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成功の鍵はマイクロツーリズム【プペル渋谷ツアー奮闘記9】

僕らは外国人観光客向けにツアーをずっとやってきたのですが、2020年4月に新型コロナウイルスによってお客さんはゼロになりました。
もちろんインバウンド業界だけでなく観光業界全体が危機的状況。
業界全体が暗い中で星野リゾートの星野さんが「マイクロツーリズム」なるものを提唱しました。
先が見えない暗い道を歩いていた観光業界の関係者にとって一筋の光が見えた瞬間でした。

マイクロツーリズムとは

観光業界以外の人にとってはそもそも「マイクロツーリズムって何?」っていう話なので、星野リゾートのウェブサイトから抜粋します。

遠方や海外への旅行に対し、3密を避けながら地元の方が近場で過ごす旅のスタイル。自宅から1〜2時間程の距離で、安心、安全に過ごしながら地域の魅力を深く知るきっかけになり、地域経済にも貢献します。保養目的で旅館やホテルに行き、温泉や自然散策、料理を楽しみ、活力を取り戻す滞在旅行です。
『星野リゾート「マイクロツーリズム」ご近所旅行のススメ』

つまり、自宅から近いところを旅行してもらおうという話です。
星野さんの予測では、マイクロツーリズムから始まり、国内旅行、インバウンドが復活という流れでした。
旅行業界全体がマイクロツーリズムに注目していましたが、弊社のようなインバウンド専門でツアーをやっている企業にとってマイクロツーリズムの難易度は高く現実的でないとも考えていました。
しかし、早くても復活に1〜2年かかるインバウンドを待っていたら会社は潰れてしまう。
そんな中で新たに挑戦を始めたのが弊社初の日本人向けのツアーであるプペルツアーです。

マイクロツーリズムの3つのポイント

星野リゾートではマイクロツーリズムの3つのポイントというものも出しています。それが「地域内観光」「地元の魅力を再発見!」「地域の方々とのつながり」の3つです。
詳細は星野リゾートのサイトを確認して頂くとして、実際にプペルツアーのそれぞれのポイントがどうなのかを見ていきたいと思います。
今回はツアーを開始した12月の1ヶ月間を振り返ってみましょう。

プペルツアーは地域内観光?

それでは早速12月のデータを見ていきます。
まず12月の参加者数は106人です。
プペルツアーは申込時に住所を記入して頂いているので、参加者の住所を都道府県別にグラフにしてみました。

グラフを見ていくと東京が約70%、神奈川が約11%、埼玉が約6%、千葉が約5%、その他の地域を合わせると約8%という結果となりました。
関東だけで90%を超えており、まさにマイクロツーリズムです。

プペルツアーで地元の魅力を再発見できる?

上記のグラフで多くの参加者が1時間以内圏内から参加してくれていることがわかりました。
まず「地域内観光」はクリアしました。
次に「地元の魅力を再発見!」を見ていきたいと思います。
ここに関してはかなり自信があります。
今回のプペルツアーは「えんとつ町のプペル」に関するスポットを巡るツアーなのですが、ツアー中は渋谷のお勧め店舗や歴史などもご紹介しています。
普段渋谷で遊んでいる方や渋谷で働いている人たちも多く参加してくれましたが、渋谷のディープな魅力というのは伝わっていないことが多く、僕自身、渋谷の大学に通っていたので渋谷に毎日いましたが、遊んだり飲んだりするところはいつも同じところで渋谷のディープなスポットや歴史など全く知らなかったです。
なので、普段渋谷にいる方こそこのツアーに参加すると普段行けるお店なども増えて、満足度が高かったです。
えんとつ町のプペルをきっかけに渋谷のツアーに参加してくれたわけですが、ツアーが終わる頃には渋谷についても詳しくなっています。
実際にプペルツアーに参加した人たちから「飲み歩きツアーなど他の渋谷のツアーに参加したい」という声も少なくありません。
これは渋谷区観光協会観光フェローという立場をやらせて頂いている身としてもとても嬉しいことです。

プペルツアーと地域の方々とのつながりは?

僕は自社だけでなく様々な地域でツアーガイドの育成にも力を入れているのですが、新型コロナでインバウンドが来なくなってからツアーガイドさんにずっと伝えていることがあります。それは「今は地域の方々とつながるチャンス」であるということ。
インバウンドや観光が盛んな時は地域の方々も忙しく、ゆっくりお話しする時間もありません。ただ、今は飲食店も観光施設も皆さん困っている上に時間があります。話をする時間をつくってもらいやすいんですね。
そういうわけで、今は地域とのつながりに時間とお金を投資をするチャンスです。
僕は街に出られるようになった夏ごろから地域の様々なお店や観光施設などをお客さんとして周り、お店の人ともたくさんコミュニケーションを取ってきました。今まで観光客に人気で入れなかったお店こそ苦しんでいて、いろいろと提案したりすると協力してくれるところが増えています。
今までもずっと渋谷で事業をやってきましたが、コロナによってより地域との協力関係が強くなったように思います。
そのお陰もあってプペルツアーで日本人のお客さんを案内しているとお店の方が挨拶してくれたり、お話をしてくれたり、一般のお客さんが入れないところに入れてくれたりと協力してくれています。
ツアーガイドにとって地域とのつながりは最も大切なものだと言っても過言ではありません。

いろいろと見てきましたが、プペルツアーはまさにマイクロツーリズムですよね。というわけで、2021年のプペルツアーはマイクロツーリズムにより力を入れていきます。地元の人たちが楽しめるコンテンツを充実させていきます。
僕らの主戦場であるインバウンド観光までの道のりは遠いですが、マイクロツーリズムというコロナ前まで考えもしなかった領域でも成功例を生み出し、コロナを味方にしていきたいと思います。

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