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少女は安モーテルに泊まるキュートで生意気なかいじゅう

パステルカラーが目立つパープルの安いモーテルで暮らし、食事は知り合いにタダでもらう廃棄のワッフル。シングルマザーで無職のママは偽物ブランドの香水を観光客に押し売りして生活している。そんな2人はその日暮らしにもかかわらず毎日やりたい放題!

今回は、ムーニーの目線から描かれる世界が貧困とは反対にキラキラしていてとにかくかわいい!

ショーン・ベイカー監督の「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」をご紹介します。

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・あらすじ

6歳の少女ムーニーとその母親ヘイリーは、定住する家を失い、世界最大の夢の国であるフロリダ・ディズニー・ワールドのすぐ外側にある格安モーテルでその日暮らしの生活を送っている。シングルマザーで無職のヘイリーは、フラフラして毎日遊んでばかり。厳しい現実の中、ムーニーからみたこの世界はいつもキラキラとしていて、同じモーテルで暮らす子どもたちと冒険という名のイタズラばかりして過ごしている。しかし、イタズラをきっかけに夢みたいな楽しい日々はだんだんと現実が押し寄せてくる。

・お金がないあそびがかわいい

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ムーニーとモーテルに住む友達のスクーティはいつもイタズラばかりして遊んでいます。まるで貧しさの憂さ晴らしするように思えます。例えば、車につばを吐き落としてみたり、モーテルの電気を落としたり…おやつは観光客からお金をねだってアイスクリームを買ってミリ単位まで分け合ったり、配給のパンを順番押しのけてもらったり、知り合いのカフェから廃棄のワッフルをもらって毎日の食事にしたり。現実は厳しいにも関わらず、工夫して毎日を楽しく過ごして遊ぶ彼らがたくましくてかわいい!

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また、モーテル雇われの支配人であるボビーは、罵声を浴びせて反論して叱ることはあっても、子どもたちをはじめ、ダメダメなヘイリーに対してどこか気にかけていてくれており、ストーリーが進むにつれて暖かさを感じます。

・ポップで鮮やかな映像がかわいい

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毎日モーテルの子ども達とイタズラ放題。

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ある日いつもの3人で遊んでいると空き家を発見。階段から突き落として家具を壊したり、あちこち叩き割ったりしていたら、暖炉をみつけます。そして、出来心でライターで火をつけてしまいます。それがきっかけで現実はどんどん厳しくなり、影を落としていくのですが、終始、鮮やかな映像で描かれるのが心地良いです。

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貧困の苦しさとは反対に映像の鮮やかさが、子供のみているキラキラとした世界を表しているのがかわいいです。

・最低な生活でも子どもの世界は輝いているのがかわいい

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パステルカラーのモーテル、プール、かわいい水着、アイスクリーム、遠くに見えるディズニーワールドの花火、親友といえるともだち、お気に入りの倒れた木、甘いジャム、かわいいカチューシャ。ムーニーのみる世界はいつだって輝いていて新しい。

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ムーニーはこれからを生きていくまだ幼い子どもであり、すべてが新鮮で、みえる世界がワクワクに満ちています。不安が無いわけではないが、その無垢さが貧困の中でもキラキラとした世界を持てる武器なのではないでしょうか。だからこそ、いくらいい子じゃなくたって貧困の中で生きるムーニーがかわいくて愛おしく思うでしょう。

・さいごに

♡貧困な生活の中でもムーニーからみた世界が色鮮やかでとにかくかわいい!

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次第にどんどん最悪な環境に陥っても涙を見せないムーニーが最後、未来への不安と離れ離れになってしまう悲しみでいっぱいになり、泣いてしまうシーンは胸が苦しくなりました。親友といえる友達と出会えたのが、少なくとも救いになる様に感じました。

母親であるヘイリーは、大人になれずに子どものままで成長してしまった様な人格であり、ムーニーにとって良い母親でも、子育てどころか生活もままならない状態で、現実を変えようとする強さを持とうとしないまま映画が進んでいくところが、とてもリアルでした。どこにでもこんな現実が転がっているんだろうと思いました。そんな中でボビーの存在は救われるようでした。1人でも気にかけてくれる人がいるかいないかでその人の人生は大きく違うと思います。

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ムーニーの毎日の遊びを通して貧困の腹いせにイタズラや悪態をついているのがなんともひどいのですがなんだか許してしまう…子どもの無邪気さや無垢さが見方を変えて映す世界の愛おしさを感じました。とにかくポップでかわいい!ストーリーは結構ダラダラとみれます。ラストのシーンの颯爽と2人で駆け抜けていくのを観終わった時、なんとも言えない愛おしさを噛みしめるに違いありません🍦


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