見出し画像

よにでし読書会 1月26日開催 解説③

 今月の書籍:『40代からシフトする働き方の極意』 
 開催日:2024年1月26日金曜日 20:00~21:30




●40代でシフトする働き方の極意

著者:佐藤優
出版年:2017年
出版社:青春新書インテリジェンス


▼▼▼解説 第3回▼▼▼


いよいよ今週末に迫りました、
『よにでし読書会』でございます。
YouTube/Podcastでも、19日に解説しましたので、
読むのが苦手、という方はそれを聴いた上で参加してくださっても結構です。
それでは最後の解説第3回、やっていきます。


▼▼▼インプット時間、アウトプット時間▼▼▼


→位置No.1061 
〈私自身、一日の中で時間の配分をしています。まず朝5時に起床すると、6時までの間に新聞やネットによる情報収集をして、6~11時までは原稿の執筆。この時間は頭が一番冴えているのに加えて、電話など外部からの邪魔が入りません。一日の中で最も仕事に集中できる時間帯です。この4~5時間で原稿はかなりはかどります。
 午前11時~午後2時までは人と会食。それがない場合は学習。午後2時以降は打ち合わせや取材などがあればこの時間帯にこなし、それがなければインプット、学習です。夜も会食がない場合は深夜にかけてはインプットの時間。ですからインプットの時間がかなり長い。本を読んだり調べ物をしたり、映画などのコンテンツをネットで見たりします。
 ビジネスパーソンの方には必ずしも私の時間配分と仕事の仕方は参考にならないでしょうが、一日1時間から2時間、必ずインプットの時間、勉強したり知識や教養を身につけたりするための時間を持つことがお勧めです。〉

、、、佐藤さんは起床後の6時から11時までを、
「仕事のゴールデンタイム」としています。
だいたい5時間。

私は佐藤さんほどの朝型ではないですが、
この感覚は非常によく分かります。
起床してから昼ご飯食べるまでに、
脳の最大パフォーマンスが来る。
だから午後に知識集約的な仕事はあまりはかどりません。
感覚的には午後に同じ事をしても、
午前中の半分ぐらいのパフォーマンスになっちゃう。

だから午後はあまり脳みそ絞らない仕事を入れたり、
それこそ人と会ったり、
子どものための時間にしたり、
佐藤さんと同じくインプットに使ったりしています。

私の場合6時起床、
デボーションと祈り、洗面や朝食後、
30分のメルマガ執筆時間を持ち、
その後1時間の筋トレ。
ここでだいたい9時になります。
ここからの9~12時がゴールデンタイムです。
私のほとんどのアウトプットはここから生み出される。
マラソン型というよりスプリンター型ですね。

『天才たちの日課』という本があって、
その本では多くの作家をはじめ、
創作活動を生業とする人々の創作技法を紹介していますが、
けっこう共通するのは、
本当の意味で脳みそ絞ってアウトプットできるのは、
一番長い人でも4~5時間ぐらいで、
1~2時間という人も多いということでした。
プロでもそのぐらいなのです。
8時間脳みそ絞るというのは非現実的で、
それをしていると豪語している人は、
多分途中でネットサーフィンしてます笑。


▼▼▼インプットの重要性▼▼▼


→位置No.1117 
〈先ほども触れましたが、私の一日の多くはインプットの時間。少ないときで一日4時間、多いときで10時間をインプットに充てています。原稿執筆などアウトプットの作業が生命線である職業柄、それは必要不可欠です。〉

、、、「I/O比」という概念を、
作家の立花隆さんが紹介しています。
インプット/アウトプットの比率ということです。

1冊本を読んで1冊本を書いたらI/O比は1。
10冊本を読んで1冊書いたらI/O比は10。

立花さんはまともな本を書こうとしたらI/O比は100以上ないと駄目で、
本当に意味のある本ならば1000以上はないと駄目だ、
と『立花隆の最終講義』という本に書いています。
つまり1000冊読んでやっとまともな本が1冊書けるようになる、と。

「どうしたらアウトプットできるようになるか?」
の答えはだから、身も蓋もないですが、
「桁違いのインプットをすること」ということになると思います。
立花隆さんも佐藤優さんも、
「知の巨人」と言われる人々はその辺を心得ている。

私はその足元にも及びませんが、
それでも「あぁ、これは無限にアウトプットできそうだ」
と思ってYouTubeやPodcastやメルマガを始めたのは、
インプットの量がある「閾値」を超えたときだったと記憶しています。
インプットは質も大切ですが「量」もけっこう大切なのです。


▼▼▼小説は人間の幅を広げる▼▼▼


→位置No.1145 
〈小説を読んでいる人と読んでいない人では、どうしても人間の幅が違ってくるように感じます。というのも、すぐれた小説には作者の感性や感情が様々な形でちりばめられています。深い内面の思索の中で、私たちの日常の常識を越えた解釈や感性が明らかにされていることもある。
 たとえば犯罪小説には、表面的な犯罪心理学の理論よりずっと深い考察が繰り広げられていることもあります。また、社会的には落後したアウトローや裏社会などを描いた小説を読むと、社会通念や常識を相対的に捉えることができるようになる。単純に善悪や正邪で二分できない世界があることを知るだけでも、思考の幅は拡がるでしょう。〉


、、、佐藤優さんと故・立花隆さんは共著も出していて、
お二人とも縦横無尽にあらゆることを語れる「知の巨人」として認識されていますが、
お二人の一番の違いがこの、小説に関する認識です。

