見出し画像

アイスバックスゲームレポート2022.09 VS東北フリーブレイズat八戸

アジアリーグアイスホッケーとして3年ぶりに海外チーム(ハルラ)を迎えて6チームによるリーグ戦として開幕した。HC栃木日光アイスバックス(NIB)の開幕シリーズはアウェイ八戸で東北フリーブレイズ(TFB)との連戦。

NIBはコロナ感染者が相次ぎ、リーグ規約の試合開催基準の人数ギリギリの14名で開幕を戦うことになった。ベンチも藤澤HCが不在で飯村GMが代行で指揮を取る。
TFBは昨シーズンのジャパンカップ最終盤でNIBをうっちゃりプレーオフまでこぎ着けた。両チームは8月にプレシーズンマッチを行い、NIBが連勝。早田聖也、シモンデニー、人里茂樹が抜けた穴が大きいなという印象のTFB。

GAME1 9/3 17:00FO
戦前の予想は14人のNIBがどこまで走れるか?といったところで、やはり試合序盤も慎重なプレーが目立った。序盤畳み掛けたかったTFBだが山田淳哉のシュートがポストを叩いて以降は決定機を作れない。一方NIBはエントリーからシュートまでシンプルに実行して、少人数でやれる効率のいいゲーム運びをしていく。ロースコアで推移していくのはNIBの狙うゲームプランだと思われる。
試合が動いたのは2P中盤、NIB鈴木健斗が敵陣へ放り込んだパックをTFB古川駿がキャッチするも、試合がフリーズせずにあわててゴール裏でパックリリースするもNIB鈴木健が素早いチェックでパックをゴール前に送り込み、フリーだったNIB荒井詠才がねじ込んで先制!このゲームは荒井が随所でゲームプランに則ったプレーを実行しており、今後の活躍が楽しみ。一方古川はその前のシーンでもキャッチしたパックリリースの判断に迷いのあったプレーがあり、残念な伏線回収となってしまった。
リードしたNIBは基本的に敵陣深くまでのフォアチェックは行わず、ニュートラルで網を張って1-0のままゲームクローズドする狙いに移行。ただし相手の状況次第では全体で押し上げて、Aゾーンでプレーする時間も作っていた。メリハリが効いていて、かつ全体の意志疎通も図れているし、同じ方向に同じ強度の矢印が向いている。こういうチームは強い。
3Pに入り、足も落ちてきてはいたがDゾーンでのシュートブロックでの献身、こぼれたセカンドパックへ集中して素早くかき出し、それでも止め切れないシュートはNIB福藤豊が全て防ぎ切った。残り10分を切ってからの福藤のパフォーマンスは、これぞ日本を代表するGKといえるもの。最後はGKを上げたTFBのブレイクパスを引っかけて、NIB古橋真来が無人のゴールネットへ流し込んだ。2-0で開幕戦はNIBが勝利した。

GAME2 9/4 15:00FO
ホーム開幕で人数の少ない相手に完封されたTFB。非常にまずい負け方で、絶対に落とせない1戦となった。NIBは前日大車輪の活躍だった福藤を外し、ベンガード(朗孟)が今季初クリーズを任されることとなる。
前日の60分で少人数の戦い方のコツを掴んだかのようなNIB。敵陣へのフォアチェックもより積極的になってきた。これが勢いなのか、前日勝利からくる驕りなのか、は終わってみないとわからない。NIBはまたしても狙い通りのロースコアの20分を終えた。
2Pはお互いベンチが遠い為、チェンジをより慎重に行うことが求められた。中盤に差し掛かった頃、味方のチェンジの為にパックキープしていたNIB寺尾勇利がAゾーンで孤軍奮闘し、最後は3人に囲まれながら古川の守るゴールを撃ち抜いた。間違いなくスーパーゴールでNIBが前日に続き先制する。
しかし今日はTFBがあっさり追い付く。AゾーンのFOパックを持った武部虎太郎がスロットからショットし同点に。TFBにとってはホーム開幕のホーンから約90分待ちわびた初ゴール。さらに5on4のパワープレーでTFB佐々木祐希のシュートで勝ち越しに成功。この選手はものすごいスラップを打つわけではないのだが、スクリーンを使ったシュートが実に上手いと思う。ところが勝ち越しから3分後、NIB渡邊亮秀の放ったシュートが古川の股下をすり抜けていき同点。渡邊は前日もいいシュートを打っており、これまた見事な伏線回収となった。2P終了間際の同点劇に、おそらくTFBは相当ガックリきたと思われる。意識の中に3P勝負でいい、残り1分はそのままクローズド…だろうという空気がフラット八戸に、TFBにあったと思う。その緩みをNIBが突く。シンプルにAゾーンにエントリーした古橋がセンタリングしたパックは飛び込んできた鈴木健のブレードにドンピシャ、鮮やかに勝ち越しゴールを奪ったのは2P残り時間10秒を切っていた。
14人で100分を戦い抜いたNIBと、歯車の修正が効かないTFB。3Pに入った中盤にTFB所正樹がベンガードのニアサイドを見事に撃ち抜いて同点とするも、そのわずか1分後に古橋に何度目かの独走を許し、この日三度目の勝ち越しゴールを奪われる。ホームチームに対するじれったさが充満していくフラット八戸。残り時間が刻々と無くなっていく中、TFB大久保監督はGKを上げるという作戦を取らない。ホームの意地か、と思ったその瞬間、TFB佐々木の送り込みにTFB佐藤翔がスティックを合わせて、こちらも三度同点に追い付き60分を終えた。
この時点でNIBの勝ち筋はOTを凌いでシュートアウトだろうという予想を立てた人は多かったと思う。足が残ってない中で3on3の5分は厳しいであろうと。ところがOTに入って、パックをコントロールし続けたのはNIB。結果的にTFBはOTのシュート0だった。延長に入っても古橋の独走は止まらず、最後は120分走りに走った鈴木健がルーズパックを押し込み、アウェイでの開幕連勝を手繰り寄せた。

TFBは早くも正念場を迎えたと言えるのではないか。プレシーズンマッチをリーグ最多の4試合を行い、万全で迎えた…はずだった。GK4人体制のTFBにおいて、古川が2試合とも守った点についてどのような起用意図があったのか。今季はリビルドのシーズンになるのかな?という印象は拭えなかった。ただしこのチームはレッドイーグルスが相手になると何故か目の色が変わる。それまでに化学変化は起こせるのだろうか。9月10日・11日はKOSE新横浜スケートセンターで横浜グリッツとのアウェイゲームを行う。

試合が消化できるかどうかの危惧から連勝へと昇華させたNIB。全ての選手スタッフの健闘を称えたい。逆境でも戦えるということを証明した。感染者がGK・DF・FWにバラけたというのも不幸中の幸いだった。おそらく八戸で出場した選手はこれから疲労のリカバリーに時間を費やすこととなるだろう。戻ってくるであろう選手との試合感のすり合わせなど、次の課題が待っている。9月10日・11日はホーム日光霧降アイスアリーナにひがし北海道クレインズを迎えての連戦となる。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?