Hashedのパートナーから見たWeb3スタートアップの未来(スペースまとめ後編)
この記事は前回の続きです。
前回の記事はこちらから。
https://note.com/shuuto/n/nbbff5f6c51b2
今注目しているWeb3領域
木下:Kiyoさんからもぜひ質問があれば。
Kiyo:じゃあぜひ。今までHashedの概要と今までの歴史をしたきたと思うので、時間軸を未来の話を聞いていきたいと思っているんですけど、今Baekが注目しているWeb3のトレンドってどんなものがありますか?
Baek:今のこのベアマーケットですごくイテレーションをしてマーケットからのフィードバックを集めてイノベーションを違う方法でしているセクターを探しています。
今トレンドが見えているところは、Zk(ゼロ知識証明)のスケーラビリティーレイヤーやシークエンサーレイヤーもあるし、それとゲーム領域もゲームのインフラストラクチャーも注目しています。それとグローバルにRWA(real world asset)というワードがホットですが、その中でどうやってクリプトのネットワークの流動性とその中でのキャピタライゼーションを大きくするのにRWAがどのように貢献するのか、そのケーススタディを探していうコラボレーションもしています。
あとはクロスチェーンの実現のためにインターオペラビリティを作っているUXレイヤー、インフラも面白いと思っています。
クリプトの冬はいつあけるのか?
Kiyo:ありがとうございます。すごく参考になります。今ってクリプトウィンターというか氷河期レベルだという状況だと思うんですけど、Baekはクリプトの冬が明けるのは、ざっくりどのくらいだと考えていますか?
Baek:僕はHashedの中でも悲観的なパートナーだと思っていて、僕は次のブルマーケットまで2年くらいはかかるだろうと見ているんですけど、
Kiyo:2025年くらいということですか。
Baek:そうですね、はい。今回パリでETHCCというカンファレンスに行っていたんですけど、その時にちょうどXRP(リップル)とSEC(米国証券取引委員会)の訴訟が終わって、XRPが証券ではないという結論が出されたんですけど、パリに来ていた多くの人たちはブルマーケットが来たと盛り上がっていました。
だけど僕はあまりファンダメンタルは状況を変えないと思っていて、今はコンサバティブな観点を持ってしっかりビルドする時期だと考えています。
それと、今ブルマーケットを作るパラメーターは、テクニカルなイノベーションから来るのではなくて、グローバルなクリプトのポリシーやマクロエコノミクスのトレンドにすごく影響を受けるんだと思います。
Kiyo:なるほど。じゃあ、アメリカの経済やアメリカの規制とかヨーロッパの規制とかが影響するといことですかね。
Baek:はい。
Kiyo:逆にHashedの中で、ポジティブに見てる人だとどのくらい早くに冬があけると思っているんですか?
Baek:1年から1年半くらいですかね。
Kiyo:なるほど、じゃあ1年間は耐えるということですかね。
Baek:これがちょっと難しいのが、マーケットと僕たちが活動しているベンチャーがすごく違いがあって、今クリプトの中でのアーリーステージのVCはすごくアクティブなんですよ。Hashedも2023年9件投資を決めていますが、結構アクティブに投資していると言えます。
(Hashedは)ベンチャーじゃなくてもオペレーティングビジネスでカストディとかStudioで色々なプロジェクトをしているんですけど、(プロジェクトのチームが)すごく良い雰囲気でこれがクリプトウィンターという感じはあんまりしないですね。
僕がアメリカに来たとき、2019年のときのクリプトウィンターはもっと寒かったですよ(笑)
みんなクリプトをやめてGoogleに帰る、なんていう人がたくさんいましたから。でも、今は僕の周りの人たち、Amazonで一緒に働いていた人とかSFで知っていたプロダクトマネージャーとか色々な才能ある人達がクリプトの業界に来ているから全然寒くないウィンターだなって思います。
Web3が日本のスタートアップのグローバル化に貢献している
Kiyo:まだ温かいと。人の動きは結構活発なんですね。面白いですね。クリプトのVCのはまだアクティブに出資をしているんですね。
Baek:はい、今回IVS京都に行ったときも、感動したのが、日本のスタートアップのエコシステムをMaxさんとかKiyoさんみたいに知ってはいないんですけど、Web3のおかげで日本でもスタートアップのエコシステムが熱を帯びてきていますね。
日本がWeb3に参入することは日本のスタートアップエコシステムのグローバライゼーションに圧倒的に貢献しているということが見れました。
SkylandVenturesもクリプトファンドをしているし、他にもクリプトファンドのマネージャーに日本でたくさん会えて、日本のプロジェクトファウンダーたちにとって良い環境だし、もっと期待したくなりました。
木下:まさにIVS京都で外国人が2~3割くらい、数でいうと2~3000人いたと思うんですけど、Web3・クリプトの人を抜いたら、数百人レベルになりかねないなっていうのがあります。
