何か始めたいことがあったとする。勉強でもスポーツでも音楽でも何でもいい。
 そのとき、何かしら道具が必要になると思う。全くの無料で始めることが出来る物事というのは案外少ない。勉強であれば、参考書はインターネット上の情報で賄ったとしてもペンとノートは欠かせないし、どのスポーツでもトレーニングウェアは必要だ。音楽は言わずもがな。特に費用が掛からないのはボイストレーニングくらいだろうか。
 もし何らかの道具が必要になる場合、まずは自分のお気に入りを見つけるところから始まる。安くても高くてもいい、とにかく自分が「これを使いたい」と強く思える品を見つけることだ。
 後はお気に入りの品物を購入して、その習慣を行う時にお気に入りを使うようにするだけ。ペンに関しては勉強以外でも使えるが、続けたい勉強用と限定するのをお勧めする。理由は単純で、その科目の勉強をする以外ではお気に入りのペンを使うことが出来ない状態を作ることで、習慣の継続を図るという訳だ。
 私の場合は文房具を活用することが多い。何か始めたいなと思ったことがあれば、とりあえず見た目の良いノートを買ってみる。
 以前も読書記録をつけたいと思って文房具コーナーを練り歩いていたとき、とても素敵なノートを見つけた。「EDiT」という、手帳用紙を使った方眼ノートで、上品な見た目もさることながら、本当に書きやすい。持ち歩いているだけでワクワクするような代物だ。「EDiT」と記録用のアクロボールを購入して家に帰り、早速読書記録を始めた。先月末くらいの話だが、一応今のところ継続出来ている。
 こんな例もある。以前「神時間術」という本において、効率的な時間術においてストップウォッチを活用するのがいいと書かれていた。
 本書では15分を最小単位として45分、90分の大きな括りで作業と休憩とを繰り返すのだが、そのとき出番なのがストップウォッチなのだという。タイマーでは駄目なのかと言うと、仮に15分を越えて作業に集中出来ていた場合、タイマーの音で集中が途切れてしまい逆効果になる恐れがあるからあまり推奨しないということだった。カウントアップ方式を取ればタイマーでも代用出来そうだが。
 私はこの話を見て、正直半信半疑だった。本当かよと思いつつ、Amazonでストップウォッチを購入した。やってから批判してみようという腹である。
 そして一か月程、何か作業をする際はストップウォッチがお供になっている。正直なところ、時間管理という面では、私はあまり活用できていない気がする。どれくらいの時間で集中が切れたかとか、最終的にどれくらいの時間が必要だったかとか、そういう確認しか出来ていない。
 では全くの無駄だったかと言えば、そうでもない。ストップウォッチを使いたいから作業をしたくなる、という謎の欲求が生じたおかげで、以前よりも作業に取り掛かるまでの時間が短縮できたし、頻度も増えた。著者が想定していた効果ではないとは思うが、私にとっては良い影響を与えてくれたので、これからもストップウォッチを活用させてもらうことにする。
 こんな具合に、形から入る際、どうせ選ぶなら口コミや人のオススメではなく、自分が一番好きなものを選んでみよう。

 正直しょうもなさすぎてがっかりした人も多いかもしれない。自分でも「わざわざ言うほどのことか?」と思わないでもない。
 それでも、外側だけでも「好き」な部分を見つけておくことは、継続する上で非常に重要だと思っている。
 勉強でもなんでも、継続のためには何か好きな部分が無いといけないと思っている。勿論、好き嫌いや目標達成など、そういうものを超越して「〇〇したら××する」と、毎日続ける仕組みを作れば継続することも出来る。しかし、そこに「好きだからやる」を追加することが出来れば最強じゃないか?
 その行動自体が好きなことであれば言うことは無いが、最初から100%好きを向けられる行動だったらとっくの昔に習慣化出来ている。そうでないから困っているのだ。そういう人にこそ、是非形から入ってもらいたい。
 自分が心から好きな、使いたいという気持ちでいっぱいになる道具があれば、どんなに面倒だと思っていても、自ずと行動を起こすものである。少なくとも、私はそうだ。皆にも同じ体験をしてみて欲しい。

 蛇足だが、形から入る方法には最大の弱点がある。言わずもがな、それは金銭的負担だ。惹かれる物に手が届かなくて始められない、となれば本末転倒である。実践してみようと思った心優しい方は、是非手の届く範囲で魅力的な品を見つける、ということを徹底して頂きたい。


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