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は 「ハンバーガー」


ハンバーガーが好きだ。40代になって、僕はハンバーガーに魅了されるようになった。以前も書いたことがあるのだけど、ハンバーガーは、フォーマットが決まっているなかで大喜利のようにおいしさを創造するという意味で、ラーメンに非常に似ている。ラーメンだと、麺、スープ、チャーシュー、煮卵、その他の具、というフォーマットの中で遊ぶ。麺はちじれなのかストレートなのか、スープは鶏ガラベースか豚骨ベースか、チャーシューは炙るのかしっとりか、などなど。ハンバーガーもまた、バンズ、パテ、その他の野菜類、というフォーマットで遊ぶ。バンズの質、ビーフパテのジューシーさ、そしてアボカドで行くか、ベーコンで行くか、トマトで行くか、その全部で行くか。最後にピクルス的な要素とソースでまとめ上げる。

レギュレーションというか「縛り」があって、その中で無限の小宇宙が展開される。まさに箱庭・盆栽的な遊び方。「ラーメン」は非常に日本的な食べものだが、もともとは中国から来た。この10年ぐらいで一気に増えた、自家製ハンバーガーのローカルショップは、「ラーメン」のアメリカ版、と僕は思っている。ハンバーガーはもともとアメリカから来たが、日本のローカルハンバーガーショップの「大喜利・箱庭化」は、まさに過去に日本がラーメンを日本化したプロセスに酷似している。

そんなわけで、僕は知らない町を訪れると、まず「自家製 ハンバーガー」でグーグル検索する。もし泊まっているビジネスホテルから歩ける距離にめぼしい店があればそこでハンバーガーを食する。気分が乗ればコロナビールなどと共にいただく。ラーメンより価格帯は少し高く、近頃は1000円超えは当たり前だが、40歳を超えた僕の胃袋にはハンバーガーぐらいがちょうど良く、美味しい店に当たると、すごーくテンションが上がる。

あと、ハンバーガーショップって人気ラーメン店のようには人が並んでないのと、食券システムが導入されてないことが多く、それも気に入っている。店内にはたいていバズ・ライトイヤーのおもちゃや、「ルート66」の看板が飾ってあって、店主はガレージで仕事するようなエプロンにベースボールキャップをかぶっていて、無精ヒゲを生やしている。何かの間違いで僕が飲食店を経営する人生を選んでいたら、僕は「彼」なのではないかと思いながら店主を眺める。オニオンリングをつまみながら、「アメリカの箱庭」を堪能する。ハンバーガーはエンタテイメントだ。


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