見出し画像

ウクライナIT最新事情

ウクライナ視察記録の第二弾です。
概要編は以下をご覧ください。
※なお、ウクライナは現在外務省からの渡航制限がかかっておりますのでご注意ください


ウクライナのシリコンバレー「UNIT.City」を視察

キーウから少し離れた場所に、もともと工場だったところを2017年にリノベーションし今はITパークになっている「Unit.City」という場所があります。スタートアップからMicrosoftなどの大手企業まで、多くのIT関連の事業者が集結しています。この「Unit.city」は、ウクライナのシリコンバレーとも称され、イノベーションの中心地としての役割を果たしています。
また、2023年9月時点では日本企業は入居していないそうです。

シェアオフィスとしても利用でき、一部屋の料金は1000USD(税抜)から。ホットデスクは1席250USD(税抜)前後。※費用は当時の価格ですお問い合わせください。
現在、100社以上が契約しているようです。万が一停電になっても、ジェネレーターがあるので、ある程度はカバーできるとのことでした。

シェアオフィスの様子

大学のような雰囲気で、カフェで気分転換したり、卓球を楽しんだり、自由な雰囲気が流れる空間でした。

奥に見える煙突はもともとは工場だったものをそのまま残しているとのこと
大学のキャンパスのような雰囲気です

ハルキウのデジタルプロダクションを訪問

ハルキウのIT会社でIT会社の「Sevenpro」さんを訪問しました。この会社は戦争前から、Webのプロジェクトをご一緒させてもらっており、長年の付き合いの会社さんです。

実際にお会いするのは初めてでしたが、戦時下でありながら、丁寧に質問に答えてくださり、今後の弊社との業務連携などのお話もできました。

また、社内も見せていただきましたが、ジェネレーターやスターリンクなど有事の対策も万全でした。

停電が発生した場合の対策も万全

なぜウクライナがIT国家として成長できたか

ソビエト時代からの流れ

現在ウクライナがIT国家として成長できているのはソビエト時代から続く理数系教育の賜物ではないかと考えています。
1980年代、ソビエト連邦の一部だったウクライナは、キーウやハルキウ、オデッサなどの主要都市で「ソフトウェア・エンジニアリング」の研究と開発が活発に行われていました。これらの都市にある「キーウ・ポリテクニック研究所」や「ハルキウ物理技術研究所」は、当時のソフトウェア開発の中心として知られていました。
1991年のウクライナ独立後、国の経済は困難な状況に直面しましたが、IT分野の専門家たちの努力により、国内外からの投資を引きつけることに成功しました。独立から数年で、ウクライナは多くのスタートアップやIT関連のベンチャーが誕生する場所となりました。

ウクライナのIT教育

ウクライナは長い間、高い教育水準を維持しており、特にIT関連の教育ではその実績を誇っています。「キーウ国立大学」や「ハルキウ国立大学」、「オデッサ国立ポリテクニック大学」などのトップ大学は、毎年多数のIT専門家を輩出しています。さらに、これらの大学の卒業生たちは、ウクライナ国内だけでなく、欧米の有名なテクノロジー企業でも活躍しています。また、多くのプログラミングスクールやブートキャンプも設立され、初心者からプロフェッショナルまでがスキルアップを目指す場として利用されています。

ウクライナITの今

ウクライナのIT従事者の数は、2020年時点で約20万人、現在は30万人を超える規模に成長しています。また、「Grammarly」という文法チェックツールを開発したウクライナのIT企業は、2020年に10億ドルの評価額を記録し、ウクライナのIT産業の実力を国際的に示しています。

お話を伺ってる限りではウクライナのIT業界への戦争によるインパクトはほぼなく、逆に成長をし続けているような印象でした。
ただ、やはり我々のような外資企業は本国からの要請により撤退、もしくは隣国へのシフトを余儀なくされているようです。日本企業も進出していましたが、多くは前述したような対応をされているようです。

i3DESIGNさんもウクライナにオフショア拠点があった会社さんのうちの1社です。こちらの企業さんも従業員さんたちは国外や国内でも安全な場所へ退避。また、ウクライナへの人道支援もされています。

ウクライナITの今後

ウクライナのIT産業は、今後も持続的な成長が期待されています。現在の年間成長率は10%以上とされており、このペースが続けば、数年後にはさらなる発展を遂げるでしょう。
ウクライナ政府もこの産業の重要性を認識しており、さまざまな支援策や投資を行っています。2025年までの展望として、ウクライナが欧州内でのITリーダーとしての地位をさらに強固にすることが期待されています。

さいごに

ウクライナ早期復興として、弊社では、ウクライナのデジタルプロダクションとの業務連携を進めています!もしご興味ある方がいらっしゃれば、プロジェクトを通じて一緒に復興支援ができればと考えています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?