手売り大麻、超公衆垂れ流し便所 アムステルダム
ベッドの前で媚薬を差し出し誘う少女(の絵)
新しい到着時刻を投げつけられ続けながら、深夜に到着したアムステルダム。その日はもう宿に辿り着くだけ。
翌日はデン・ハーグに向かい、マウリッツハイス美術館で真珠の耳飾りの少女を見ていた。フェルメールの美しさも良いが、Jan Steen(ヤン・ステーン)の、酔っ払って乱痴気騒ぎの人々や、子供にパイプを勧める親、後ろのベッドをちらつかせながら牡蠣(当時は媚薬とされていた)を勧める少女などの世俗的な絵は、意識低空飛行で酒ばかり飲んで過ごしたい自分にはぴったりであった。子供を抱いているのに表情のないマリアなどの宗教画は何度見ても恐ろしさを覚えてあんまり見ていられない。
ヤン・ステーンは画家でありながら、居酒屋の経営まで行っており、そこで様々な人を観察できたようだ。今であれば、異色の副業人材として雑誌で取り上げられ、バラエティに出演し、60過ぎたあたりで日経新聞の「私の履歴書」を書いていたに違いない。
表は綺麗な街・アムステルダム
さて、アムステルダムであるが、中心部を含めて建物も運河もぱっと見る分にはとても美しく、都会過ぎない良い都市である。
人が斜めになりそうな町並み
運河沿いの町並みはとても綺麗で、歩いていて飽きない。
ん?
建物傾いてないか?
絶対傾いてるじゃん!
家の中でビー玉置いたら転がったとかのレベルではなく、住んでいるうちに全員、GO皆川のウンチョコ体操の体勢になっていくくらい傾いている。
しかし、なんとこの建物の傾きは合理的な理由があるようで、①家具などを上の方の階へ壁から飛び出た滑車を使って搬入する時に運ぶものが壁にぶつからないようにする、②少しでも床面積を広げる、ということらしい。
ちなみに、滑車を採用しているのは、昔は税金が間口の広さに応じてかかっていたために、広い階段を中に作れないからとのこと。日本と同じ税金の制度であったことは中々面白い。
しかししかし、左右の傾きはアムステルダムの地盤による。元々海・湿地帯であったところを干拓して作られた土地であるためん、地盤が弱い。長い杭を打ったりしているものの、それでは対処しづらいレベルなのだ。
道に向かったの傾きは意図的(一部は地盤のせいで傾いているものもあるだろうが)、左右の傾きは地盤のせい。
地震の国・JAPANに住む人間としては地盤のせいで傾いている建物に住むのは流石に不安になりすぎるが、ここアムステルダムではみんな生きている。
錆びた自転車のない自転車大国
アムステルダムの街を歩いていると、自転車は相当に多い。道沿い、運河沿いにかなりの数の自転車が停められている。
しかしその中に錆びているものは見当たらない。流石は自転車大国、整備も怠らずにみんな大事に乗っているだと感心していた。
しかし、あとあとアムステルダムに駐在する友人に聞いてみると、使えなくなった自転車は運河に投げ捨てるため、運河には大量の自転車が沈んでいるらしい。
スーパータイマブラザーズ
オランダは大麻が合法の国であることでも知られる。当然首都・アムステルダムでも大麻が販売されており、特に中心部の東側には多くの店が並んでいる。
中には非常に綺麗で、スタイリッシュなお香のお店かと思うようなところもあれば、見るからに怪しい店もある。その中で日本人に刺さったお店を1つ。
最早説明は不要であろう。任天堂さん!これは怒った方がいいですよ!
そしてよく見ると…
薬物で目が虹色になって幻覚を見ているという細かな描写まで。ふざけてやがる…。
本当に違法な大麻
そのような店が並んだりする、飾り窓(風俗店)地区を歩いていると、なんとなく目にとろみのある男性が近づいてくる。手には枯れた葉っぱ…これは大麻???
本物を見たことがないせいでわからないのが残念だが、恐らくその男性の手の上にあるものは乾燥大麻。いや、剥き出しで売りに来るなよ…。買いたい人間だったとしても何かしら袋にいれるとかしてないとイヤでしょ。
半ば呆れながら「要らない」と伝えると、帰っていったが、その手売りする男性の後ろには「Don't buy drugs from street dealers. It's illegal. (路上販売してる人からドラッグを買ってはいけません。それは違法です。)」と記載された、アムステルダム市の看板が掲げられていた。
アメリカンジョークであれば
「ドラッグをやってはだめよ。後ろに書いてある看板の文字が読めなくなってしまうくらい有害なのだから」
「ドラッグをやらないことは非常に危険だ。推測で適当に結び付けた事柄を論理関係があるかのように語ってしまうようになるからな」
というこじつけ論理会話が生まれているだろう。
超公衆垂れ流し便所
この近くにはアムステルダムで最も古い建造物である「旧教会」という建物がある。そう、大麻だの風俗だの言っていたが、私はここに行きたかったのであって、決してやましい気持ち等なかったのだ。
その旧教会目の前の運河沿いを歩いていると、何かトイレ臭い。トイレ臭を辿っていくと微妙に囲まれたブースがある。遠くから見る分には適当な喫煙所か、電話ボックスか?と思ったが…
運河沿いのボックスの下を見ると超公衆垂れ流し便所であった。(川端便所成『蘭国』より)
ち〇こは見えないものの、それ以外は完全に外から丸見え。一応中を覗いてみるが、当然真っ当に排水されておらず、あるがままに任され、そのまま運河に流れていくのだろう。誰がこんなところでトイレをするのか。
ちなみにあまりにも汚いので流石にここには載せないが、小便だけではなく、大便と思しき物体が落ちているトイレもあった。大便をするには流石にしゃがんでいるとすれば、もはやすべて丸見えである。そこには、人目を気にせず大便をするオランダ人と、運悪く他人が大便をする姿を見てしまったオランダ人がいると思うと、涙を禁じ得ない。なむなむ。
アムステルダムというと、運河の美しい町というイメージを持っていて、そこに少し怪しげな大麻店や風俗店があるのだろうと思っていたが、もっと魑魅魍魎とする部分がある。(良く言えば)ディープで、(悪く言えば)汚さもある。
しかし不思議とこれを見せられたあとでも、ページトップの写真にしている、中心の通りなどの美しさなどは色あせない。そんなに大きな都市ではないからこそ、パリのような治安の悪さもなく、危険を感じずにちょっとの好奇心だけでディープな場所を垣間見ることのできる面白い都市であった。
全国の美味しいお酒に変換します。