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【詩】つわものどもは、

窓の隙から差し込む 巷のにおい
適量を知らない火薬 不発の薬莢 刀錆
関が原へ向かう足音 今やゾクゾク
開戦日はいつなのか 人々が耽るのは賭け事ばかり

男たち 白息弾ませ 肌ぬぎで
早くも出陣の支度
刀の鞘でキャラ設定 ばらばらと腕のばし
黒鞘 名だたる剣客/背後からしか殺めません
朱鞘 忠義の死/安い斬られ役ですね
鮫革 権謀術数の黒幕/いの一番に逃げ去ります
どれを掴んでも当たりくじ/外れくじ
色糸縅で泣き落とし そこだけ無様でカワイイね

小学校でニガテだった女子 ずかずか入って来る
(着替え中なんだけど?)
「ノートパソコン貸して」
矢玉の軌道 シュミレートするアプリ 開発したとやら
なんだか立派になっちゃって
(昔から変わらない?)
パソコンなんてないよ、聞こえないの?
男たちの汗臭い着物 引っ搔き回している
(やっぱり苦手だ、この人)

南蛮渡りのマント その後ろ姿は
たしか先の春 僕が見限った、男
参謀を小猿のように従えて まさかの出世?

恋しいのは 重たく熱く圧しかかる 冬籠りの毛布
ふり返っても 寒々しく輝く床ばかり
刀はすでに残り0
「表に出れば拾えるよ」
誰ですか、あなた? 
そんなの欲しくないですよ。
茫々とした夏草なんて 要らないのに
足は。
朝日が塗り潰す戸口へと 進んでいる



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この詩は、夢でみたことをもとに書きました。


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