読書メモ「ケーキの切れない非行少年たち」

レビュー★★★★★

Youtubeで境界知能という概念を知ってからこの本が境界知能について書いてある本だということでよく名前を見るようになり、以前から気になっていたこともあってAmazonでポチった。

ページ数が少ないので本を読み慣れてない僕にも優しい本だったし、小さくて持ち運びやすい。

主張は終始一貫していた。
・そもそもの認知機能が十分でないがために反省するとかしないとか以前の段階の人たち非行少年たちがたくさんいる。
・境界知能の人たちは人口の15%ほどをも占めているのに、側から見るとわかりにくいがために、理解が進んでおらず、それが生きづらさを生み、犯罪、鬱、自殺、いじめ等の非行行動につながっている。
・現行の学校教育や少年院での教育では「社会性を育む教育」とそれの基礎となる「認知機能を育てるトレーニング」が不足している。

これの主張に加えて
認知機能が低い子供たちにどういうトレーニングが適しているのか、や非行少年を生まない経済的合理性とかもあったかな。


ここからは本の内容ではないのですが、
最近、仕事のミスとか人間関係の拗れとかを、関係している人のせいにして終わることがナンセンスだなぁと感じております。
確かに原因は人にもあるんだけど、それで終わっちゃあまだ浅いと思ってるんです。
じゃあその人がなぜミスをしたのかとか、なぜ人間関係で失敗したのか、とか掘っていくともっと原因は細分化できて環境とか体調とかその人のコントロールの効かないことに原因の大部分が移っていくんじゃないかなと想像しちゃうんです。
そうなってくるとその人を問い詰めたり、反省を促してもあんま意味ないんじゃないかという気がしてくるんですよね。

この本を読んでその考えが強化されたように感じています。
脳の機能上、何をコントロールできて何ができないか、何が得意で何が不得意かは結構人によって差異がある。
それを理解するのは他人はもちろん本人すらも難しい。ただ本人は自分の言動は自分がコントロールしてると思っているので、他人からは理解されず本人は自分を責めてしまうみたいな状況が生まれがちなんだろうなぁと思うのです。そしてその程度が大きいと犯罪とかにも繋がってしまう、と。

この本を読むことで自分に対しても周りに対しても優しくなれる気がします。それもただ「優しい」って良いことだから優しくなろうではなく、自分と自分以外に対する不理解が理解に変わることで自然と怒りが湧かなくなるって感じです。
もし誰かのミスとか不適切な言動の裏には認知の歪みが背景にあるのであれば、そこを本人も周りの人も認識してあげると生きやすくなってWin-Winだなぁってね。

読破までの期間 3−4日くらい
2024.3.1


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