生命とは何か ―篠澤 広『光景』に寄せる小さな随想録
ひとつめ
表題の問いの出典として、もちろん Erwin Schrödinger による著書『What Is Life? The Physical Aspect of the Living Cell』が有名だ。当書の印象的な主張である生物が生きるための「負のエントロピーの摂取」は今でなお形を変えながら非平衡物理学の根底の一部となっており、またそれ以上に、James Watson と Francis Crick の遺伝子の二重螺旋構造の発見はこの著書に強い啓蒙を受けた結果の功績