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さいさんの地方創生 note【能登半島地震が表出させた現在地⑥・掛け声倒れのBuild Back Better を避けられるか?】

安芸高田市の石丸市長が、都知事選出馬表明をされてネットではさっそくその話題が拡散しているようですね。この表明された Climbers での「挑戦」をテーマにしたプレゼンテーションでは、石丸市長が都知事に挑戦する理由として

東京一極集中ではもう日本がもたない。多極集中へ舵をきらなければ、もう間に合わない

といった主旨の発現をされていました。このあたりは③④でも触れてきましたので、改めてリンクから見直して頂ければと思います。

一方で現在の東京都は財力によるパワーゲームを開始し「都内在住者に限り」という条件付きで私立高校も授業料無償という東京都一極集中を加速させるための政策を通し、人口収奪のターゲットとなった神奈川、千葉、埼玉等の各県知事から「もの申す」の反応が生じたばかり。そんな最近でもあります。

つまるところ、今回の都知事選は「東京だけ」「東京さえ」という現状既得権組と、日本全体の未来を考え、多極集中へと舵をきるなかで「新しい東京への再構築」を掲げる新星との戦いになりそうかなと。
 
都民がどんな選択するかは、とても興味深いところであり、この選択が日本全体の未来を選択することにもなります。なので、個人としてもプロセスから見守っていく予定です(地方の家庭に生まれた三菱UFJ銀行の分析官出身でもあり、まさにリアル半沢直樹を重ねるようにも見えます。そんな印象も含め、どんな選挙戦略と何よりも具体的にどんな政策を打ち出してくるのか・)。

☆Build Back Better 能登

2015年に仙台で行われた第3回国連防災世界会議で明記された【 Build Back Better 】。

東日本大震災後の会議で生まれた「よりよい復興」というこの理念があるにも関わらず、日本ではその後も Better とはいえない対応が続いており、今回の能登半島地震でも、もれなくその計画の脆弱性を露呈させてきました。
 
この状態をこれ以上繰り返してはいけない・という意味でも、能登半島地震のこれからにどう向き合っていくか。ここは国全体として問われている重要な課題でもあると言えるでしょう。

そして、その為にもこれまでの【 Build Back Better 】がなぜ失敗してきたかということを直視する必要があります。

人は誰かの成功の「how-to」を同じように模倣し、同じように成功することは出来ません

能力、個性、性格、環境、関係性、時間、状況、状態といった様々なファクターがひとつとして重なることがないからです。しかし、人は、自分以外が失敗した誰かの失敗は、不思議と同じように繰り返します。自分は違う、おれだけは大丈夫、私だけは例外。そんな人に限って、見事なまでに同じ失敗を繰り返したりするのです。

少なくともこの国の行政には、無意識レベルで「無謬(むびゅう)性原則」があり「ある政策を成功させる責任を負った当事者の組織は、その政策が失敗したときのことを考えたり議論したりしてはいけない」という信念がある*日経新聞 という事実を誰もが認識している。

そしてこのマインドセットが「失敗の科学」においてマシュー・サイドが示すクローズド・ループ現象(失敗や欠陥に関わる情報が放置されたり、曲解されたりして、進歩につながらない状態)を招いていることも、また疑いようがないものです。

なぜ被害を受けた能登半島での様々な「公助」が進まないかという理由は、様々に語られていますが、現場ボランティア的な視点からは上記・石丸市長も指摘している政治の「責任」と「覚悟」が圧倒的に欠けているからだと率直に感じるわけです。

解体撤去も「自助」でやろうとしても「来年夏まで順番待ち」と業者に言われたような話はよく耳にしましたし、「公助」での解体撤去の支援がようやく決まったとなった時に埋もれている輪島塗と言う文化財や地域の象徴でもあった黒瓦、個々の金銭では買えの利かない財産(アルバムやご先祖からのつながりの品々)をどう回収し、それをどうリユースして、未来の暮らしにつなげていくか・という対話や全体の絵を描ける人材が「公」にいません。
 
あくまでも縦割りとしての解体撤去という作業だけなんで・・というポジションい入る為に「全廃棄」の前提で話がどんどん進んでしまっているようにも感じます。普通に撤去作業と回収作業を並行進行するような段取を組む、あるいは組める人や会社に委託出来ないんですかね?とは単純に思うのですが・。

このままだと、表面的課題をとにかく潰していくことに自治体が汲々としてしまい、戦略なき戦術対応であらゆるコストが増大し、公務員の負荷は正比例でうなぎ上りになるでしょう。
 
しかし一方で、そこに暮らす市民の心は反比例して地域や自治体から離れていき人の流出が加速化する。東北沿岸部でみてきたシーンが、能登でも今、繰り返されているようにしか見えません。

☆要は「現状維持」を手放せるかどうか

例えばこうした分岐点と呼べるような状況で企業や個人の支援を行う際には、客観的な現在地を受容し、向かう方向を定め、どのような状態や状況を描くか(output)、その状態や状況がどんな波及を及ぼすか(outcome)を具体化していきます。そして、この際には先の行政習慣「無謬性原則」ではタブーとされる失敗時の最悪のケースもまた想定します。

だからこそメンタルコントラスティングのエビデンスに示されるように目標達成の可能性はぐっと高まりますし、有事に対する備えもより高いレベルで想定し、迅速に対応が出来る(津波は来ない、原発は壊れないというポジションだからパニックになる)わけです。

そして、こうしたスキルワーク以上にこの国に圧倒的に欠けているのは、人々の今というリアルな状況、状態という一次情報の把握であり、その民達がどこへ向かいたいのかといった部分でのコミュニケーションであり、その為の時間であるわけです。

以前にも触れてきたところですが、東日本大震災で数少ない【 Build Back Better 】に近づいた東松島市や女川町にみられるように、公務員こそが建物の外でもっと「民」と同じテーブルに座り、自分たちの弱さをさらけだす機会をもつことが特効薬・といつも思うわけです。もちろん、これは能登半島に限らない話です。

*続きます!


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