スタートアップをグローバル化するためにWeb3めちゃくちゃ重要だっていうのをBaekさんの投資先のHyperithmのロイドさんがツイートしていて、僕も完全に同意見ですね。
Baek:はい。面白かったのが、英語のセッションもあって日本語のセッションもあったんですけど、普通韓国とかベトナムでカンファレンスに行くと、海外から来たファウンダーが何を喋っているのかが気になって聴衆が聞いているんです。
だけど、IVSは日本語のセッションは日本の方だけ、英語のセッションは日本人の方が少なく、日本に来た外国人が海外の状況についてのセッションを聞いていたということですね。れがなんかカルチャーの違いを感じましたね。
でも、僕が日本がいい変わり目にいると考えたポイントは、最近の日本のWeb3のプロジェクトはDAY1からピッチ資料やスピーカーデックが最初から英語で作られていて、海外の投資家と英語で話すのが当たり前なことになっています。
それは、僕が東京で生まれて中学校まで日本で過ごしてきたし、日本のスタートアップを結構見てたんですけど、このような状況は20年前では想像できなかったことだと思っていて、Web3が日本を変えているんじゃないかと思いました。
海外VCから見た日本のWeb3スタートアップのビジネス環境
木下:それは本当にそうですよね。多分今聞いている人は日本人の人が多いと思うんですけど、日本のスタートアップで具体的な社名でも良いんですけど、こういうのが良いなという会社はいくつかありますか?こういう領域をやっているのが新しい感じがするとか?
Baek:やはり僕はゲームとIP、コンテンツの方を見てるので、その領域ですごくクリエイティブでイニシアティブを取るようなプロジェクトを(IVS京都で)見ることができました。
でも、これはクリプトのことだけかもしれないんですけど、IVSでクリプトのゲームと会って感じたのは、とても多い量のエナジーがトップダウンできていたというのは感じました。
それはどういう意味かというとバンダイとかセガとかドコモのような大きな会社がWeb3に挑戦するプロジェクトが注目を集めていました。
ボトムアップできている若いファウンダーや学生のファウンダーにあんまりスポットライトが当たってなかったことは僕はもうちょっと若くて、グローバルに行きたいファウンダーに会いたかったなというのはあります。
Maxさんが紹介してくれた方には会えましたが、潜在的にはもっといるんだけど、探すことがすごく難しかったです。
木下:さっきの話でいうと大企業、セガもそうだし、ドコモもそうだし、結構Web3をやっていきたい企業は多くて、短期的に見るとちょっとまだまだわからない部分も多いんですけど、日本だと大企業とスタートアップが小クリエイティブなことをやろうというのは結構あるんですよね。
グローバルなWeb3プロジェクトを見ていてそういうのを感じるとか、逆に日本の動きについてどう思うかなどありますか?
Baek:そうですね。韓国も似たようなトレンドが起こっていて、2018年~19年くらいに大企業や公共団体がブロックチェーンを推進しようとしていました。
で、結構な会社がトークンをローンチしましたね。カカオもローンチしたし、ネクソンもメープルストーリーという1億人以上のアクティブユーザーがいるゲームをPolygonの上でローンチしているし、LGなんかもみんなブロックチェーンのなかでプロジェクトをローンチしたり、しようとしていることがすごく多いです。
今回日本にいて感じたのは、2019年あたりから日本の大きい会社がなにか大きなブロックチェーンプロジェクトをローンチしようとしていて、注目していたプロジェクトはCEXとノンカストディアルウォレット、ステーブルコイン、それとNFTプロジェクトだったんです。
レイヤー1とかグローバルなブロックチェーンプロジェクトにとっては日本や韓国はビジネスデベロップメントの環境の国で、その理由はベトナムとかヨーロッパやアフリカなどは、Web3を使ってなにかをするプロジェクト自体を探すこと自体が難しいんです。
それを僕たちのブロックチェーンを使ってくださいって言うのはビジネスデベロップメント的に長くて難しくて、韓国とか日本とかすごくわかりやすくてビジネスデベロップメントのターゲットにしやすいんですよね。
日本でWeb3のカンファレンスなんかがあればLayer1のプロジェクトはみんな来ますね。CircleもJPYCと協業したいからCEOが来ているし、日本はわかりやすいビジネスチャンスがある国だから今からももっと盛り上がるんじゃないかなと思っています。
木下:ありがとうございました。
後記
僕は、KBW2023というHashedが主催するブロックチェーンカンファレンスに行き、その中で、Hashedのオフィスにもお邪魔しました。
まさにクリプトエコシステムを作っているHashedの凄さを肌で体感しましたし、SkylandVenturesもトップティアのクリプトファンドに成長していきたいと、身が引き締まる体験でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?