立花隆さんは死ぬほど本を読んでいて、
本の重さで普通の家だと床が抜けるので、
コンクリ特別仕様の「ネコハウス」を造ったほどの人ですが、
「小説は時間の無駄だから読まない」と公言していました。
立花隆さんにとって知識とはすなわち実学のことなのです。

それはそれで振り切っていて凄いのですが、
私はむしろ佐藤さんのスタンスの方に共鳴します。
「文学」には、知識の断片に還元できない何かがあると思っている。
だから私は小説はけっこう読むし、
映画も結構観るし、
マンガやアニメも「これだ」と思ったものは読むし観る。

おそらく佐藤さんが神学部出身であることと関係していると私は思います。
組織神学は物語を知識の体系に還元しますが、
聖書神学は物語を物語のまま把握しようとする。
前者の効率の良さもあるのですが、
どうしても取りこぼすものがある。
物語という容れ物にしか入らない何かがある、
と聖書自体が佐藤さんに教えてくれたのではないかと私は類推します。


▼▼▼どんな薬よりも質の良い睡眠▼▼▼


→位置No.1592 
〈その点で、私自身が気をつけているのが睡眠です。健康を維持する上で、睡眠ほど良い薬はありません。ところが睡眠障害でよく眠れないとなると、身体のあらゆるところにダメージが蓄積される。それによって生活習慣病や三大疾病など、あらゆる病気にかかりやすくなるのです。〉


、、、佐藤さんは一日の睡眠時間が3~4時間、と本に書いています。
高校生のころからそうだったそうで、
1000人に数人しかいないと言われる、
「ショートスリーパー」なのでしょう。

私は逆に1000人に50人ぐらいいると思われる、
「ロングスリーパー」です。
適正睡眠時間は8~10時間です。
8時間ちょうどだとちょっと睡眠不足、ってぐらいです。

時間にかかわらず睡眠は本当に本当に本当に重要です。
何を犠牲にしても睡眠だけは犠牲にしてはいけない、
と私は思っていて、
特に鬱からの寛解後は、
睡眠には本当に情熱を注いできました。
時間の確保がとにかく大切なのですが、
寝る環境などいろいろな工夫も必要です。
『気力より体力』という吉越浩一郎さんの本がとても参考になりました。


▼▼▼50代に起こる「コンステレーション」▼▼▼


→位置No.1703 
〈こういう流れの中で、50歳を過ぎると不思議なことが起こってきます。これまで関係ないと思われていた人生のいろいろな出来事や人間関係が、実はある種の必然性で結びついているように感じることがあるのです。
 「そうか、あのときあの人に出会ったのは、今につながる伏線だったのか」とか、「あのときあんなことが起きたのは、こういうことが起きる前兆だったのか」など、あとから合点がいくようなことが多いのです。〉


、、、さて。
この本は「ミドルエイジクライシス(中年の危機)」がテーマのひとつで、
タイトルにもそれが現れています。

なぜ40歳前後で多くの人が、
「中年の危機」を経験するのか?
「後れてきた思春期」みたいな感じで、
実存的な危機を経験し、
この時期に転職したり、
脱サラしたり、
離婚したり、
再婚したり、
大学に入り直したり、
あるいはそのどれも選ばず、
それゆえに自己の屈折をこじらせて精神疾患を患ったりする。

中年の危機は近代のものではなく、
フロイト時代ぐらいから指摘されていた古いテーマです。
さらには中世のダンテの『神曲』の有名な書き出し、
「人生の道の半ばで、
 正道を踏みはずした私が
 目をさました時は暗い森の中にいた」
という文章は中年の危機を象徴的に表現したものだ、
とする解釈もあるぐらいです。

じゃあなんで人間は中年の危機を迎えるのか?

それは、「人生の終わり」がうっすら見え始めるからではないかと思います。
山で言うと「下山」が見えてくる。
そうすると思う。
「俺の人生は、私の人生は、いったい何だったのか?」と。

うまくここを乗り切ることがとても大切です。
分かりやすい「解」はないのですが、
ちゃんと悩んで、ちゃんと乗り切った人にはご褒美が待っている。
それがここで佐藤さんが指摘している、
「いろんなものがつなぎ合わさる」という神秘的経験です。
河合隼雄は「コンステレーション(星座をつなぎ合わせる)」と言っています。

人生の前半で起きたいろんな出来事が伏線になっていて、
50代以降にその伏線が回収され始める、というイメージでしょうか。
スティーブ・ジョブズの伝説的なスピーチ、
『Connecting the Dots 点をつなぎ合わせる』は、
まさにそういう話です。
ちなみに彼があのスピーチをスタンフォード大学でしたのも50代でした。

私も今、人生のいろんなパーツが、
「あぁ、このためにあったのか」と感動することが増えています。
良い下り坂を下っているなぁ、という感覚がある。
結局、40代で働き方がシフトする、
というのはそういうことなのかもしれないなぁ、とも思います。

若い時はとにかく「拡散」する。
それが「収束」に向かう。
瑞々しい春、
繁茂する夏を過ぎて、
収穫の秋を迎えるわけです。



★★★読書会チケット購入はこちら★★★


・noteでのチケット販売は2022年7月以来久しぶりです。
 もし決済方法などでnoteでは買えないが参加したい、
 という方は直接メールなどでご連絡いただけますと幸いです。
 STORESでの販売も現在検討中で、
 またはメールでの直接連絡による販売も対応できますので、
 参加したいけど決済などの理由で参加できない、
 という方はご連絡いただけますと幸いです。

NGOの活動と私塾「陣内義塾」の二足のわらじで生計を立てています。サポートは創作や情報発信の力になります。少額でも感謝です。よろしければサポートくださいましたら感謝です。